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【米中もし戦わば】013-02、探知不可能な潜水艦が東シナ海や南シナ海に大量投入される

だが最近、「非大気依存推進システム」と言う新技術の登場によって、

ディーゼル電気方式潜水艦の勢力地図が劇的に塗り替えられた。

 非大気既存推進システムにはいくつかの種類があり、

大気依存問題の解決方法がそれぞれ異なっている。

 例えば、スウェーデン製のシステムは超低温タンクから供給される液体酸素を使って

ディーゼル燃料を燃焼させ、ドイツ製のシステムは液体水素燃料電池を使う方法を

採用している。

このように、非大気依存の推進システムによって、ディーゼル電気式潜水艦は

従来よりもずっと長期間(最長2週間かそれ以上)潜航できるようになり、

そのステルス能力は格段に高まった。

ディーゼル電気式潜水艦のステルス能力のこの飛躍的進歩は、

我々の推理作業にとっては大いに重要である。

 というのも、中国がこの非大気依存製品に飛びついたからである。

 自前では製造できないため、中国は外国からこのシステムを大量に買い付けている。

 そして、この新システムは、新たに建造される潜水艦の為だけでなく、

中国艦隊の既存の潜水艦を改造するためにも使われている。

 ここからが、我々の推理作業にとって特に重要な点である。

 非大気依存推進システムを搭載したディーゼル電気式潜水艦ほど、

東シナ海と南シナ海に適した海軍兵器は他にない。

実際、ディーゼル電気方式潜水艦は「接近阻止・領域拒否」戦略を実行するための

究極の「受動攻撃型」兵器である。

このような、事実上探知不可能な潜水艦は、艦船が長距離魚雷または巡航ミサイルの

射程に入ってくるま待ち伏せしているだけで良い。

 標的にされた船舶は、日本の駆逐艦であれ、アメリカの空母であれ、

ベトナムの潜水艦であれ、任務中止に追い込まれるだろう。

 中国は自前で潜水艦を建造するとともに、ロシアからも買い付けている。

 このように保有数が多いだけに、中国にとって「接近阻止、領域拒否」兵器の効力は

一層大きい。

 潜水艦を大幅に増強し始めた1990年以降、中国の潜水艦保有数は60席にまで増大した。

 しかも、今後、ドイツ製の動力を搭載した最新式の元級潜水艦15隻を

さらに建造する予定である。

また、ロシア製のラーダ級潜水艦4籍も発注している。

吸音外装タイルと超静音プロペラを特徴とするラーダ級潜水艦は、

非大気依存の推進システム搭載の潜水艦よりも静かかもしれない。

全体像を把握しておこう。

 東シナ海と南シナ海と言う比較的狭い範囲の水面下に「受動攻撃型」兵器として

大量投入されることによって、中国のディーゼル電気方式潜水艦は、

すでに述べた大陸間弾道ミサイルからロケット推進式上昇機雷まで、

多彩な種類の他の「接近阻止、領域拒否」兵器との相乗効果を発揮するだろう。

 これらの影響すべてその地域に展開するアメリカ海軍のコストとリスクを

上昇させることになる。

その中で水面下の中心的役割を果たすのはディーゼル電気方式潜水艦である。 

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【米中もし戦わば】013-01第13章ヨーロッパの最新軍事技術を手に入れる

