手作業工程は、必ずしも韓国人が不得手とし、日本人が得意と言うわけではない。
工具や機械の日常的メンテナンスは油で汚れる。
3K仕事の1つだ。
しかし、日本の多くの部品メーカー日用品メーカーには「一人前になるには、
それを嫌がってはいけない」と言う圧倒的な雰囲気がある。
一方韓国では、どうか。
それは、韓国人の意識からすれば「人間として扱われない連中」、
すなわち現代の奴婢がするような仕事であり、当事者たちもそこで「一人前になろう」
「熟練工になろう」とは考えてもいない。
こんなことを言うと、すぐに出てくるのは「技能五倫での韓国のメダル数は…、」
との反論だが、技能五倫に出てくる韓国人は、報奨金を目の前にぶら下げられた
特別育成された人材だ(スポーツ五倫も同様だ)。
現に韓国がどれだけ技能五倫でメダルを取ろうと汎用部品や日用品に、
その成果が反映されていないではないか。
韓国語を知らない日本人でも、ソウルの町工場、修理工場を何件か回れば、
いやでも覚えてしまう韓国語が2つある。
1つは「ヒムドゥロヨ」。
本来は「力が入る」の意味だが、生産、作業現場では「厄介だ」「めんどくさい」といった感じで使われる。
もう一つは、韓国通の間ではすでに有名な「ケンチャナヨ」だ。
様々な意味を持つ言葉だが、生産作業現場ではもっぱら正確さを容認する言葉として使われる。
「構わんさ」「いいじゃないか」「これでよかろうよ」といった感じだ。
ときには、違法性を容認する意味にもなる。
「ヒムドゥロヨ」と「ケンチャナヨ」が煩雑に聞かれるのは、生産現場や修理工場に限ることではないが、…。
朝鮮日報(11.10.29)が、「非正規職は11年8月の時点で5,995,000人と、史上最大規模となった」
とする統計上の発表と、正規職の規模を集中的に追跡している韓国労働社会研究所の
「11年3月時点で非正規職の数は8,310,000人、賃金労働者17,060,000人の48.7%に達する」
と言う推計を対比させる記事を載せていた。
つまり、韓国の勤労者のほぼ半数が非正規雇用の可能性があると言うことなのだが、
もっと衝撃的な記事がある。
「国税庁の08年資料で、勤労者の3人に1人は日雇いであることがわかった。
特に30歳未満の場合は10人に4人だ。
彼らの平均所得は常用勤労者の5分の1にもならず」(中央日報10.7.12)建設作業や
中小零細の汎用部品日用品のメーカー。
つまり、先に4分類したうちの④の職域は、常に人手不足だ。
逆に言えばこの職域で働く人間は、いつやめてもいつでも次の就職口がある。
どのみち日雇いの低賃金なら、ちょっと不満があれば、あるいは少しだけ給料の高い働き口があれば、
すぐにやめてしまうわけだ。
「中小企業の工場で働くよりは、サービス業や風俗産業で働くことを好む若者が少なくない。
失業大乱の危機の中でも改善されない中小企業の求人難を解決するためには、
生産現場で汗を流す人々が優遇される政策を展開しなければならない」
これは、東亜日報(09.6.30)だ。
具体策の提示なき綺麗事社説の典型だが、「風俗産業で働くことを好む若者が少なくない」と
出てくるのは、とても興味深い。
「風俗産業で働くのは女性だけでは…、」と考えてはいけない。
昔は「チェビ族」(韓国語のチェビは燕のこと)、今はドップリおばさんを待ち受けるクラブやバーに、
整形イケメンホストがたくさんいる。
ホモ専門もあると聞いた。
ともかく「生産現場で汗を流す人々」はどこまでも冷遇されている。
彼ら自身自分がしている仕事に誇りを持っていない。
いや、誇りを持てなくするような、李王朝以来の勤労観が、今も韓国社会を支配してるのだ。
韓国労働研究院の報告書によると「10年の場合、正規職労働者の平均勤続年数は2年に満たなかった。
非正規職労働者の50.6%は、6カ月以内に会社を辞めた」(東亜日報11.10.25)従業員が、
こんな超高速回転する部品メーカーに「期日通り、不良品のない納入」など期待できない。
中間財、最終製品が精密さを要求されるものであればあるほど、
大手財閥系の組み立てメーカーなどは「確かな外国製部品」に頼らざるをえなくなる。
韓国人は見栄えの良い最終製品が生産されることを誇りとしている。
しかし、その中の部品や、組み立て過程で使う工作機械についてはほとんど関心がない。
そして、財閥系企業の関係者に限らず、最終製品を組み立てる会社を「えらい」とみなし、
部品の中の部品を作っている企業を「虫けら」のような存在とばかり蔑視している。
すぐ近くに「小さくて、つまらないもの」(部品の部品)を、何が面白いのか、
一生懸命に作っている不思議な国がある。
そこは不良品もないし、納期も守る。
それなら「そこから買ってやればいい」とお得意の上から目線で判断するわけだ。
結果として、韓国の輸出が伸びるほど、日本の対韓部品輸出が伸びる。
国内部品メーカーはますます落ち込む。
財閥は、輸出できそうな関連中間財があれば、関連下請けから取り上げて自前の子会社で生産する。
そして「我が傘下では部品メーカーが育っている」と喧伝するのだが、中間財の中の重要部品は、
やはり輸入品と言うわけだ。
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