すでに、中国が南シナ海にある岩や岩礁を奪い、それらを人工島に作り替え、
軍事要塞化しつつある事は、世界中が知っています。
アメリカ、日本、そして南シナ海の沿岸諸国はその対応に頭を痛めてきました。
特にフィリピンは領有権問題でオランダの仲裁裁判所に提訴したように、
中国の横暴には困りはてていたのです。
しかし、2016年5月に就任したフィリピンのドゥテルテ大統領が就任する前は
中国を強く非難していましたが、就任すると北京に赴き、
経済援助と引き換えにこの問題を事実上棚上げしてしまいました。
この時、ドゥテルテ大統領は中国中央テレビ(CC TV)のインタビューで、
米国やその同盟国がフィリピンを支持する立場に立てば、
「第三次世界大戦を引き起こす可能性がある」と述べたのです。
彼がいかに苦慮しているのかが伺えます。
それでは、なぜ中国は南シナ海を内海化する必要があるのでしょうか?
なぜそこまで、南シナ海が重要なのでしょうか?
南シナ海を鳥瞰すれば、マレーシアとインドネシアが底になり、
アジア大陸とボルネオ島・フィリピン諸島に両側を囲まれ、北から台湾が蓋をした、
くびれたツボのような形をした「半閉鎖海」です。
その面積は約350万キロで、沿岸国の1つである中国にとっては最大の海域です。
南シナ海に接する中国の大陸部には、広州、深セン、香港を中心とした
「珠江デルタ地域」があります。
この地域は、1978年から始まった改革開放政策の一環として
最初に経済特区に指定されたチームです。
さらにその先には、1988年に全域が経済特区に指定された海南省(海南島)があります。
「珠江デルタ地域」は中国経済の成長のエンジンであり、
「北京・天津・河北地域」、「上海を中心とする長江デルタ地域」と呼ぶ中国経済の核心です。
つまり、ここへの物流の大動脈として、南シナ海は決定的に重要なのです。
中国貿易のほとんどは、黄海~東シナ海~南シナ海を経由して行われています。
中国が輸入する原油の約8割が南シナ海を通って運ばれています。
さらに南シナ海沿岸諸国には約6億人の人口があり、
これにインドの約13億人をたせば、そこには世界人口の4分の1を擁する巨大市場があるわけです。
中国製品の最大のマーケットです。
以上が経済的価値ですが、それ以上に大事なのは、安全保障上の戦略的な価値です。
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