問題

アメリカや日本やベトナム海軍艦艇を破壊する能力を持った

通常型ディーゼル電気式潜水艦を中国が建造できるように手助けした国を選べ。

①フランス

②ドイツ

③ロシア

④ 1 ~3のすべて

第2次大戦時にユーボートの恐怖によって一躍有名になったディーゼル電気式潜水艦は、

世界初のハイブリット・ビークルと言えるかもしれない。

 ディーゼルエンジンは推進力を得るためだけでなく、電気モーターを充電するための

発電にも使われる。

 潜航後は、ディーゼルエンジンよりも速度の方でずっと劣るが、

はるかに静かでステルス能力の高い電気モーターが推進力を提供する。

最近まで、ディーゼル電気式潜水艦の主な欠点は、艦内の淀んだ空気を

新鮮な空気と交換し、ディーゼルエンジンを使ってバッテリーを再充電するために

数日おきに水面に浮上する、あるいは少なくとも「シュノーケル」する

(吸排気筒を水面上に出す)必要があることだった。

 問題は、ディーゼルエンジンの「大気依存性」が高いことだった。

 つまり、ディーゼルエンジンは、燃焼プロセスで大量の空気を消費するとともに

かなりの量の排気ガスを発生させる。

 そのため、ディーゼルエンジンは艦内の空気を速やかに消費してしまうのである。

煩雑に浮上また吸排気筒を水上に出さなければならないと言う点で、

従来のディーゼル電気式潜水艦には安全上の大きな問題がある。

再充電や吸排気を行っている間、探知される危険が極めて高くなるからである。

その点で、エンジンが酸素を必要としない原子力潜水艦は明らかに有利である。

 原子力潜水艦は数ヶ月潜航し続けることができるのだ。 

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【米中もし戦わば】012-02中国はアメリカ本土に300発以上の核弾頭を打ち込む能力を持っている

