【米中もし戦わば】039-04公然と条約を破る中国と交渉する余地はあるか?

中国がアシアンと言う交渉の枠組みを操作するやり方は、法による秩序と平和の実現に

尽力している主要な国際機関を悪用するときのパターンと同じである。

例えば、国際安全保障理事会の常任理事国として、中国は国連決議に拒否権を発動することができる。

残念なことに、中国が過去数十年にわたって、戦争で荒廃した国は紛争地域で

天然資源を獲得するための交渉の切り札として拒否権を利用してきた。

最も顕著な例は、ダルフールでのジェノサイドを理由に国連がスーダンに対して

制裁措置を貸そうとした時、スーダンの石油利権と引き換えにそれを阻止しようとしたことである。

交渉に平和を維持することを難しくしている最後の、致命的な障害として、

次のような頭の痛い問題がある。

中国には、公然と条約を破る傾向があるのである。

その典型例が、2012年にアメリカの仲介によって中比間で結ばれた条約(177ページ参照)である。

双方がスカーボロ礁から撤退し、その上で交渉によって解決を図る、と言うことで力が合意した。

だが、フィリピンがが約束通り撤退すると、中国はスカーボロ礁に入って

これを実行支配してしまった。

こんな真似をされたのでは、誰も中国が条約を守ると思わなくなるだろう。

結論を言おう。

中国が「透明性ゲーム」や「交渉ゲーム」でフェアプレーを見せるようになる可能性は、

少なくとも今後しばらくはゼロととは言わないまでも非常に低い。

だからこそ、われわれは別の手段で平和を模索する必要がある。

中国との交渉を避けるべきではないと言っているわけではない、

デビット・ランプトン教授もこう述べている。

中国とは話し合える、中国とは話し合いはできない、といった0か100かの議論は

すべきではないと思う。

私なら、「中国と話し合うことができるが中国と話し合うのは難しい。

だから、粘り強く取り組む必要がある」と言う。

だが、アメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリンは、

そのような粘り強さも現実に見合ったものでなければならないと考えている。

今こそ現実を直視することが必要だ、むしろ遅過ぎる位だ、としてオースリンはこう述べている。

我々西側の人間は、国際関係のあり方についてこう考える。

まず誰もが他人の主権を尊重し、誰もが互いに対等に交渉する。

そして、問題を解決し理解を深める最良の方法は多様である、と。

こうして、われわれは対話依存の罠にはまる。

中国問題ではまっている罠がそれだ。

問題を解決することでも我々自身の理解をきちんと述べることでも、

正直に言ってしまえば彼らの利害をきちんと理解することでもなく、

単に話し合うことが目標になってしまっている。

「とにかく話し合いましょう。

 次の会合の議題は?次は何をしましょうか」と言うだけなのだが。

 それは少しポチョムキンの村(「見せかけだけのもの」のたとえ。

ロシアの女帝エカテリーナ2世の寵臣ポチョムキンが女帝の行幸のために

偽物の村を作ったと言う故事に由来する)似ている。

われわれはこうした話し合いの上辺に満足し、「見てごらん、素敵な家が並んでいる。

 素敵なシャッターやドアがある」などと言う。

 (だが、)ドアから中に入れば、そこには荒涼とした砂漠が広がっているのだ。 

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