問題
米中両国が核保有国であることによって、中国がアジアで通常戦争を始める危険性は
非常に低くなっているか?
①なっている
②なっていない
これは確かに答えにくい問題である。
というのも、経済的関与や経済的相互依存と同じように、核兵器にも戦争を抑止する
力があるとこれまで一般的に考えられてきたからである。
だが、経済的関与や経済的相互依存と同じように、核兵器の抑止力についても強力な
反証が存在する。
強大な核戦力を盾にして、中国はこれまでよりも攻撃的な行動をとるようになるかもしれない。
その中には、通常戦争も含まれる。
それでは、双方の論拠を精査してから我々の立場を決めることにしよう。
まずは、「核兵器は通常戦力通常戦争の抑止力になった」典型例、
つまり40年にわたる冷戦時代の米ソの対立から見ていこう。
冷戦時代、代理戦争はたくさんあったが、通常戦争にせよ核戦争にしろ
米ソが直接衝突した事は1度もなかった。
この冷たい平和が続いた理由として最もよく挙げられるのが、
「相互の破壊を確証する」核兵器を米ソ両方が大量に保有していたことである。
1962年のキューバ危機の時も、衝突は回避された。
1961年に、数の上で圧倒的に不利な本亡命キューバ人部隊がCIAの支援を受けて
ピッグス湾に侵攻したことを別にすれば、アメリカがキューバに侵攻して
カストロ政権を武力で転覆しようとはしていない。
だが、もしもそのタイミングがあったとすれば、それはキューバ危機の時だった。
キューバ危機前の数ヶ月間に、それはアメリカのどの都市でも速やかに
攻撃できる能力を持った戦略核兵器をキューバに持ち込んでいた。
これは明らかに改善の原因となる行動である。
キューバ危機の最中にその後も、アメリカがキューバ侵略を開始する事はなかったが、
それはソ連がカストロに与えた大きな核の傘のおかげだったと思われる。
もう一つ、「核抑止力」が分かりやすい例としてはインドとパキスタンの対立がある。
不倶戴天の両国は1947年、1965年、1971年に直接戦果を交えた。
特に1965年と1971年の戦争は激戦となり、多くの戦死者が出た。
だが、両国が核保有国となってからは、通常戦争は1度しか起きておらず、
それもそれまでの戦争よりはるかに限定的で、外交的手段によって速やかに決着した。
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