最初に、アメリカの抑止力をリストアップしてみよう。

 アメリカの報復攻撃能力には、確かに、地上発射大陸間弾道ミサイルや長距離爆撃も含まれている。

 だが、アメリカが保有する抑止力の三本柱の中で最も確実な破壊力を有しているのは、

3番目の、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SS BN)である。

 それはなぜか。

 その理由は、すでに述べたようにこのGPS時代にあっては、

地上発射ミサイルが発射される前に精密爆撃によっていとも簡単に破壊されてしまうだろうからである。

 同時に、アメリカの老朽化した爆撃機は、中国やロシアなどのますます高性能化する

防空システムに次第に太刀打ちできなくなってきている。

対照的に、原子力潜水艦隊にはこのような弱点は無い。

 その優れたステルス能力と長距離潜航能力によって、原子力潜水艦はまさしく

大海原の真っ只中に潜り、アメリカに先制攻撃を仕掛けてくるかもしれない国を

射程に収めてじっと隠れていることができる。

こうして、アメリカの保有する弾道ミサイル搭載原子力潜水艦14隻は、

冷戦時代初期以来数十年にわたって最高の見張り番の役目を果たしてきた。

 これまで近代的な原子力潜水艦大が配備できなかった中国にとっては、

これは言うまでもなく実に面白くない状況だった。

 2014年、中国がついに晋級弾道ミサイル潜水艦の開発と配備に成功した時、

状況は一変した。

 フットボール競技場よりも長い、この094型原子力潜水艦は、

最大射程距離12,000キロの巨浪2号ミサイルを最大16発発射することができる。

ここに驚くべき数字がある。

 中国は、運用可能な晋級原子力潜水艦を五隻保有しているかもしれないと言うのである。

 そして、複数の軍事アナリストが示唆しているように、そこから発射される

巨浪2号ミサイルに16発それぞれ最大4つの弾頭搭載できるとすると、

中国はアメリカ本土に合計300発以上の核弾頭を打ち込む能力を持っていることになる。

こうして、「シアトルの不眠症」(1993年製作のアメリカ映画のタイトル。

邦題は「めぐり逢えたら」)と言う言葉は全く別の意味を持つことになった。

 中国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の現実的脅威に関して、

軍事アナリストたちはそのステルス能力を大いに疑問視している。

 例えば、ジョージワシントン大学教授アミタイ・エツィオーニは、

中国海軍の兵器は総じて「ジャンク品」だと片付け、潜水艦も

「非常にスクリュー音が大きい」と軽視している。

軍事研究家クリスチャン・コンロイも、もう少し冷静な口調ではあるが、

晋級潜水艦は「検出可能なソナー信号」を出すと述べているし、

アメリカ国防総合大学のT・X・ハメス教授等は晋級潜水艦はあっさり

「かなりやかましい」と評している。 

だが、中国は音の静かな096型唐級原子力潜水艦を既に開発中である。

 だから、中国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の報復攻撃能力を過小評価すべきではない。

ハドソン研究所のセス・クロプシーは、次のように注意を呼びかけている。

 現在のところ、中国の潜水艦はアメリカの潜水艦ほど高性能ではないが、

中国はコピーにかけては独創性と想像力と創意工夫にあふれる素晴らしい能力を持っている。

だから、将来、中国の潜水艦は次第に高性能になっていくものと思われる。

中国の新しい弾道ミサイル搭載原子力潜水艦が抑止力としての機能を

きちんと果たすためには、海南島の基地から(アメリカの海岸を射程内に収められる)

太平洋の新海域へと自由かつ秘密裏に潜航できるようにならなければならない。

 だが、太平洋の比較的安全な海域に到達するまでに、中国の原子力潜水艦はまず、

第一列島線に沿って並んでいるチョークポイントのどれかを通り抜ければなならない。

したがって、アメリカの大陸間弾道ミサイルの固定式格納庫が中国の長距離精密爆撃の

危険にさらされているのと同じように、中国の潜水艦が深海域に到達するまでの間に

アメリカの攻撃型潜水艦に阻止される危険にさらされている。

対照的に、アメリカの原子力潜水艦はこのようなチョークポイント問題は存在しない。

ニューポートニューズやサンディエゴなどから出港した潜水艦はほとんど即座に

深海域に入れるからである。

 中国が弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を建造している理由は、

第一列島線と言う束縛を破らなければと考えているからである。

だが、これと同じ目的のために、中国は世界最大にして最強の通常型ディーゼル電気式

潜水艦も着々と建造しつつある。

 アメリカとその同盟諸国にとって、このディーゼル電気方式潜水艦は発展途上の

原子力潜水艦よりもさらに危険な存在かもしれない。

 次章ではこれについて述べることとする。 

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【米中もし戦わば】012-01、第12章深海に潜む核兵器

問題

弾道ミサイルを搭載した中国の潜水艦は現在、シアトルやシカゴ、ニューヨークなど

アメリカの諸都市を核弾頭で攻撃する能力を持っているか?

①持っている

②持っていない

戦争映画ファンなら誰でも知っているように、潜水艦の目的の1つは

敵船を攻撃して沈没させることである。

 しかし、潜水艦の第二のそして現在ではおそらくずっと重要な役割は、

核攻撃力及び核抑止力の重要な構成要素としてのそれである。

すでに述べたように、核抑止力の基礎はなによりもまず、「報復攻撃」能力の確実性にある。

つまり相手国から先制攻撃を受けた場合に、相手国の主要都市に

壊滅的打撃を与えられる核反撃能力を持っていれば、先制攻撃を仕掛けられる危険は

格段に小さくなると言うことである。

実際、米中の報復攻撃能力のレベルには歴史的に格段の差があった。

 この重大な分野でアメリカは明らかに中国をリードしていた。

 だが、ボブディランも歌ったように、「時代は変わる」のである。 

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【米中もし戦わば】012-4、民間の漁船団を使って機雷を敷設

