問題、200年間に中国を侵略した国を選べ。
①フランス
②ドイツ
③イギリス
④日本
⑤ロシア
⑥アメリカ
⑦1から6のすべて
読者が中国人あるいは東洋史専攻の学生でなければ驚くかもしれないが、
正解は7の「1から6の全て」である。
実際、中国の軍事力増強の最も明白な理由は、他国への恐怖心と国土防衛の追求である。
中国のこうした懸念は、いわゆる「屈辱の100年間」に深く根差した至極もっともなものである。
アヘン戦争から日本降伏までに中国が味わった恐怖
1839年にイギリスとの第一次アヘン戦争によって始まり、1945年の日中戦争終結まで
続いたこの「屈辱の100年間」に中国は、軍事支配、海上封鎖、領土の割譲、
多額の戦争賠償金、主権の侵害、大量虐殺など、現在の中国が恐れているものを全て経験した。
1839年以前、1600年代まで遡れば、中華帝国は誰もが認めるアジアの超大国だった。
東南アジアのビルマ「(現在のミャンマー)やベトナム、中国の西側に位置する
ネパール、東アジア朝鮮などは、中国に定期的に朝貢する従属国だった。
1683年までには、中国が台湾を征服して太平洋の重要な通路を確保した。
だが、アジアにおける中国の覇権は、1839年、イギリスの強力な海軍によって
香港と九竜半島及びすべての主要な港の支配権を事実上割譲させられた時に、
不名誉な形で突然終わりを迎えた。
その後、大英帝国は中国の勢力範囲からネパールをも奪い、ビルマを植民地化した。
帝政ロシアは、東北部のかなりの領土とともに、戦略上重要な日本海のへの通路を
武力で脅し取った。
フランスは台湾の海上封鎖によって中国にベトナム北部の支配を移譲させ、
インドシナ植民地化の地ならしをした。
これだけの屈辱を受けたにもかかわらず、最悪の時代はまだこれがからだった。
今度は、隣国の日本が侵略してきたのである。
2世紀にわたる鎖国の眠りから覚めた日本は、中国とは違い、西洋の進んだ軍事技術を
積極的に受け入れてすでに近代化していた。
1894年までには、大日本帝国は日清戦争の勝利をテコに朝鮮半島の事実上の支配権を
握り、台湾を戦利品として奪い取った。
日中戦争へとつながる武力衝突を繰り返す日本は鉱物資源豊富な満州を占領し、
1932年に傀儡国家満州国を樹立した。
1940年までに、日本による過酷な占領は、中国東部の大半と中国の主要な港すべてに
及んだ。
中国の「屈辱の100年間」は1945年日本が連合国に降伏したことでようやく終わった。
「屈辱の100年間」を通じて中国人の心に深く恐怖を植え付けたものが、
広大な領土を失ったと言う事実だけではなかった。
中国人の心に深く残ったのは、列強の残忍性そのものだった。
例えば、外国の産業に対して中国人が蜂起した、1899年から1901年の義和団事件の際には、
アメリカを含む列強は国の連合軍兵士2万人が北京に突入して反乱を鎮圧したが
ドイツ主導のこの連合軍は数々の残虐行為をおこなったが当時の新聞は、
「略奪の限りを尽くした」と表現している。
レイプが横行し数千もの中国人女性が辱めを逃れるため自ら死を選んだ
(フランス兵とロシア兵によるものが特に多かった)。
日本兵についても1930年代の残虐行為のいわば前哨戦として、
義和団メンバーとされた人々の首を熟練の手さばきで次々とはねたと言う記録が残っている。
この屈辱の歴史を考えれば、100年以上もの間苦しめられた列強の侵略を
二度と許すまじとばかり現在の中国は軍事力を増強しようとするのも当然だと思われる。
だが、中国の軍事力増強を国土防衛のためだとする解釈が、
我々の推理作業の結末ではない。
推理作業はまだ始まったばかりである。
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