ビットコインの激しい価格変動も、決済手段としてのビットコインの
利用拡大の大きな障害となっています。
ボラティリティー(価格変動率)が高い理由については第6章に詳述しますが、
仮想通貨の価値が明確でないことが底流にあると思われますビットコインは、
商店等での取引が完結するまでに時間がかかることに加え、
ビットコインを取引所で円などの法定通貨に交換するのにも時間を要します。
そのため小売などの事業者がビットコインを代金として受け取ると、
法定通貨に交換するまでの間にビットコインの価格が下落して、
損害を被る危険があるのです。
代金をビットコインで受け取ることに慎重な事業者が少なくないようです。
法定通貨の高い信頼性も仮想通貨決済が普及しない遠因となっています。
円やドルなど長い歴史を持つ法定通貨は既に利用されており、
多くの人々はその安全性に疑いを持っていません。
加えて中央銀行が、すでに信頼が確立している現金の発行流通を
いっそう拡大させる際には追加的なコストはほとんど不要です。
これに対し、生まれて間もない仮想通貨が信頼を勝ち得て、
その利用を拡大させていくためには、かなりのコストを要します。
一般に信頼性の低い仮想通貨が、仮想決済手段として信頼性の高い法定通貨に
とって変わるには、利便性の面で相当大きな利点があることなどが必須ですが、
前述の通り、決済手段としてのビットコインの利便性は高いとは言えません。
さらに、人々はすでに幅広く流通している法定通貨を使うことに、
これといった不便は感じていません。
そうした状況が続く限り、仮想通貨の決済手段として法定通貨に容易に代替される事は
ないと予想されます。
仮想通貨が決済手段として普及する可能性があるのは、
例えば自国通貨への信任が極めて低い国です。
インフレ率が非常に高く、自国通貨の価値が急速に目減りする危険性が
あるような国では、自国通貨よりも外貨であるドルの信認が高く、
ドルが広く流通している発展途上国は少なくありません。
特に物価変動が激しい国においては将来、仮想通貨による決済が
全体の8割以上となる可能性を指摘する専門家もいます。
ドルなどの外貨と異なり、仮想通貨であればスマートフォン決済が利用できるなど、
よりメリットがあるからです。
しかしそれは例外であり、多くの国では仮想通貨が決済手段として普及する可能性は、
将来にわたっても小さいと思われます。
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