中国の機雷戦能力が急速に高まっていると言う事実の他にも、

その機雷戦略の事態の不安定化に繋がれない憂慮すべき側面がある。

 中国は、軍用機や軍用船や潜水艦だけでなく、一般的に「非戦闘員」とみなされる

漁船団をも大量に使って機雷を敷設している。

 アメリカ海軍大学校のアンドリューエリクソン、ライルゴールドスタイン、

ウィリアムマーレーは、「中国側の資料は、民間船が機雷施設などの海軍の任務に

組みいられていることにしばしば言及している」と述べている。

 例えば、中国の軍事アナリスト、ハイリンは次のような驚くべき数字を上げている。

「中国には現在、鋼鉄製のトロール漁船が30,000隻あり、その各々に機雷10発を積載できる」。

 さらに、「帆船の漁船が50,000隻あり、こちらは各々2から5発の機雷を積載可能である」。

 同じく中国の軍事専門家インナンは、民間の船舶を使う利点について、

「十分な数があり、目立たず、そこそこの機動力があり、疑われにくい」事をあげている。

 もちろん、このような民間船と軍用船の曖昧な線引きは国際基準に完全に反している。

 中国の機雷戦の戦略的目標については、様々な可能性がある。

 例えば、エリクソンやゴールドスタインやマーレーが言うように、

「(南シナ海の)南沙諸島の領有権を主張するために、中国は軍艦を長期間派遣するより

も、

(費用も少なくて済み、関係諸国を刺激する恐れもより低い)範囲を注意深く限定した

機雷原を優先するかもしれない」。

 同様に、台湾を武力で奪取しようとする場合にも、間違いなく必要な役割を果たすことに

なるだろう。

その際ターゲットとなるのは「台湾の港だろう。

台湾の周囲の海は浅いため、その港の大半は機雷戦の影響を極めて受けやすいと言える」

実際、中国海軍が大量に保有している機雷によって、「台湾やその他の西太平洋地域の

重要な交通路を封鎖する能力を既に完全に備えている」のである。

しかし、中国の水面下の脅威は、急速に成長を続けるその機雷戦能力だけではない。

次章ではそれを取り上げることとする。 

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【米中もし戦わば】012-3「安価な機雷は高価な主力艦を効果的に破壊できる」

本章の冒頭でスコットトゥルーバーの掃海艇ジョークを紹介したが、

機雷の除去は実際、非常に危険な任務である。

 朝鮮戦争時には、北朝鮮の機雷を除去しようとして掃海艇3隻が沈没、

駆逐艦五隻が深刻なダメージを受け、100名以上の水平が死傷している。

こうした過去の戦争から中国の戦略が学んだ事は、

第一に「安価な機雷は高価な主力艦を効果的に破壊できる」と言うことだった。

 機雷はまさに「貧者の海軍」の第一選択兵器であり、非対称戦争の典型である。

 1991年の第一次湾岸戦争時、イラクが敷設したわずか25,000ドルのイタリア製の

機雷が10億ドルのアメリカ軍艦プリンストンの任務阻止成功したことを思い出してみよう。

アメリカの誇る高性能イージス艦プリンストンはイラクのスカッドミサイルを警戒して

水平線と上空をレーダーで監視していたが、皮肉にも、

半径8キロ以内にイラク海軍の艦船が一隻もいない海域でローテクの機雷によって

破壊されてしまったのである。

機雷はイラクやイランと言った貧者の海軍にとって究極の兵器である一方で、

中国のような新興超大国が使用すれば真に破壊的な兵器にもなり得る。

その理由は、中国には大量の機雷を保有する経済力があるからと言うだけではない

(中国は、50,000発の機雷を保有していると主張している。

 これは世界最大の機雷保有数である)。

 中国には、あらゆる種類の最新式スマート機雷を開発、配備するだけの技術力もあるのだ。

 中国自身が認めているところによれば、中国は30種類以上の機雷(接触機雷、

磁気機雷、音響機雷、水圧機雷、遠隔操作機雷、自走機雷、

ロケット推進式上昇機雷)を保有していると言う。

 一例として、ロケット推進式上昇機雷について考えてみよう。

 この機雷は水深1800メートルもの深海で、内蔵コンピュータが軍用艦の通過に

固有の音響的、電気的、磁気的、圧力的特徴を感知するのを待っている。

大型貨物船10隻、民間の石油タンカー4隻、また何百隻もの漁船が通過しても

何も起きないが、日本の、あるいはアメリカの原子力潜水艦が射程内に

差し掛かるやいなや機雷はロケットによって水中を時速280キロ以上で

目標に向かって上昇する。 

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【米中もし戦わば】012-2、かつて日本の無条件降伏に追い込んだ機雷の実力

