こうしたぞっとするような事実に加えて、さらに次のような背筋の寒くなる現実がある。
力ずくでチベットを領土に加えたことによって、今や中国はインドの水資源地帯の多くを
支配しているのである。
チベット高原は、「極地方の氷に次ぐ、世界最大の淡水の貯水所」であり、
タイ、ラオス、カンボジアを通ってベトナムで海に注ぐメコン川や、
ミャンマーを流れる川など、いつものアジアの大河の源流となっている。
チベットと言う「世界の給水塔」を中国が支配していることが、
実際にどのように戦争につながっていく恐れがあるのだろうか。
インドを流れるブラフマ±虎川の水量の実に60%にあたる水の流れを変えて、
水量が減り続けている黄河に引き込みたいたいと言う中国政府の厚かましい提案に、
インドは不安を募らせている。
川の流れをこのように変えることがどれほど甚大な損害を与えるかをイメージし、
それが戦争の火種としての、アルナーチャル・プラデーシュの重要性と
どう関わってくるのかを理解するために、まず地理を把握しておこう。
現在、ヒマラヤのカイラス山脈からチベットを東およそ3000キロ流れ、
チベットとアルナーチャラム、との国境のすぐ北にあるその名も「大きなカーブ」を
意味するグレートベンドに到達する。
ここでブラフマプトラ川は急カーブを描いてUターンしてアルナーチャル・プラデーシュを
西へ向かって流れ、インドの聖なるガンジスと合流してから最後は
バングラディッシュでベンガル湾に注ぐ。
中国が本当に年間2000億立方メートル注ぎ込むように
ブラフマープトラ川の流れを変えてしまったら、それはインドの環境及び経済に
大打撃を与えるだけではなく、インドの川下のバングラディッシュにも
大激変をもたらすだろう。
この恐ろしい現実から、中国がアルナーチャル・プラデーシュを中国領だと
言い募るもう一つの、おそらく最も重要な理念が見えてくる。
つまり、威圧か武力によって「南チベット」を中国領とすることができれば、
中国は、ブラフマプトラ川からの分水に抗議するインドに対して
強気な態度に出ることができると言う理由である。
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