【銀行デジタル革命】03デジタル通貨とは何か

本書ではデジタル通貨と言う用語が煩雑に登場しますが、

実は、デジタル通貨は明確に定義された言葉ではありません。

混乱を避けるために、本書でデジタル通貨と言うときの意味を最初に明確にしておきたいと思います。

 語義としてのデジタル通貨は、紙幣や硬貨の現金とは違い、

コンピューター上で電子的に価値が保存されたり、移動ができたりする通貨を言います。

 広義にはSuica(スイカ)やPASMO (パスモ)、Edy (エディー)nanaco(ナナコ)、

お財布携帯などのプリペイド型の電子マネーや、

コンピューターで電子的に管理されている銀行預金もデジタル通貨と言うことができます。

 また、近年、マスメディアでよく話題になるビットコインなどの仮想通貨も

デジタル通貨の範疇に入ります。

 けれども、一般にデジタル通貨と言うときには、

電子マネーや銀行預金が含まれる事は無いように思います。

電子マネーは商品やサービスの購入に使うことができても、

商品券等と同じように利用対象が制限されています。

また、一旦チャージすると現金と交換する、つまり払い戻しをする事は原則禁じられています。

 交通系電子マネーでは払い戻しは可能ですが、

手数料がかかる上本人確認が必要になるなど、かなり手間がかかります。

 また、理屈上はそうであっても、銀行預金をデジタル通貨と呼ぶのはしっくりきません。

 したがって、実際に店舗で買い物をする際に、直接利用でき、

かつ、利用対象が制限されていないものをデジタル通貨と言うのだと思います。

 一方、仮想通貨はデジタル通貨のひとつと考えられますが、

実際にはそれと区別して使われることが多いようです。

 仮想通貨の価値は円など法定通貨と結びついておらず、

価格変動が大きく、その価値が不安定であることがその理由です。

 本書では、法定通貨と1対1で価格変動なく交換できるものに限って

「デジタル通貨」の用語を使うことにします。

 それ以外の広義のデジタル通貨は、今一般に混乱なく使われている仮想通貨、

電子マネー、銀行預金などの用語を使用します。

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