三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATM (現金自動預払い機)を共通化することを検討し始めました。
メガバンク3行のうち、2018年6月から1年ほどかけて口座管理などを担う
勘定系システムを次期システムに移行するみずほFGは、当初こそ加わりませんが、
作業終了後はこのATM共通化の協議に参加するとみられています。
メガバンク3行のATM設置台数は、三菱UFJ銀行が約8300台、
三井住友銀行が約6000台、みずほ銀行が約5600台、合計で約20,000台にものぼります。
この先キャッシュレス化が進んでいけば、ATMの利用は減っていきます。
その中で、各行が自前のATMを維持していく事は、さらに大きな負担となります。
ATMの運営コストは、警備員や現金の輸送費等で、1台あたり月額数十万円とされます。
今までの自前主義を捨てて、相手行のATMを自行のATMのように
顧客が無料で使えるようにする一方、ATMの設置台数を減らしていけば、
顧客の利便性を損なわずにコストを削減することができます。
一方でATMの運営費を賄うために、無料を止めて、新たに顧客の手数料の支払いを求める銀行も出てきました。
新生銀行はこれまで無料だったATM手数料の1部を2018年10月から有料化する計画です。
またあおぞら銀行も2018年8月から独自のATMを順次廃止して、
郵貯銀行のATMに置き換えていく予定です。
三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、2018年夏ごろをめどに、
ATM共通化に向けた課題を整理して、ATMの使用や手数料の分配の仕方等の詳細を詰める予定です。
できるだけ早い時期に、東京都内の1部地域で共通化の実証実験を行って、
顧客の反応を見極めたいとしています。
さらに両行は、ATMを他校の顧客に無料開放することにとどまらず、
将来的にはATM自体を共通とすることも視野に入れています。
これが実現すれば、ATMの開発や維持にかかるコストをさらに大幅に圧縮できます。
しかしこれにはまだ障害もあるのです。
メガ三行で異なる通帳の仕様をどのように共通するか、
またメガ三行のATMの調達先メーカーはそれぞれ異なっているため、
これをどのように調整していくかが大きな課題です。
このような課題を抱えつつも、マイナス金利下での収益悪化やキャッシュレス化など、
大きな環境変化を踏まえて、ATM無料や自前主義から脱却しようとする動きは、
既に銀行業界での大きな潮流になりつつあります。
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