「朝鮮日報」(2015年8月3日付)は、キムテヒョ成均館大学政治外交学教授の寄稿
「日本人はなぜ韓国と韓国人を信じられなくなったのか」の1部である。
「韓国と日本が互いに協力し、それによって得られる恩恵は安全保障や経済など
あらゆる分野に及んでいる。
ところが、韓国ではそのことを口にするだけで「親日」と言うレッテルが貼られ、
特に政治家にとってはその政治生命さえ危うくなってしまうが、これがまさに韓国の現状なのだ。
」現在、韓国に見られる「親日狩り」は、異常の一言に尽きる。
日韓併合(1910年)の際、日本へ協力した1族の資産をことごとく没収する法律は、
国民に徹底的な「反日思想」を植え付けている。
日韓併合は今から振り返れば、日韓が朝鮮半島への旧ロシアの軍事進出を防ぐ意味合いもあった。
日本が朝鮮を併合しなかったならば、ロシアや清国の属国になっていた事は疑いない。
当時の朝鮮王朝は、自ら国土を治める能力を失い、朝廷内部では、
日本派、清国派、ロシア派が暗闘を重ねていた。
結果として、日韓併合という事態を招いたが、朝鮮内部での政治的な乱れも大きな要因である。
日韓併合は、朝鮮民族の歴史から見れば一大汚点である。
民族の独立が守れなかったのだから、それは痛恨事であることは間違いない。
だが、ここで一歩引き下がって考えて欲しいのは、当時の政治状況から「独立維持」は困難であった。
ならば、日本でなく清国やロシアに併合されていたならば、どういう結末を迎えたのかである。
多分、現在の韓国は存在しないはずだ。
中国やロシアの一省に成り下っていたであろう。
民主主義政治とは無縁の「独裁政治」に組み込まれていたであろう。
現在とは逆に、日本に併合されていればよかった。
こんな見方が出てもおかしくは無いほど、当時は混乱した政治情勢にあった。
朝鮮民族の誇りを奪った事実は、日本としても謝罪すべき事柄である。
1965年の日韓基本条約締結と賠償金の支払いは、日本が謝罪意思を表明したものである。
今になって、日韓基本条約に「謝罪」の文言がない。
そういった「難癖」をつける韓国ジャーナリズムは国際法の意味を知らない戯言とみられる。
朝鮮は、清国やロシアの植民地でなく日本統治下になって、いかなる不都合があったのか。
こういう面も総合的に考えるべきだろう。
韓国が、現在の中国やロシアと比較して、はるかに早く「工業化」に成功した理由は、
日本の近代化政策の成果である。
工業化は、「テイクオフ」と言う言葉でも呼ばれるが、朝鮮は1930年代に始まっていたのだ。
韓国の工業化水準が現在、中国やロシアと比較して進んでいる背景は、日韓併合時代に日本が工業技術を移植した結果である。
韓国はなぜ、この現実を受け入れずに、「日本批判」で狂奔しているのか。
日本人が韓国を信頼できないのは当然だろう。
歴史的な事実を事実として認めない。
こういう韓国の姿勢に、日本人は絶望したと言える。
「恩讐を越えて」と言う言葉がある。
韓国は、中国やロシアよりも有利な立場になった原因を冷静に見つめ直すべきである。
それを踏まえて、日本を批判するならば大いにやるが良い。
その点で、台湾の元総統である李登輝は、日本の及ぼした影響について正当に認めている。
台湾が近代社会に成長できた基盤は、日本の植民地統治であった。
こうハッキリと指摘しているのだ。
儒教教育を排して、西欧型の近代教育を導入したのは日本である。
日本がインフラ投資を行い、司法、行政、教育を制度化した。
現在、中国本土を完全に引き離す近代的国家に発展している。
その基礎を作ったのは、日本が植民地時代に近代化制度を移植したからだ。
日本が台湾を統治する以前、清国の李鴻章は台湾を「化外の地」と呼んで
一文の価値も認めていなかった。
今になって中国政府は、「日本が台湾を強奪した」と言うのは、あまりにも事実に反する。
台湾は中国よりも早く、近代化に成功したのだ。
この点でも、日本の植民地政策が失敗でなかったことを物語っている。
この台湾の実情と韓国を比較して、韓国が一方的に日本を批判している事は、
いかに歴史的事実を歪曲化しているかを示している。
日本は、韓国と台湾で同じ植民地政策を行っている。
