トランプ大統領はG20で行われた中国の○◯国家主席との首脳会談で追加関税の見送りを決めた。
米国は、5月に発表していた3000億ドル(約32兆5000億円)分の中国からの輸入品に
追加関税を課す「第4弾」の制裁関税を開始し、米中間で「貿易交渉を続ける」としたのだ。
各国メディアは、米中貿易戦争の完全な解決ではなく一時休止だと評するが、
大方の予想通りと言う意味だ。
世界経済には一定の安心感が広がった。
トランプ大統領が米国企業に対し、中国の通信機器大手「ファーウェイ(華為技術)」との取引を
認める考えを示したことについては、「安全保障に関するもの以外」と言う条件付きだった。
これは意外ではなく当然のことである。
米国の事実上の輸出禁止措置を受けて、ファーウェイとの取引を停止する企業が相次ぎ、
スマートフォンの国内販売も延期となっていた。
トランプ政権では以前、中興通信(ZTE)も制裁を行っていた。
ファーウェイとZTEについては、以前から米議会などで
米国の安全保障を脅かす存在と指摘されてきたが、制裁措置ではZTEが先行した。
2018年4月、トランプ政権はZTEへの米国製品の輸出禁止を発表した。
しかし、翌5月、トランプ大統領は習国家主席への個人的な好意を理由として
ZTEへの制裁を取り下げるとした。
2019年5月15日、トランプ大統領がファーウェイの輸出禁止措置を発動したことで、
米Googleはソフトの提供を停止する方針を打ち出し、
ファーウェイとの取引を停止する動きが各国で進んだ。
米国は通信ネットワークの保守などに限って90日間の猶予措置を発表したが、
影響は広がると見られた。
ファーウェイの最高経営責任者(CEO)である〇〇○が日本メディアのインタビューに、
「これは想定内で問題は無い」と語っていた。
だが、額面通りに受け取ることが難しかった。
スマートフォンやタブレットは、ハードウェアとソフトウェアで成り立つ。
ソフトウェアには機械全体を動かす基本ソフト(OS)と、その上に乗せるアプリケーションの2種類がある。
OSがないとアプリケーションが乗らない。
ファーウェイはGoogleが開発したOS 「アンドロイド」の最新版にアクセスできなる可能性があったのだ。
こうしてみると米国の本気度はすごいもので、ファーウェイの息の根を止めかねないほどだった。
米国安全保障に関係すると、本当に恐ろしい国だ。
かつて、日本も米ソの冷戦時代の1987年に東芝機械のココム違反事件があり、
東芝製品がホワイトハウスの前でハンマーで叩かれたのは、筆者の世代ならよく覚えていることだろう。
いずれにせよ米中貿易戦争で注目されたのは、G20での米中首脳会談だった。
中国には、ZTEの時のようにトランプ大統領の好意を引き出したいと言う思惑があったはずだ。
そのためには、トランプ大統領と固い友情関係のある安倍首相の助けを借りたいほどだったのではないか。
世界経済にとって米中の和解が望ましい。
ただし、対中国の安全保障については、米議会で民主党も共和党とともに強硬姿勢である。
2020年11月の米大統領選を控え、 ここでトランプ大統領が変な妥協すると、民主党に攻撃の材料与えてしまう。
このため、ZTEのようにすぐに制裁解除になる可能性は低く、
ファーウェイ問題の解決には時間を要するのではないかと思われている。
いずれにせよ、G 20を経て一時休止した。
この程度でも歓迎されるように、米中貿易戦争が世界経済において最大のリスクである事は、
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事(2019年9月よりECB総裁に就任)も指摘している。
今後どうなるかわからないが、日本企業にはファーウェイ向け部品の供給減を心配するよりも、
ファーウェイ製品の世界シェアを食う位の気概が欲しいものだ。
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