最後に道義的責任についてだが、これは確かに正しいとも間違ってるとも言えない。
特に、既に述べたアメリカの偽善、すなわち人権や民主化のためと言って、
ある国の政治体制の変革を図りながら、特定の独裁政権の事は支持すると言う姿勢を
考えると何とも言えない。
正義と民主主義と言う錦の御旗の下にアメリカが行っていることの多くは、
実際にはアメリカの国益を促進するための行動に過ぎない。
それを認めなければ話が進まない。
だから、率直に言おう。
シンガポールや韓国や台湾などの民主主義国家が繁栄を謳歌してるのは、
そして、フィリピンのような弱小国が征服を免れているのは、
アメリカのプレゼンスのおかげかもしれないが、そのような同盟国がアジアにおける
アメリカのプレゼンスを支えていることも事実である。
そして、アメリカの将来の経済的繁栄を促進し、アメリカ本土の安全保障を
確実なものにするために必要なのがこのプレゼンスなのである。
アジアにおけるアメリカのプレゼンスの問題は結局のところ、
「アメリカにとってゆずれない一線とはなんだろう」と言う問題に行き着く、
とエール大学教授で現在はアメリカン・エンタープライズ研究所研究員の
マイケル・オースリンは言う。
ゆずれない一線と言う概念を説明し、無関心と新孤立主義の危険性を説明するために
オースリンは中国の動向を次のような歴史的事実と対比させている。
1930年代を通じて、アメリカは様々な兆候を見ていた。
広大な領土が奪い取られるのを黙認し、それを無視した。
ヒトラーを無視し、ムッソリーニを無視し、大日本帝国を無視した。
そして、突然真珠湾が起こり、アメリカはゆずれない一線に直面した。
9.11にもアメリカはゆずれない一線に直面した。
10年以上前から、様々な兆候はあった。
アメリカ艦コール爆破事件があった。
アフリカのアメリカ大使館爆破事件もあった。
世界中で爆破事件が相次いでいた。
だが、アメリカはそれを深刻に受け止めなかった。
次に世界を変えるのは何だろうか。
それはわからない。
だが、アメリカはそれについて深刻にそして真剣に考えようとしない。
アメリカは疲れている。
面倒なことには取り組もうとしない。
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