だから、北朝鮮経済が常に危機的状況にあるのは理由のないことではない。
腐敗と共産主義的な非効率の重みに耐えかねてソ連がついに崩壊したのとは違い、
北朝鮮がいまだに崩壊しないのは、ひとえに中国のおかげである。
中国は北朝鮮に、北朝鮮が輸入するエネルギーの90%、食料の45%を供給している。
中国と言う命綱を奪われたら、北朝鮮は速やかに崩壊するだろう。
ここで、当然のことながら疑問が湧いてくる。
なぜ中国は、中国人地震を戦争の、それもおそらく核戦争の渦に巻き込む恐れのある
政権にテコ入れし続けるのだろうか。
同じ疑問を抱いている中国の指導者も少なくとも数人はいるのだが、
その一方で中国が明らかに恐れているのは、北朝鮮が崩壊した場合、
あるいは、西ドイツが事実上東ドイツを吸収したのと同じような形で北朝鮮が
韓国と和解した場合でも、統一された朝鮮半島は中国ではなく、
民主的な米韓同盟の側につくだろうと言うことである。
経済的な面でも、中国は北朝鮮を、自国の産業が必要としている資源の調達に利用でき、
自分の思い通りになる植民地だと考えている。
外交問題評議会によれば、「北朝鮮に投資する企業が増えており」
「こうした企業は北朝鮮北部の鉱物資源開発の巨額の投資を行っている」と言う。
政治レベルでも、北朝鮮が数十年にわたって非常に重要な「交渉の切り札」として、
(シニカルの意味で、ではあるが)中国の役に立ってきた。
というのも、北朝鮮がミサイルを発射したり、核実験をしたりして
挑発的な態度を見せるたびに、毎度お人好しのアメリカが、
中国が自分の「だだっ子」をおとなしくさせてくれるだろうと期待して、中国に頼るからである。
だが、アーロン・フリードマン教授がいみじくも述べているように、
中国は「テーブルセッティングをすると言う点では有効だが、
食事を出してくれた事は1度もない」。
不安定な度を増していく北朝鮮を中国が支援し続ける重要な理由として
最後にあげられるのは、朝鮮戦争以来の中朝の軍隊の親密な関係である。
朝鮮戦争中、躊躇中朝の兵士100万人以上が「米帝」の手にかかって命を落とした。
それから60年以上が経った今でも、中朝両軍の結びつきには根強いものがある。
この絆のせいで、中国の文民指導部は北朝鮮に対してなかなか強硬路線を
取ることができないのである。
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