東亜日報(07.5.30)は「オピニオン、時間外手当に眼がくらみ」と言う記事を載せている。
「窓のある区役所の状況室(庁舎中=警備室のようなもの)の横には、
勤務時間を記録する指紋認識機が設置されている。
庁舎ビルから明かりの消えた真夜中に、どこからか区役所の職員たちが1人2人と姿を現し、
指紋認識機に親指を当てて帰る」「公務員たちの時間外勤務を水増しする現場の姿だ」
「ひどい場合は休日にもこのような姿を見ることができる」
「水原市は全職員の勤務時間を5年間、午前8時出勤午後11時退勤に偽証し、
時間外手当333億ウォンを横領」「責任者3人が減俸1ヵ月の処分を受けたのが懲戒の全てだ」
もう「残業代稼ぎ」と言うより「市役所団結、職員一丸の残業代泥棒」だ。
次は世界的な人材コンサルティング会社が20カ国で実施した調査の記事だ。
「自分の業務に没入して仕事をしている会社員の比率は6%に過ぎないことがわかった。
世界平均の21%を大きく下回る」「業務に没入せず働いていたり、
やむを得ず会社に通っている会社員の比率は48%と、世界平均の38%に比べて10ポイント高かった」
(中央日報10.4.2)監査院(日本の会計検査院と人事院を合わせたような組織)が政府出資機関のうち、
5つの金融関連機関を監査した結果も興味深い。
「韓国輸出入銀行で職員全体の23.7%、韓国産業銀行で14.8%、韓国資産管理公社で、
10.0%が時間勤務時間内に個人的な株取引を行っていた」(朝鮮日報11.6.28)
韓国ツアーのガイドは相も変わらず「韓国人の勤勉さ」を1行ツアー中に何度も語ると聞いた。
日本で出版されている韓国入門書や観光ガイドの類も、大体のところ「韓国人の勤勉さ」に触れている。
では、韓国人自身は、どう考えているのだろうか。
「韓国はかつて先進国に追いつくため、より一生懸命働くべきだと考え、
長時間労働を当然のこととして受け止めてきた。
世界最長の労働時間を、韓国人の勤勉さを示す指標だと考えた。
韓国経済がここまで成長したのは、このような長時間労働のおかげだと思うとも言える」
「しかし、長時間労働の効用は既に限界に達している。
家庭を犠牲にし、勤労者の健康や安全を脅かし、能力開発の機会を減らし、
生産性を低下させると言う作用の方が目立っている」
「上司の顔色を伺うような韓国特有の企業文化の為、
会社員たちが不必要な残業を行うなど時間の浪費が多い」(朝鮮日報12.6.24)
かつては長時間労働が勤勉さの表れと考えられ、それなりの成果を上げてきたが、
今は惰性としての長時間労働だけが続いているのだと私には読める。
そもそも、国民総所得が少ないのに長時間労働とは、生産性が低いだけのことだ。
「韓国人と勤勉さ」に関しては、中央日報の日本語サイトで「勤勉」を検索してみた。
このサイトで検索できるのは、01年以降に日本語に翻訳アップされた記事のみ。
同紙の全ての記事ではないが、「大統領」を検索してみたら10年8ヶ月分の記事から16,279件が出てきた。
なかなか充実している。
「勤勉」と言う言葉を含む記事数はたった81件だった。
その子細を見ると、他国民に関する記述だったり、有名なサッカー選手など
特定の個人や少数の集団に対する形容だったり、あるいは韓国企業の海外工場の完工式で
地元首長が述べた挨拶だったり、朴正煕政権下の「セマウル(新しい村)運動」を回想する話であったり、…。
「自画自賛大国」にして、純粋な韓国人(韓国系米国人などを含まない)、
あるいは執筆した記者自身が、今日の韓国人全般について述べている事例は5つしかなかった。
その中にも「韓国人は勤勉なのだから…、「と叱咤激励調や、
「勤勉な公務員で埋まった政府はどれほど頼もしいか」と皮肉めいたコラムがあった。
どうやら、「韓国人は勤勉だ」とは、韓国事情に疎い外国人に向けてだけ話すPR文句になったのだろう。
毎日のように「怠慢な公務員」「生産現場や工事現場の手抜きミス」
といったニュースに触れていたら、韓国人自身、「わが国民は勤勉だ」とは考えられない。
それなのに、観光ガイドは「韓国人は勤勉なんて嘘だろう」と茶化されても、
平然とした顔で「いいえ、韓国人の勤勉さは、韓国人が言っているのではなく、
世界中から認められていることで…、」と続けるそうだ。
その才は大したものだ。
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