私が考えるフィンテックの本質は、それまで人がやっていた作業を
テクノロジーで置き換えることで、劇的にコストが下がる結果、
今まで富裕層にしか提供できていなかった様々な金融サービスを、
一般の人にも適用できるようになる、と言うことです。
つまりテクノロジーによって「金融サービスの民主化」が実現する。
これが最大のメリットではないかと思います。
自動化によってただ安くなるだけではなく、一般の人たちも便利なツールが行き渡るわけです。
資産総額一億円以上の顧客に限定されていた資産管理サービスも
疲れを知らないロボアドバイザーなら、年収数百万円の人をターゲットにしても、
充分成り立ちます。
企業から見れば、ピラミッドの頂点付近の人しか相手にできなかったのが、
裾野のほうの人まで視野に入ってくるわけです。
米国の例を見ても、フィンテックを牽引しているのは、既存の金融機関ではなく、
圧倒的にスタートアップです。
既存の金融機関は、新しくて安いサービスを立ち上げようとすると、
既に稼働している既存サービス(割高でしっかり儲かっているサービス)と
食い合いになり、まさに「イノベーションのジレンマ」にはまってしまって、
身動きが取れないからです。
一方、スタートアップは、巨大な金融機関とまともに勝負してもかなわないので、
銀行や証券会社がひとまとまりで提供してきたサービスを細かく分割し
(これを「アンバンドリング」といいます)、1つの機能に特化したサービスを
低コストでスピーディーに提供しています。
例えば銀行には貯蓄機能や決済機能、送金機能などが集中していますが、
その1つの機能に対して、数多くのスタートアップがより使い勝手の良いサービスを
立ち上げて、成長スピードを競いあっています。
日本のフィンテックスタートアップは、後ほど紹介する資産管理にしろ、
ロボアドバイザーにしろ、会計アプリにしろ、シリコンバレーでいち早く実現し、
常に世の中に定着したサービスが数年後に日本に登場する、
いわゆる「タイムマシン経営」のパターンを取るところが多いので、
目新しさはそこまでない代わりに、確実にニーズを捉えて軌道に乗りやすいと言う
面があります。
先行する米国のサービスはライバルたちとの熾烈な競争を生き残り、
IPOやM&Aを通じて「時価総額」と言う目に見える金額で評価されているので、
日本の類似サービスに対しても、そこまで大きく外さないだろうと言う予測が
立ちやすく、ベンチャーキャピタルの投資しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
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