将来的にお金がデジタル化していくのはほぼ間違いないと思いますが、
ビットコインが真の勝ち組なのかと言うと、まだわからないというのが正直なところです。
例えば、後発の「リップル」や「ジーキャッシュ」の方が技術的には改善されていて
ビットコインよりも優れている面は確かにあります。
しかしながら、数ある仮想通貨の中でビットコインが例外的に普及したのは、
劇的な偶然が重なったからだと言う見方があります。
別の仮想通貨がこの先、ビットコインがたどってきたような歴史をもう一度繰り返して、
世間に受けられる受け入れられるかと言うと、なかなかうまくいかないのではないかと
私も考えています。
ビットコイン以前にも、例えば「PayPal」のように、オンライン通貨を作ろうと言う
試みはいくつもありました。
電子メールを利用して決済するPayPalは、クレジットカード情報を
ネット上でやりとりしたくないと考える人たちには受け入れられ、
それなりに普及しましたが、「通貨」そのものにはなれませんでした。
1企業が新しい通貨を創造しようと思っても、周囲の人たちがそれを簡単に認めるわけは無いからです。
企業が「仮想通貨」を作っても、その企業内でしか通用しない場合がほとんどで、
その企業の枠を超えて広がるのは難しいのです。
その意味でも、企業が発行した仮想通貨はポイントカードやゲーム内通貨と似ています(48ページ参照)。
最初からオープンソースで作られたビットコインとは根本的に違うのです。
特定の国に支配されない通貨を作ろうと言う発想自体は、以前からありました。
有名な経済学者の間でも、第二次世界大戦後の通貨体制を決めたブレトンウッズ会議で、
「バンコール」と言う世界通貨を提案しましたが、米国の反対にあって実現しませんでした。
もしバンコールが「基軸通貨」になっていれば、現在まで続く米国の覇権
(パックスアメリカーナ)も全く違う形になっていたかもしれません。
しかし、国際公用語を目指して作られた人工言語「エスペラント語」が
普及しなかったように、後から人工的に編み出された通貨が定着するには、
様々な偶然が重なる必要があるようです。
冷静に考えれば、特定の国の通貨が基軸通貨となり、
通貨発行権を事実上独占することの弊害はいくらでも思いつきますが、
物事は理念だけでは動かないと言うことです。
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