第二章で触れた通り、中国政府は2017年9月に仮想通貨取引所の閉鎖と言う
強硬策を決めました。
この動きに韓国当局が続きました。
2018年1月に法務長官が「取引所での仮想通貨取引を基本的に禁じる法案を
議会に提出する準備をしている」と発言しています。
発言を機に、仮想通貨の価格が世界的に大幅に下落しました。
それを受け、仮想通貨投資に熱心な若年層を中心に取引所の閉鎖の防止に
反対する反発が起こり、大統領府が「最終的に決めていない」とのコメントを出すに至っています。
しかし、規制強化の動きは突然浮上したものではなく、
韓国当局はすでに2018年の年初から、仮想通貨取引に実名制を導入し、
青少年、外国人による取引を禁じていました。
日本でのビットコインの取引は2017年夏以降、活発化した要因には、
前述の通り、適切な法整備と中国での取引所閉鎖がありました。
中国からの資金流入は、金融規制の回避を狙って投資家などが活動を海外に移す、
規制アービトラージの1種だといえます。
1018年3月には、アルゼンチンで開催されたG20で仮想通貨が初めて議論され、
投機による急激な価格変動や、脱税、マネーロンダリングなどに利用される可能性など、
仮想通貨の負の側面が指摘されました。
具体策はありませんでしたが、国際的な規制強化のきっかけになる可能性はあります。
世界的に仮想通貨取引に対する規制が強化される中、
日本の規制が現行のまま維持されれば、相対的日本の規制は緩やかであることになり、
それが規制逃れの投資家を海外から日本に呼び込む誘因となる可能性があります。
海外の投資家が日本の仮想通貨市場に殺到することになれば、
日本は諸外国政府から批判を受け、規制の見直しを余儀なくされるかもしれません。
韓国の仮想通貨関連の報道を受け、
麻生太郎財務相は「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」と発言したと報道されています。
現時点で、日本政府は海外での規制強化の動きを静観していますが、
今後、規制アービトラージが大きな問題と発展して行く可能性は否めません。
──────────規制アービトラージ
規制のアービトラージとはある管轄権の規制が厳しい場合、
グローバルな金融機関はより対 応が容易な他の管轄権に移動することで
規制を回避することが可能なことを言う。
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