【米中もし戦わば】020-02「中国復活のために戦略上欠くべからざる空間」

しかし、台湾を取り戻すと言う中国の強い意志を、「屈辱の100年、二度と許すまじ」と

言うプライドとナショナルズム的情熱だけに根ざしたものと考えるのは誤りである。

台湾という「離反した省」を再び本土の権威に従わせることを北京が必須事項だと

考えるのには、少なくともあと2つ、非常に切実な理由がある。

 戦略地政学的な理由とイデオロギー的な理由の2つである。

 戦略地政学的な理由は、不動産の価値を決める3条件と同じである。

 つまり、1に立地、2にも3にも立地リッチ、である。

 台湾は、第一列島線のほぼ中央に位置している。

 人民解放軍少将、彭光謙と、姚有志は、台湾の持つ戦略地政学的な意味を、

「仮に台湾が本土から切り離されるようなことになれば…中国は永久に、

西太平洋の第一列島線以西に閉じ込められてしまうだろう」、

そうなれば「中国の復活のために戦略上欠くべからざる空間が失われてしまう」と

述べている。

イデオロギー上の理由は、「離反した省」、すなわち台湾の自由民主主義は

ほぼ完璧に成功していることである。

 歴史的事実をはっきりさせるために述べておくが、台湾の民主主義は、

1949年に中華民国総統・蒋介石と国民党支持者らが台湾入りした時に

もたらされたものではない。

 それどころか、蒋介石が数十年間総統の座にあった中華民国政府は、体制こそ違え、

その残酷さと過酷さにかけては毛主席率いる大陸中国と何ら変わりがなかった。

だが、注目すべき点は、台湾がその後民主国家に生まれ変わったことである。

 1996年に初めて民主的な総統選挙が行われて以来、

台湾では活発な民主主義が正しく機能している。

 台湾の公開討論ーの白熱ぶり、極端に高い投票率、権力の平和的移行は、

政治的自由が経済成長と経済の解放とともに発達していくことを見事に示している。

 実際、台湾の民主主義は北京の独裁政権を大いに脅かしている。

 というのも、北京が熱心に繰り返している、「文化と国民性の違いから、

中国人は、経済発展と儒教的社会秩序の維持のために国際的な強い政府を

必要としているんだ」と言う主張が真っ赤な嘘だと言うことを、

民主主義国家・台湾の存在が証明しているからである。

 ナショナリズム、戦略、地政学、イデオロギーと言うこれらの3つの理由から、

中国は台湾を大陸の支配下に取り戻そうとしている。

 それを守るためなら戦う用意があると中国が明言している、

いわゆる「革新的利益」の中でも、台湾は必須の「革新的利益」なのである。 

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