【銀行デジタル革命】15デジタル通貨構想の前に“100万円の壁“

両行が構想していたのは、法律上は電子マネーに分類されるとみられる

デジタル通貨の発行でした。

ところが、それぞれが発行準備を進める中で、

構想には大きな障害があることがわかってきました。

当初構想では、設立が予定されているMUFGコインやJコインの運営会社は、

法的に、払い戻し可能な電子マネーを扱う事業会社と定義される会社とする方針でした。

その場合、マネーロンダリング(資金洗浄)対策の観点などから、

資金決済法により送金の上限は1回あたり100万円に制限されます。

これでは高額の送金に使えず、普及の妨げとなるのは明らかです。

Jコインはその解決策として、運営会社は電子マネーや電子マネーを扱う

事業会社ではなく銀行とすることも選択肢に入れているようですが、

その場合、金融庁に登録されるまでに、相応の時間を要する可能性があり、

2020年の東京5輪、パラリンピック前の実現を目指しているようですが、

難しいかもしれません。 

他方、三菱UFJ銀行はこの問題を回避するために、当初の計画を修正して、

MU FGコインの法的位置づけを電子マネーではなく

仮想通貨とすることを検討していると伝えられています。

その場合、MUFGコインの運営会社は仮想通貨事業者として登録されることになります。

しかし、MUFGコインを仮想通貨にすることで、ビットコインのように

価格変動が激しくなれば、

決済手段として敬遠される可能性が高くなります。

三菱UFJ銀行は、その対応策として自前の取引所を開設する方針を固めたようです。

取引所を自らが管理し、MUFGコインの価格の変動を押さえ込もうと言うわけです。

2018年度中の実現を目指すと言われていますが、もし実現すれば、

邦銀による仮想通貨の発行や取引所解説は初めてと言うことになります。

しかし、MUFGコインの取引量が拡大し、また仮に投資目的で取引する人が

出てきたときに、取引所の介入が価格の安定に充分機能するかどうか不透明です。

以上のように、フィンテック対応の1つとして、

デジタル通貨の発行に舵を切ったメガバンクですが、

実現には課題山積と言うのが実情で、開始時期は予定よりかなり遅れることも予想されます。

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