財閥に依存する韓国経済だが、以前から韓国経済は「サンドイッチ現象」だと言われてきた。
「価格では中国に勝てず、技術では日本に勝てない」と言う意味で、
サンドイッチになっていると言うわけだ。
日本では小泉純一郎政権時代に不十分ながら金融緩和をした結果、
円は他の通貨に対して相対的に増えて円安になった。
これが福田康夫政権以降、日銀の言いなりで金融引き締めに転じて円高傾向になった。
それをさらに加速させたのが、民主党政権だ。
そのため、韓国ウォンは日本円に対してウォン安になった。
これによって韓国は、日本製品と比べて技術はイマイチでも価格競争力で優位に立ったのだ。
技術差は価格差に勝てない。
多少の技術差は、一般人にはあまりわからないからだ。
その結果、スマートフォンや家電製品の世界市場において、韓国製品が日本製品を凌駕するようになった。
韓国ウォン安は中国人民元に対しても同様だったため、中国製品に対しても価格競争力の差が以前ほどではなくなった。
こうして韓国のサンドイッチ現象は、日本の金融引き締めと言う無策のために、逆に韓国経済の後押しになったのだ。
そこにアベノミクスが登場した。
韓国もアベノミクスの本質が金融緩和にあり、それがもたらす円安効果を見抜いていたと思われる。
そのためか、筆者のところに韓国の在日本大使館、在日マスコミなどから多くの取材が来た。
その際、アベノミクスになれば韓国経済はそれまでの優位性を失うと言う趣旨の話をしてきた。
今の韓国経済を見ていると、筆者の予想は大きく外れていなかったと思う。
確かに財閥の業績は悪くなった。
では今後、韓国経済は果たして苦境に立たされるのだろうか。
財閥の企業活動からも韓国経済は見えてくるが、むしろマクロ経済の視点で捉える必要がある。
韓国経済と日本経済はかなり似た産業構造で、ともに原材料に技術等で付加価値を高めている。
そのため、日本の経済政策の巧拙が韓国経済にもろに反映しがちだ。
日本がうまくいけば、韓国は劣勢になると言う意味で、アベノミクスがまともに機能する間に
韓国経済はかなり苦しいはずだ。
そこで韓国でもかつて、アベノミクスをパクって「チョイノミックス」と言う同じようなことをしていた。
当時、韓国の財務大臣だった〇〇○と言う名前から名付けられたが、実際はうまく機能しなかった。
経済がうまくいかないと悪循環が生じるが、韓国経済にとってはむしろ韓国企業の「ゾンビ企業化」が気がかりだ。
破綻した韓進海運がその典型で、韓国企業は多くの負債を抱え、利益が出ても借金の利息が払えない企業が続出した。
日本でもバブル崩壊などで経済が落ち込むと、すぐに不良債権が問題になったのと似ている。
韓国経済の足かせは、日本のアベノミクスだけではない。
中国経済が低成長期に入り、もはや立ち行かなくなっているのだ。
中国経済の低迷は、サンドイッチのもう片方である価格の安さをさらに引き下げる。
これが韓国経済の足かせになっている。
韓国の対中依存は大きいから、中国経済が低迷すれば韓国の対中輸出は大きく減らさざるを得ない。
これは輸出依存度が高い韓国経済にとって大打撃だ。
いずれにせよ韓国経済の状況は、日本のアベノミクス、中国経済の低迷と言うマクロ経済から比較的単純に説明できる。
マクロ経済に疎い人でも、韓国経済の中核をなしている財閥企業の活動を見ていれば、
その内情はそれなりに見えるだろう。
ちなみに韓国経済の日本への影響はなくはないが、
日本はそもそも対外依存度が低い国なので影響は限定的だ。
むしろ影響受けないためにも、しっかりと自国のマクロ経済政策を行う必要があると言うことに尽きる。
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