【銀行デジタル革命】23早かった関連法整備

日本でビットコインの取引量が急速に拡大した背景には、日本政府による迅速な法整備と

中国当局による仮想通貨取引所の閉鎖があります。

2017年4月に資金決済法が改正されました。

法改正は、世界に先駆けて仮想通貨を「インターネット上で取引される財産的価値」と

定義し、税制、会計上は資産とした上で、仮想通貨と円とドルなどの法定通貨の

交換を行う取引所に登録制済を導入しました。

仮想通貨には法的地位が、取引所には当局の“お墨付き“が与えられたわけです。

さらに、取引所を運営する法人に、法人の口座と顧客の口座を明確に分ける

分別管理を義務づけ、顧客資産を取引所の破綻などから守る措置を講じました。

利用者保護のための迅速な法整備だったと評価できます。

また本人確認を求めることで、マネーロンダリング対策も講じられました。

こうした法整備により仮想通貨の取引の信頼性が高まったことが、

日本での取引量が拡大した要因の1つです。

一方、2017年9月に中国政府が中国国内の仮想通貨取引所を閉鎖したことも、

日本での取引量拡大の要因となりました。

中国では閉鎖前から規制強化が進められていたとみられ、

2016年代には世界シェアの多くを占めていた中国人民元建ての取引は、

2017年初頭から既に急減し始めていました。

取引所の閉鎖がこれに追い打ちをかけ、中国から日本の仮想通貨取引所に

資金が流入し、取引量を拡大させました。

一般に欧米追従型の政策が多くを占める日本で、政府が世界に先駆けて

仮想通貨に関する法整備を進めた背景には、2014年のマウントゴックス事件がありました。

ビットコインの取引所マウントゴックスを運営するMT.GOX社が経営破綻し、

顧客からの預かり金を保管する預金口座の残高が最大28億円不足すると言う

事態に陥った事件です。

当時の時価に換算してビットコイン470億円分が消失していたと言われています。

被害を受けた顧客も多く、政府は仮想通貨取引の信頼を回復するために

法整備を急いだのではないかと思われます。

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