対中貿易の不均衡の是正は確かに、アメリカとアジア同盟諸国の経済を強化し、
それと同時に中国の軍拡資金調達能力を弱体化させるための最も直接的な方法の1つである。
だが、このように貿易不均衡の是正だけが、唯一の「経済力による平和」戦略ではない。
第二の戦略とは、税制改革である。
これも、貿易不均衡の是正と同じく政治的論争を巻き起こしたがこのような改革は、
現在、法人税が世界一高いアメリカには特に重要である。
この法人税率の高さが、アメリカの製造業と雇用がどんどん国内へ流出する原因になっている。
理由は単純である。
工場と雇用を海外に移すだけで、企業はアメリカの高い法人税を免れ、
納税額を減らすことができる。
第3の戦略は、現在中国に略奪されるままになっている、軍用及び民間の知的財産権の
保護を大幅に手厚くし、企業秘密や軍事機密の窃盗を中国に一切許さないように
することである。
もちろん、アメリカの知的財産を守るための最も直接的な方法は、
中国で営業しているアメリカ企業に自国技術の譲渡を強制すると言う中国のような政策に
対してアメリカ政府が断固たる措置をとることである。
この強制的は疑似樹移転は明確な世界貿易機構協定違反だが、
最大級のアメリカ企業でさえ、このような被害にあっても抗議の声あげることには消極的である。
ダン・スレインは次のように述べている。
優れた軍事力を保有するには、優れた技術力が不可欠だ。
だから、ボーイングやゼネラル・エレクトロニックといった「(アメリカ)企業に
中国への技術移転を許せば、わが国は甚大な不利益を被ることになる。
アメリカがこれほどの超大国になったのは、わが国の技術力と技術革新と
兵器システムは世界中のどの国よりもはるかに優れているおかげなのだから。
最後に、教育制度の再建(というか再構築)と言う厄介な問題をクリアする必要がある。
アメリカの教育制度は義務教育から高校、大学に至るまで混乱状態である。
国が繁栄するためには、奨学金と言う多額の負債を生徒自身に負わせることなく、
将来の職業人を育てる必要がある。
本書では教育改革まで論じることができないが、教育制度改革も喫緊の問題である事は
確かである。
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