【米中もし戦わば】030-02米軍と中国軍の技術的な差は急速に縮まっている

これまで述べてきたように、中国は、サイバースパイ行為と伝統的なスパイ行為、

それに外国製品をリバースエンジニアリングを巧みに組み合わせて

外国の軍事技術を盗みだしているのでアメリカ軍と中国の技術的な差は

急速に縮まっているが、アメリカの製造業の多くが中国に拠点を移して

それに伴って多くの「軍民両用」の技術が中国に転用されているため、

その速度にさらに拍車がかかっている。

サイバースパイ行為の結果、中国はアメリカの第5世代戦闘機と同等の戦闘機を

出動させることができるようになった。

第5世代戦闘機は、アジアの航空支配の要である。

同時に中国はアメリカ軍から盗み出した設計図をもとに大量のドローンを製造し、

ビル・ガーツが「アメリカ海軍の心臓部」と呼んでいるイージス戦闘管理システムを

もサイバー戦士に盗み出させた。

また中国は、冷戦時代スタイルの従来型スパイ行為によって、

弾道ミサイルや巡航ミサイルの技術を盗み出した。

その技術を使って大量に生産されたミサイルが、今ではアメリカの艦船や前進基地や

諸都市に向けられている。

特に憂慮すべき事実は、ロシアとの軍縮条約に縛られているアメリカのミサイル保有数と

比較して、中国のそれの方がはるかに多いことである。

 ロシアと言えばすでに述べたように、現在中国の領空を防衛しているのは

世界最強のロシア製防空システムである。

 その他にもオーストラリア、フランス、ドイツといったアメリカの友好国から多くの

「軍民両用」技術を取得したことによって、中国は今では、事実上探知不可能な

ディーゼル電気方式潜水艦や最新式ヘリコプター、さらには、

極めて威力の高い巡航ミサイルを搭載したミサイル艇まで配備することができるようになっている。

 アメリカの質的優位が失われかけている事についてペンタゴンの元アナリスト、

マイケル・ピルズベリーは次のような哲学的な見解を述べている。

従来、我々はこう考えてきた。

 「アメリカの技術はダントツで世界一だ。

 アメリカの艦船も戦闘機も、ミサイルの電気回路や通信能力も、

他国の20年先を行っている」。

 それは真実だった。

そう考えたのは間違いではなかった。

 問題は、技術の管理が緩むにつれて、アメリカ軍の優位性の基礎が

次第に流出してしまったことだった。

 スパイ活動や違法な手段によるものもあったが、単にアメリカが輸出したことによる

流出も多かった。

同時に、アメリカ防衛研究開発予算を削減してしまった。

 軍人の中には、「われわれは撒くための種を食べてしまったのだ」と嘆く者もいるが、

彼らの言う通りだ。

 つまり、アメリカに最良の潜水艦、最良の無線通信、最良の暗号システム、

最良の戦闘機をもたらしていた数々の発見が今も失われてしまったと言うことだ。

 これに追い打ちをかけるように、ブルッキングス研究所の

マイケル・オハンロンはこう述べている。

現在我々が力を入れている技術の性質が、中国はその防衛費の多寡にかかわらず

西太平洋で我々の資産を脅かすのは容易にしている。

アメリカはミサイル防衛を構築することができるし、

中国がミサイルにかける10倍のカネをミサイル防衛に費やすこともできる。

 だがそれでも、このような競争では攻撃側に利がある。

だから、アメリカの防衛予算が中国を回り続けたとしても、技術の重点が移ったことにより、

西太平洋でアメリカ軍がこれまで通り自由に活動することは難しくなるだろう。 

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