中央銀行デジタル通貨とは、政府がその効力を保証して中央銀行が発行する、
信用力が極めて高い法定デジタル通貨のことです。
それは法定通貨建て、つまり日本では円建てで発行されます。
既に見た仮想通貨は円等法定通貨との換算レートが大きく変動するため
決済手段としての利用は限られていますが、中央銀行デジタル通貨には
そのような欠点はありません。
邦銀にによる独自のデジタル通貨は、銀行が発行主体となりますが、
完全に円と一対1で交換できるかどうかわかりませんし、
その銀行が破綻した場合にはその価値をしなってしまう可能性もあります。
しかし中央銀行が破綻する事はありませんから、その危険性もありません。
一般に、中央銀行がデジタル通貨の発行を真剣に検討し始めるきっかけとなるのは、
小口決済の手段として仮想通貨が普及して現金を代替し、
中央銀行の金融政策の有効性を低下させたり、
その利用から排除される高齢者や低所得者等を救済する、
いわゆる金融包摂のか必要が生じたりすることだと考えられます。
次節に詳述しますが、中央銀行の中で、デジタル通貨の発行に最も積極的であり
議論が進んでいるのはスウェーデンのリクスバンクです。
前述の通り、スウェーデンではキャッシュレス化が進み、
現金流通額の名目GDP比率は2015年時点で1.8%まで低下しています。
そのため、広い意味でのデジタル通貨の信頼性を高め、すべての人々が安心して
電子決済を利用できるようにするためには、中央銀行デジタル通貨発行の必要性が
高まっているのです。
これに対し、米国の現金流通額の名目GDP比率は7.4%と比較的高い水準を維持しています。
FRBがデジタル通貨発行の検討を始めたと言う観測が衝撃を持って受け止められたのは、
米国はスウェーデンのようにその必要に迫られているとは言えず、
検討開始はかなり先のことであろうと予想されていたからです。
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