日本では現金がいまだに大きな存在感を失っていませんが、
世界では、現金を使わないスマートフォン決済の普及が勢いを増しています。
メガバンクのデジタル通貨発行の準備も、その流れにあります。
日本ではビットコインに代表される仮想通貨は、
スマートフォン決済で使われる通貨の一翼を担っていますが、
決済終了までに時間がかかることや価値が安定しないことなど、
決済手段に用いる通貨としては欠点もあります。
また、仮想通貨の流出消失事件を機に、その安全性に対する人々の不安も大きくなっています。
本章では、新しい通貨として注目される仮想通貨について、
日本での動向と決済通貨としての課題を中心に検討します。
まず仮想通貨の取引量を見ると、世界中で拡大が加速しています。
一般社団法人の日本仮想通貨交換業協会が2018年4月に公表したレポートによれば、
現在、世界で流通している仮想通貨は1596種類に及び、
同年3月末現在の時価総額は27兆円を上回りました。
中でも取引量が突出しているのは、消失事件で有名になったビットコインです。
時価ベースでは全体の45.2%を占め、その取引価格とその取引量拡大のスピードは瞠目に値します。
図表2-1にビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、
ビットコインキャッシュ(BCH)ライトコイン(LTC)の主要五通貨の1日あたりの
取引量の推移を示しました。
ビットコインの取引量は2015年3月末ではまだ27億円ですが、
その後拡大のペースを早めて2018年1月には3兆円に迫る状況にまで膨れ上がりました。
ビットコイン取引の中心にいるのが日本です。
日本仮想通貨交換業協会によると、取引に使われる法定通貨で円は57.1%のシェアを
占めています。
ビットコイン取引の6割が日本の取引所で行われ、
日本の投資家がビットコインの取引量を押し上げる牽引役をしていると言うことです。
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