フィンテックの中で、多くの中央銀行が最も強い関心を寄せているのが、
ビットコインのブロックチェーンに代表される分散型台帳技術(DLT)です。
DLTは金融取引で価値を移転する際のデータを記録する技術ですが、
価値移転が中央集権的な仕組みなしに、第三者機関(中央機関)を経由しないで
行えるところに最大の特徴があります。
DLTでは、ネットワークで繋がれた複数のコンピュータが、
取引の検証と更新を行っています。
DLTは中央銀行が担う既存の中央集権的な決済システムに挑戦する存在のように
見えますが、日本銀行は自らのシステムに敵対しかねない技術であっても研究し、
必要に応じて導入することを検討しています。
日本銀行はD LTを「特定の帳簿管理者を置かずに、参加者が同じ情報を共有しながら
資産や権利の移転などを記録していく情報技術」と定義しています。
D LTは分散型の記録技術ですが、それに対して中央管理型では参加者が送金情報などを
管理者に送り、管理者がそれを検証した上で帳簿に記録すると言う違いがあります。
DLTの特徴は一般に次の3つと指摘されています。
第一に、DLTでは分散型ネットワークを用いて台帳の記録が行えることです。
中央サーバーはなく参加者で台帳が共有されるため参加者すべてのコンピューター
(ノード)が停止しない限り、システムダウンが生じません。
システムダウンに強いと言う長所があります。
第二に、分散型ネットワークの下で、参加者すべてのコンピューターで
同一の取引台帳が共有されます。
中央サーバーだけで台帳管理されている場合に比べ、取引記録を改竄するには
格段に大きな時間とコストを要します。
そのため、改竄困難なシステムだといえます。
第3に、低コストで台帳管理ができることです。
DLTを活用した仮想通貨が低コストの送金や決済を実現させたのと同じことです。
DLTの応用範囲は、仮想通貨やデジタル通貨に限られません。
例えば、証券取引のシステムとしても導入が検討されています。
金融分野以外でも、不動産登記簿の管理、医療データの管理、絵画、宝石、銃刀類等の
所有権の移転の管理などでも応用が検討されています。
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