アマゾンエフェクト(効果)と言う言葉が、日本でもよく聞かれるようになりました。
米インターネット通販サイトのアマゾンドットコムの急成長に代表されるように、
消費者が実店舗よりもネットでものを買うようになってきたころから、
百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれたり、
あるいは価格が安いネットショップと競合するために、
小売店が価格引き下げを強いられる状況などは、アマゾンエフェクトと呼ばれています。
MIT (マサチューセッツ工科大学)のアルベルトカバロ准教授は、
オンラインの小売価格と実店舗(オフライン)の小売価格の差を各国で調査し、
2017年にその結果を論文で発表しています(分析対象は10カ国、56の小売業者で、
日本ではビックカメラ、ケーズデンキ、ローソン、ヤマダ電機の4社が対象となっています。
この調査結果によると日本では、オンライン小売価格は実店舗小売価格よりも
平均で13%低くなっています。
これは10カ国平均の4%を大きく上回っています。
オンライン購入価格が実店舗小売価格よりも低いのは、
実店舗を持たないことによる各種コスト削減効果があることに加えて、
インターネット通販各社が物流ネットワークを整備したことによるコスト削減効果もあると見られます。
日本では、ネットショッピングに不慣れ、あるいは決済等の面で不安を感じる
中高年齢者の存在などから、ネットショッピングがまだ十分に広まっておらず、
その結果、2つの小売価格の間で裁定が働きにくいことが、
他国と比べて価格差が大きい背景と考えられます。
しかし日本でも近年、ネット販売の普及率が着実に高まっていることから、
実店舗での小売価格が押し下げられる形で、2つの小売価格の差が縮まっていると
考えられます。
日本銀行は2018年6月に、日本でのネットショッピングの拡大が物価に与える影響を
試算しています(河田皓史、平野竜一郎「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」
日銀レビュー、2018年6月)。
それによると、2017年のネットショッピングの拡大は、
総合消費者物価(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率を0.1から0.2%程度押し下げたといいます。
主要国の中で最も低い物価上昇率をさらに押し下げると言う形で、
日本でもアマゾンエフェクトが現れてきているようです。
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