【日中もし戦わば】「ランドパワーと「シーパワー」の摩擦

このようなパワーバランスの変化をより詳しく知るために、地政学の概念を使い、

国家を「ランドバー」と「シーパワー」と言う2つのパワーとして捉えてみましょう。

 ロシアと中国は、典型的なランドパワーに該当します。

 ランドパワー主に大陸の中央部に国家の主軸を置き、陸上の支配拡大に重点を置いて

勢力を拡大します。

 その一方で、常に国境を接している他国の脅威にさらされ、国を守るために

軍事力を強化しなければならないと言う宿命を背負っています。

 そのため、政府は閉鎖的、強権的、先制的にといった形になりがちで軍事的には陸軍国です。

 歴史的に見れば、古代ペルシャ、ナポレオン王朝、近代プロイセン、ナチスドイツ、

ソビエト連邦などがこれにあたります。

 現在中国の共産党による一党独裁、ロシアの強権政治もランドパワーならではの特徴といえます。

 ランドパワーは、英国の地理学者で政治家のアルフォード・マッキンダーが提唱した理論ですが、

これに対してアメリカ海軍の軍人に対して戦略家のアルフレッド・モハンが唱えたのは

シーパワーでした。

シーパワーとは、大陸の外縁で島嶼部を国家の中心として、土地支配よりも交易を重視し、

海路を開拓して発展していく国家です。

 海上交通は陸上交通よりも輸送力が格段に高く、他の他国の物資や文化を取り入れやすいのです。

 そのため、先進的、合理的な性格を有する自由で開かれた国家となります。

 また、海洋を挟んでいることから、他国からの侵略の脅威は少なく、

政治的にも安定しています。

 古代ギリシャのアテネ、大航海時代のポルトガル、オランダ、大英帝国、

第二次大戦以後のアメリカ等が該当します。

 もちろん、日本も典型的なシーパワーです。

 オーストラリアもASEAN諸国もほとんどがシーパワーです。

 このようにランドとシーパワーで大きく異なるのですが、二つのパワーの相克について、

マッキンダーは次のように述べています。

 「シーパワーは、隣国が勢力を伸ばすことを忌み嫌う。

そして、ランドパワーが海洋に出て交通や権益を広めようとすると、

シーパワーはそれを防ぐための封じ込みをはかる。

 そのため、シーバードランドパワーが隣接する地域では紛争のリスクが高まる」

ランドパワーの中国は、今必死にシーパワーを併せ持とうとしています。

 アメリカや日本が、このような中国の海洋進出を食い止めようとするのは、

シーパワーとしての必然的な防衛本能と言えるのです。 

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