「朝鮮日報」(2015年2月23日付)は、社説「大企業の正規職と中小企業非正規職の賃金格差10対4」を掲載した。
「2015年8月現在、雇用人員300人未満の中小企業労働者の月平均賃金は204万ウォン(約218,000円)である。
300人以上の大企業労働者月平均賃金3,598,000ウォン(約385,000円)の56.7%と程度に過ぎなかった。
04年の59.8%と比べると、10年間でその格差がさらに広がっている。
中小企業の労働者の中でも非正規職1時間あたりの平均賃金は大企業正規職の40.7%に過ぎなかった」
従業員300人を基準にしてみると、賃金格差がはっきりとついている。
中小企業(300人以下)は、大企業(300人以上)の56.7%に過ぎないと言う。
これは生産性の格差よりも、賃金交渉力の差であろう。
大企業は激烈なストライキを構えて賃上げを獲得している。
現代自動車の賃上げは、「労働貴族」とすら言われるほどだ。
大企業は、生産性を上回る賃上げを認めた結果、下請けである中小企業からの部品購入単価を切り下げてくる。
こうして、中小企業では賃上げもままならず、賃金格差が生じると言う悪循環が生じるのだ。
以上は、私が考えた賃金格差の背景である。
経済体制が、こうした矛盾を生じさせているのであろう。
「最近の大企業の中には大卒新入社員の年額給料5000万ウォン(約535万3000円)以上と
策定するところが出てきている。
その一方で、中小企業は2000万ウォン(2014万1000円)前後にとどまっている。
そのため、人生で初めて就職活動する若者たちは一浪や二浪してでも、
どうしてでも大企業に入ろうと必死になる。
こうした格差や賃金だけではない。
大企業労働者が会社を辞める時に
退職金をもらう割合が94.5%であるのに対し、中小企業労働者が35.4%にしかならない。
ボーナスをもらう割合は大企業が93.1%、中小企業が34.0%だった」大企業の
大卒新入社員の年収は約5,350,000円。中小企業はどう約2,140,000円だと言う。
中小企業は大企業の40%である。
このほか、退職金を加えると生涯賃金において、大企業が中小企業より圧倒的に有利であることは疑いない。
ここで、韓国の若者失業率が高い現実を見ておきたい。
韓国統計庁が2015年4月15日発表したところによると、2015年3月の失業率は4.0%で、
前年同月比で0.1ポイント悪化した。
青年(15から29歳)の失業率も0.8ポイント悪化の10.7%になっている。
一見すると韓国青年は厳しい就職状況にあると考えがちである。
だが、「再就職」のためにいちど就職した会社を辞め、
「就職勉強」しながら失業手当を受給している若者もいるはず。
そうでなければ、青年層の失業率がこれだけ高くならないであろう。
これが現実これが真実とすれば、韓国社会は完全にアブノーマルとしか言いようがない。
韓国経済の寡占状態は、韓国社会を狂わせているのだ。
「賃金、労働条件でこのように格差が大きいのだから、
中小企業労働者が少しでも良い条件があるなら転職をしようと思うのも当然だろう。
大企業労働者の平均勤続年数は10.7年だが、中小企業は4.9年に過ぎない。
結局、中小企業にはそもそも有能な人材が入社を希望せず、働いていた人もすぐに辞めてしまうため、
経験、知識、熟練度が蓄積されない。
こうなると当然、最高水準の商品、サービスを生み出すことができず、
その結果、競争力が下がり、ますます低賃金の非正規職に依存する悪循環に陥る」
これだけの賃金格差を許しておく政治の責任は重大である。
戦前日本の財閥企業でも、社員は高給で遇されていた。
三井、三菱、住友クラスの巨大財閥に於いて、生涯雇用が保障された一般社員は、ボーナスも並外れていた。
一方、一般企業は生涯雇用ではなく、不況の時に解雇される不安定な身分であった。
戦後日本の財閥解体は経済民主化の旗印の下で、企業規模を問わず、ほとんどの企業で生涯雇用を実現させた。
こうした日本の実例から見て、韓国も財閥解体によって、
1部企業の社員だけがこのようにされている現状を打破すべきであろう。
朴大統領はこうした「荒療治」を行う勇気があると思う思えない。
韓国経済のガンが、この寡占経済体制にあることは疑いない。
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