現在、中国は習近平国家首席の下で「偉大なる中華民族の復興」を掲げて
アメリカに並び、やがて追い越して、世界覇権を握ることを目指しています。
これを、習近平出席は強い中国の夢(強中国夢)と称しています。
中国は大英帝国に敗れた1842年のアヘン戦争の屈辱と、
日中戦争で日本に侵略された屈辱を、100年の計で晴らそうと言うのです。
習近平主席は、アヘン戦争で敗れてから100年間を「屈辱の100年」とし、
1949年の中華人民共和国の建国からの100年間を「復興の100年」としています
すると、2049年、この100年が終わる時の中国は、
1842年以前の「世界帝国」の位置に戻っていなければなりません。
当時の清帝国は、世界のGDPの3割以上を占める大帝国だったのです。
それでは、「強い中国の夢」が本当に実現するでしょうか?
単純に過去の統計を未来に拡大すると、「強い中国の夢」が実現します。
次のグラフは米国国家情報会議による世界各国(グローバルパワー)の国力比較の
予測推移図です。
国力は、GDP・人口・軍事費・技術投資の4点から試算したものです。
これで、アメリカと中国を比較すると、中国は2020年代にアメリカを抜いて
世界第一位の経済大国となり、2043年頃には米の国力が逆転することになります。
つまり、「強い中国の夢」が実現することになるのです。
また、将来的にはインドも大国化すると予測されています。
しかし、ロシアは低迷し、米中との国力差は広がる一方となり、
日本は長期的に国力を落として行きます。
ロシアは大国と思われがちですが、それは軍事力だけのことであり、
GDPでは、2015年時点では世界第12位で、韓国とほぼ同じ規模です。
しかしこの予測が正しいかどうかは甚だ疑問です。
と言うのは、中国に至っては、そもそも統計自体に疑問があるからです。
中国はGDP統計を水増ししていると言われており、例えば最近の中国は、
かつての二桁成長からスローダウンして年率7%ほどの成長率となっていますが、
実際はその半分以下の2 ~3%が良いところではないかと見ている人もいます。
そこで、上のグラフで、ドルベースで見た米中のGDPの推移予測を示してみました。
アメリカを3%成長として、中国を7%成長と2%成長の2パターンに分けて比較すると、
2%成長では米中逆転は起こりません。
もちろん、3%成長ではアメリカと同じなので、現在の差は縮まりません。
中国がアメリカを逆転して世界覇権を握る事は、日本にとっては悪夢ですが、
冷静に考えればかなり難しいことだと言えるかもしれません。
しかし、中国の国防予算(軍事費)は天安門事件が起きた1989年以降、
毎年ほぼ2桁の伸びを示してきており、
過去27年間でなんと約41倍に膨れ上がっています。
2017年3月の全国人民代表大会(全人代)で、2017年度の国防予算が発表されましたが、
伸び率は「前年比7%台になる」とされ、額にして史上初めて1兆元の大台を
超えることになったのです。
これは、円換算すると約16兆5000億円であり、
日本2017年度予算における防衛関係予算五兆1251億円のなんと3倍です。
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