「うちの工場でも、すぐに辞めるも辞める若者はいますよ。
でも、7割近くが2年以内なんて、まさか…、」先に紹介した日本の中小企業経営者のセリフには続きがある。
「まさか…、それでは1人前の職人が育たないではないですか」と言うのだ。
状況はその言葉通りだ。
韓国の中小メーカーには「匠」はおろか、「熟練工」と評価できるような人材もほとんどいないのだ。
生産職を、
①財閥系大手のアセンブリ工場や化学系など装置産業の工場、
②大手造船重機型の生産現場、
③中堅部品メーカー、
④建設作業や中小、零細の汎用部品、日用品のメーカー…、と分けてみよう。
①はサムスン電子やLG、あるいは現代自動車電気や自動車など数が限られる。
②韓国では「伝統ある産業」にあたる。
鋼材の研削、溶接、クレーンなどの操縦、塗装…様々な職種がある。
強力な労組があることもあり、生産職の中では賃金水準が極めて高い。
最大手の現代重工業の場合、「11年の社員平均年俸は78,300,000ウォン(5,730,000円)」
(朝鮮日報12.4.2)だ。
それでも新規高卒者の方が敬遠する。
「大手なら生産職でも」と言う大学新卒も敬遠する。
なぜなら「机に向かって本を読むだけ」の両班生活を理想とする朝鮮半島の
伝統的価値観に照らせば、造船重機部門の生産職とは、力を使い、汗と油にまみれ、
それは奴婢の仕事そのものだからだ。
就職情報会社がアルバイト経験のある大学生1813人を対象に調べた結果を中央日報(09.7.2)が報じている。
最高のアルバイトは事務補助12.9%で、家庭教師8.4%、売り場の販売担当7.8%。
最悪のアルバイトは、生産ライン勤務7.9%がトップで、ビアホール、居酒屋7.7%、
サイバーカフェ7.7%、宅配便7.2%、コンビニ6.6%、チラシ配り号店3%。
ここで言う「売り場の販売担当」とは高級品を扱う専門店に静かに佇み、
客にアドバイスする役のことだ、販売業務は同じでも、体力がいるコンビニは最悪なのだ。
正式な就職ではなくアルバイトの事とは言え、韓国人とりわけ大学生の勤労観を知る上で、
これは貴重なデータだ。
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