機雷の本当の威力は、船を沈没させることそれ自体にあるわけではない。

 その威力はむしろ、機雷が戦場に及ぼす心理的インパクトと、

敵海軍を恐怖で麻痺させるその付随的能力にある。

このインパクトを理解するため、自分が20平方キロの広大な牧場を所有していると

想像してみよう。

その上で、その広大な土地のどこかに、両足を吹き飛ばす威力を持った地雷が

一個だけ待っていると想像してみて欲しい。

牧場をハイキングする気になれるだろうか。

そして、干し草の山の中に隠れている1本の針のような地雷を探し当てて除去し、

再び自由に行動できるようにするまでにはどれだけの時間と費用がかかることだろうか。

 実際、機雷(地雷)施設の第一の目的は、除去にかかる時間と心理的恐怖によって

領域への接近を阻止することである。

 つまり機雷(地雷)は、領域拒否戦略を実行するための非対称兵器の典型であり、

したがって中国の目的にぴったりの兵器なのである。

敵を威嚇し麻痺させる機雷戦の力その長い歴史を見れば明らかだし、

中国の戦略家たちは機雷戦の歴史を綿密に研究してきた。

 実際、機雷が現在行っている作戦行動の多くは、アメリカが機雷の加害者、

被害者の両方の立場から教えたものである。

機雷の加害者側としてアメリカが取った最も効果的な戦略は、

ベトナム戦争時にハイフォン港で行った機雷施設である。

ポケットマネー作戦実行中の1972年5月8日、空母コーラルシーから出撃した

航空機は、北ベトナムの最も重要な港に最初の機雷を投下した。

 その数は全部で11,000個以上に上った。

 海上交通路を麻痺させることにより、この機雷作戦は北ベトナムが輸入する物資の

80%以上を効果的遮断した。

北ベトナムがパリ平和会議のテーブルに戻ったのは、この経済的打撃によるところが

大きい。

中国の戦略家たちは、第二次大戦時に機雷戦が日本の無条件降伏に重要な役割を

果たしたことも詳しく研究していた。

一般的に、日本の降伏をもたらしたのは広島と長崎への原子爆弾の

投下だったとされているが、日本近海にB-29によってばらまかれた

12,000個もの機雷も重要な補助的役割を果たした。

いみじくも飢餓作戦と名付けられたこの機械作戦の効果について、

ケネスベス少将は、「第二次大戦の最後の半年間に機雷によって沈没した、

あるいはダメージを被った日本の船舶の総トン数(100万トン以上)は、

潜水艦や艦艇の砲撃や空爆などその他の原因によるものの合計よりも大きかった」と

述べている。 

ヴェスはさらに日本の政治家や軍指導者へのインタビューに基づいて、

「この作戦に重要な役割を果たした事は明らかだ」としてきている。

 こうした「機雷による麻痺」は朝鮮戦争時にも起きている。

北朝鮮は当時、3000発以上の機雷を施設し、「1950年10月、250隻の艦船から

なる特別部隊の国連軍特別部隊のウォンサン上陸作戦を阻止した」

アレンスミス海軍少将はその時のフラストレーションを、

「われわれは、海軍を持たない国が2000年前の船で施設した、

第二次大戦前の武器によって制海権をしなったのだ」と言う言葉で表現している。

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【米中もし戦わば】012-1、第11章機雷による海上封鎖問題