韓国は「反日」であり台湾は「親日」である。
この2つを比べれば、韓国が歴史的事実を歪曲している事は疑いない。
日本人が韓国に疑問の眼差しを向けるのは致し方ないのだ。
「どの世論調査を見ても韓国人と日本人が互いに不信感を持ち憎しみ合う感情は、
過去のどの時点よりも今が最も厳しい状況となっている。
問題は、韓国人の抱く反日感情が数年周期で大きな波がある一方、
日本人の国民感情は一旦どちらかを向くと、それが数十年にわたり続くと言う点だ。
謝罪を受ける側の韓国人が不満を持っているのは理解できるが、
一方で謝罪する側の日本が政府や有識者、あるいは普通の庶民に至るまで、
すべての階層で韓国に不満を持つようになったのはなぜだろうか」
韓国人と日本人の根本的な違いは、韓国人が深く物事を考えず
「瞬間湯沸かし器」のごとく行動する。
日本人は、なかなか感情を表面に表さないが、一旦「結論」を出すと
簡単にそれを変えない国民性だろう。
韓国は過去36年間、日本統治を「絶対許さない」と言う態度である。
これまでは、日本が悪かった。
謝罪する。
賠償金も払うからこれで過去を水に流してくれ。
日本人の気持ちはこういうものだった。
ところが、謝っても、謝っても、後から後から「難題」を突きつけてくる。
それが、韓国なのだ。
「慰安婦問題」も不幸な事件である。
現在の「人権意識」に基づけばその通りである。
ただ当時の日本には、売春を国家管理にする「公娼制度」が存在したのだ。
この法律によれば「慰安婦問題」は法的に批判されるべき事柄でなくなる。
現に、韓国政府は、韓国軍と米軍相手に「売春婦」を斡旋していた。
現在、その違法性が法廷で審理されている。
こういう「脛に傷持つ」韓国が、戦前の日本軍の慰安婦問題を声高に批判できる立場にない。
日本人は、この事実を知っている。
だから、韓国に対して冷めた感情になるのだ。
「日本人の感情を簡単に表現すれば、一旦約束し合意した内容を簡単に反故にする
韓国と韓国人が信じられなくなったと言うことだ。
まず強制徴用問題は間違いなく1965年の国交正常化の際に両国の政府同士が合意し、
これを文章化して日本は謝罪し補償も行ったのに、
韓国の裁判所が下した判決や韓国の世論は今も日本に対して責任を追及してくるため、
日本は非常に戸惑っている。
今回の「強制徴用」に関する表記の問題でもそうだ。
これも1965年の協定分を根拠とする日本人の防衛心理と、
日本に対して歴史問題での謝罪や反省が不十分であることを追求しようと考える
韓国の道徳観が衝突している」
韓国では、「日本に対して歴史問題での謝罪や反省が不十分であるとしている。
韓国の道徳観では、これを許さずあくまでも追求しようと考えている。
ここに日韓が対立する理由がある」としている。
人間は、他人から受けた恩義を忘れてしまい、被害だけをずっと忘れずに相手を恨み続ける。
この適例が、現在の韓国社会であるようだ。
朝鮮李朝末期が、いかに統治能力をしなっていたか。
韓国ではその実態を理解しようとしていないのだ。
日本の統治下に組み入れられたが、場合によっては中国やロシアの可能性もあった。
とすれば、当時の歴史的な評価を冷静に下すべきだろう。
慰安婦問題も同じ視点で議論している。
当時の日本の「公娼制度」ではやむを得なかった。
歴史的な事実を評価するには、当時の法制度ではどうであったか。
そういう客観的な姿勢が要求される。
現在の時点で、過去の事象にあれこれ言ったところで意味は無いのだ。
日本の立場は、過去の事実を過去の法制度の下で解釈している。
韓国は、過去の事実を現在の法制度に照らし合わせて議論している。
これでは、日韓の交渉はかみあうはずがない。
堂々巡りは当然である。
そして、韓国は自らが道徳的であると誇張して、日本を臆面もなく批判する。
この韓国の判断基準は、明らかに間違いである。
繰り返せば、戦前の日本では売春は政府管理によって合法化されていたのだ。
これを抜きにして、今の道徳観で議論するのは歴史を判断する「眼」とは言い難い。
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