アジア各国から中国向けの輸出が減速していると報じられている。
中国経済の減速や米中貿易戦争の影響が指摘されているが、
中国や取引先の国への影響が続くのか。
中国の国内総生産(GDP)統計があてにならないのは今や常識だが、
統計の中でも輸出入統計はある程度信頼できる。
なぜなら、中国以外の国による、中国への輸出入を合算すれば中国の輸出入もわかるからだ。
中国税関総署が2019年2月14日に発表した1月の貿易統計によれば、
ドル建て輸出は前年同月比9.1 %増、輸入は同1.5%減だった。
2018年12月の同統計は輸出が4.4%減、輸入が7.6%減だった。
市場では1月はさらに悪化すると予想していたが、実際の数字がそれを上回った。
ただし、1、2月の統計値は旧正月の影響を考慮しなければならない。
2018年の旧正月の休暇は2月上旬に始まったが、、2019年は2月4日だった。
このため1月の貿易取引には駆け込みの影響があったかもしれない。
多くのエコノミストの意見でも、1月の貿易統計の数字だけで中国が回復したとはしていない。
数字そのものを見れば、中国経済の景気減速は明らかだ。
ちなみに、2018年10月、11月の輸出の前年同月比はそれぞれ15.6 %増と5.4 %増だった。
輸入はそれぞれ21.4 %増と3 %増だったから、12月は急激に減速しているのがわかる。
中国の輸出減少は、相手国の中国向け輸出の減少でもある。
日本でもその影響が出ている。
財務省が発表した2019年1月の貿易統計速報によれば、中国向け輸出は前年同月比17.4%減だった。
2018年12月の7.0減から2ヶ月連続の減少で、減少幅は拡大している。
内訳は電子回路、半導体製造装置などで、米中貿易戦争の影響から
中国経済が減速していることが背景にある。
この余波を受けて、例えば日本電産は2019年3月期の連結純利益見通しが
前期比14%減になると公表した。
筆者は再三、世界各国で輸入の伸び率とGDP成長率には安定的な相関関係があると述べてきた。
これを利用して輸入伸び率からGDP成長率を推計できる。
2018年中から12月輸入伸び率は5.6%なので、これに対応するGDP成長率は0から3%程度となる。
2019年1月の輸入伸び率も芳しくないため、中国経済が低迷しているのは間違いない。
中国経済と関係のある日本企業でも、日本電産のように影響が出ている。
ましてや日本より関係の深い韓国では、さらに影響が大きい。
例えば、サムスン電子の中国におけるスマートフォンの販売台数は、
中国企業の台頭もあって急速に減少。
2018年11月は前年同月比52%減と伝えられている。
その結果、販売シェアは1%まで低下した。
米中の貿易戦争は安全保障問題もからむため、多少の交渉では完全解決に至らないだろう。
中国の景気対策効果が、対中輸出の今後の動向のカギになってくる。
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