第二次大戦後、アメリカの軍艦が沈没まだ深刻なダメージを被った事例のうち、

機雷によるものの割合を選べ。

 ① 0%

② 20%

③ 40%

④ 80%

軍事アナリストのスコットトゥルーバーは、アメリカの海軍大学校の公式誌

「ネイヴァルウォーカレッジレビュー」に掲載された記事の冒頭、

「機雷は待ち構える恐ろしいものだ」(黒人学生のための奨学金基金の有名なスローガン

「精神を浪費するのは恐ろしいことだ」をもじったもの)と

「どんな船もいちどは掃海艇になれる」と言うジョークによって

機雷の危険を見事に表している(同誌は決してユーモアが売りの雑誌ではない)。

第二大戦以後、敵の攻撃によって沈没した、あるいは深刻なダメージを受けた

アメリカの軍艦は19隻。

ミサイルや魚雷や小型航空機や小型小型船舶による被害が

いずれも著しく減少しているのに対して、19件のうち15件が機雷によるものだった。

つまり、本書の冒頭の問題の正解は4の「80%」である。

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【米中もし戦わば】010-1、第8章「空母キラー」の衝撃

問題

1600キロ離れた場所から発射したミサイルを、時速55キロで航行中の空母に

命中させるにはどのくらい難しいかを選べ

①困難

②非常に困難

③ほぼ不可能

このような形のミサイル攻撃は、実際には非常に困難なので、それに成功した

(と思われる)国はこれまで1つしかない。

それは中国である。

中世の大弓や投石、アメリカ南北戦争時の機雷、第一次大戦時の機関銃や戦車、

第二次大戦時の戦闘機や空母と同様に、中国の「対艦弾道ミサイル」の登場は、

アジアにおける力の均衡全体をひっくり返しかねない衝撃的な出来事である。

今のところ、中国とアジア諸国との力の均衡は、アメリカの空母戦闘群及び

アジアの諸国のアメリカ軍基地のプレゼンスによってかろうじて保たれている。

しかし、中国の対艦弾道ミサイルに空母破壊能力が本当にあるとすれば

(これについては、憶測に基づく部分が少なくとも若干、残っているが)、

アメリカ空母だけでなくアジア地域の戦力投射能力自体を破壊されてしまう。

そして中国は、制海権を握るアメリカに(少なくとも、中国側から見れば)

抑えられていた第一第二列島線を突破すると言う、劉華清提督の戦略上の夢を

ついに実現することになる。 

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【米中もし戦わば】011-3、中国のミサイル開発によってアジアの米軍は弱体化する

「米中戦争は起きるか」と言う本書の中核と言う問題に関して言えば、

中国のミサイル開発が状況の不安定化とともにエスカレートをも招いている事は

ほぼ確実である。

最大の問題はおそらく、中国のミサイルの脅威が増大することによって、

アジアにおけるアメリカの戦力投射の支柱たる空母戦闘群と基地が

(完全に破壊されると言わないまでも)弱体化しかねないことである。

したがって、中国のミサイルの脅威は、ペンタゴンとホワイトハウスが

現在直面している最も厄介な問題につながってくる。

それはつまり、中国がアメリカの空母あるいは基地に対して中国本土から

通常型ミサイルによって第一撃を加えてきた場合どのように対応すべきか、

と言う問題である。

核戦争に突入する危険があるエスカレーションのリスクを犯してでも、

通常型兵器で中国本土に反撃すべきなのだろうか。

それとも、核戦争の引き金を引くことなく、アジアにおけるアメリカの優位をたもつ

対応策が他にあるのだろうか。

 この問題をめぐっては「エアーシーバトル派」と「オフショアコントロール派」

(「ウォーアットシー派」)とが論争を繰り広げている。

「エアシーバトル派」は、中国本土への報復攻撃を認める立場をとっている。

これに対して「オフショアコントロール派」は、海上封鎖と経済封鎖によって

中国の攻撃に対抗しようと言う立場である。

 2つの立場の長所短所については、改めて述べることにする。

 さしあたっては、中国の軍備のリストアップを続けることにしよう。 

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