「中国の対抗戦略(中国側の用語では反干渉作戦と言う)は現在、アジアにおける
アメリカの優位を支えてる戦略の三本柱に狙いを定めている。
戦略の三本柱とは、
①圧倒的な戦力によって制空権・制海権を確保している空母戦闘群
②第一、第二列島線上に数カ所配置されている、攻撃の起点及び広報支援の拠点となる
大規模な基地、
③最先端の「C4ISR」システム(指揮、統制、通信、コンピュータの頭文字の4つと、
情報のI、監視のS、偵察のRを表す)によって戦場の状況認識を可能にする
人工衛星システム、の3つである。
中国側も、独自の三本柱戦略に基づいてアメリカの三本柱を破壊する計画を進めている。
中国の三本柱とは、
①アメリカの非常に高額な空母戦闘及び基地(固定された「ソフトターゲット」)
破壊ないし無力化する能力を持った、比較的安価な非対称兵器を大増産する、
②将来的にアメリカ軍を量的に凌ぐことを目的として、空母戦闘群を大量生産する、
③アメリカの人工衛星システムの破壊及び中国自身の人工衛星ネットワーク構築によって
制宙権を握り、アメリカのC4IRS優位を打破する、と言うものである。
現在のところ、中国がこの対抗戦略を的確にかつ整然と遂行しているのに比べて、
この急激な変化に対するアメリカ及び同盟国の反応は非常に鈍い。
このままでは、数十年のうちに(さらに早いかもしれない)アジアの軍事バランスは
逆転してしまうだろう。
当然のことながら、これは極めて危険な傾向である。
中国がアジアで優位に立てば、あるいは「優位に立った」と中国自身がある段階で
判断しただけでも、それがさらなる侵略につながるだろう。
考えるべき問題は当然、「このまま昔ながらの予測可能なコマの動かし方を続けていれば
確実にチェックメイトを待っているゲームに、ペンタゴンはどう対処すべきか」である。
この重大な問題に答えを出し、ひいては軍事力による平和への正しい道を生み出すため、
これから、中国の対抗戦略のターゲットにされているアメリカの戦略の脆弱性を
一つ一つシステマチックに検討していこう。
その過程で必然的に、これまで本書で述べてきた主張の多くを繰り返すことになるだろうが、
それは、これまでもそうした主張が、力による平和への道を模索するための
ものだったからである。
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