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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】114投資の民主化で人気を集めた「ダオ」

従来の投資ファンドでは、ファンドマネージャーがポートフォリオに組み込む銘柄を選んで運用します。

そのマネージャーの運用能力に対して投資するのが、従来のファンドの基本的なあり方でした。

 そのため、運用実績の高いファンドマネージャーは「超」つくほどの高給取りになる一方、

ファンドに出資するためのハードルも極めて高く、

とても一般の投資家には手が出せないような金額になっています。

 ある意味、富裕層だけを対象にしたサービスだったわけです。

ところが、分散型投資ファンドのダオでは、投資先の選定は投資家全員の投票で決まります。

 プロの「目利き」の力に依存することなく、参加者全員の集合知によって、

投資先を決定するのです。

 未公開のベンチャー企業の成長に投資のベンチャーキャピタルの機能と

小口の出資者を広く募って資金調達するクラウドファンディングの機能を併せ持ち、

資金の移動を仮想通貨でおこないます。

 ダオとは「分散型自立組織」を意味します。

 イーサリアムのネットワーク上で稼働するプラットフォームで、

ダオのトークン(代用通貨)を手に入れるには、先にイーサリアムの仮想通貨

「イーサ(ETH)」を買う必要があり、「1ETH = 100ダオ」とレートが

固定されていました。

米ドルや日本円ではなく「イーサ」を使うのは、送金コストを下げるためです。

 発表直後から話題を集め、ICO(新通貨の予約発行による資金調達。

 221ページ参照) 500,000ドルの募集に対して1.6億ドル(150億円)出資が集まった

ダオの影響で、イーサリアムの価格も急上昇しました。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】113イーサリアムの分裂騒動って何なの?

新しいタイプの投資ファンドとして注目を集めた「ダオ」ですが、

ハッキングによって脆弱性が明らかになりました。

その結果、ハッキング以前の取引を無効とした「イーサリアム」と、

そのまま継続した「イーサリアムクラシック」に分裂しました。

イーサリアム自体は、契約情報分散型台帳技術で記録するプラットホームズに

すぎないので、イーサリアムを利用した様々なサービスが立ち上がりました。

 中でも注目を集めたのは、自律分散型投資ファンドとして2016年に颯爽と登場した

「ダオ」です。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】112未公開株市場のプラットフォーム

銀行業務のうち送金や決済機能が仮想通貨で置き換えられていったように、

株式や債券の世界でも、不動産業界でも、保険業界でも、ブロックチェーンによって

同じような変化が起きる可能性があります。

例えば、未公開株市場というのは玉石混交で、個別銘柄の株価もあまり高くないので、

証券会社など100億円単位のお金をかけて立派なシステムを作っても、

仲介手数料が数%ではペイできない可能性があります。

ところが、それをイーサリアムのプラットフォームに乗せて作れば、

わずか数億円で開発できるかもしれません。

というのも、イーサリアムなら、ネットワークにつながったコンピューターが

相互承認すれば良いので、自前でサーバを用意する必要もなく、

初期コストがあまりかからないからです。

また、イーサリアムでは、様々な開発者用モジュールが出回っているので、

それらを組み合わせて自社サービスように加工すれば、開発工程をかなり短縮できます。

ゼロから作り込むよりもはるかに簡単なため、開発コストもその分、下がります。

さらに、取引記録の保存と承認にイーサリアムのプラットホームを使うだけで、

株の売買自体は(あえて仮想通貨を使わなくても)円建てできますから、

既存の証券口座と組み合わせれば、すぐサービスを提供できるはずです。

これだけ参入のためのハードルが低ければ、自分たちもやってみようと言う

証券会社も出てくるのではないでしょうか。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】111 イーサーリアムは資産管理のプラットフォーム

不動産を始めとした「アセット(資産)」を管理するためのプラットフォームが

イーサリアムと考えれば、ソースが大きく広がります。

株式や債券などの有価証券はもとより、相続や譲渡、納税等の手続き自体も

自動化できる可能性があります。

不動産登記を自分でしたことのある人なら分かると思いますが、

とにかく書式がバラバラで、その場でしか通用しないなどルールで運用されており、

いちいち係りの人に聞かないと、どんな書類が必要で、どのように記入し、

どこに提出するのかさえわかりません。

素人にはわからないような煩雑なルールがあるからこそ、それを専門に書く仕事、

専門にチェックする仕事が必要で、余計に人手が必要になるわけです。

そうした非効率な行政サービスを自動化して、パソコンやスマホから簡単な手続きだけで

利用できるようになれば、かなり便利になるはずです。

イーサリアムは、MicrosoftのA z ureプラットフォームにも導入されています。

Microsoftのような大企業が採用することで信用が生まれ、企業にも利用が広がっています。

 イーサリアムが注目を集めているのは、そのためでもあります。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】110契約情報をブロックチェーンで保存

イーサリアム (の内部通貨であるイーサ)はビットコインと同じように

円や米ドルと交換できるので、あたかもデジタル仮想通貨のように見えますが、

本質は別のところにあります。

例えば、AさんがBさんに不動産を売ろうと言うときは、Aさんが行政書士に

不動産移転登記の書類を作成してもらって法務局に提出、同時に買い手のBさんが

Aさんに代金を振り込んで移転が完了と言う流れになります。

この1連の手続きを全部デジタル化しようというのが、

イーサリアムのプラットフォームの考え方です。

 契約情報の分散型台帳技術で管理しようと言うことです。

 ビットコインのところで説明しましたが、

ブロックチェーンと言うのは過去のすべての取引記録が一続きのチェーンに

なったもので、イーサリアムを使えば、どの不動産が誰と誰の手を経て現在の所有者に

引き継がれたのか一目瞭然です。

不動産登記が電子的に記録され、誰でも自由にどこまでもさかのぼって

記録を参照できるようになれば便利ですし、

手続き自体は自動化され、ほとんど人手を介さないので、低コストでの運用が可能です。

 しかも、イーサリアム自体が仮想通貨としても通用するとなると、

別途代金を振り込む必要もありません。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】109ナンバーツーの仮想通貨「イーサリアム」の特徴は?

過去の全ての記録を分散管理するブロックチェーン技術を「契約情報」に応用したのがイーサリアム。

内部通貨イーサはビットコインに次ぐ時価総額を誇っていますが、

ダウのハッキング事件以来、分裂騒動も起きています。

ビットコイン以外の仮想通貨について、ここからはいくつかの代表的なものを

取り上げて説明していきます。

ビットコインに続けとばかり、急速に普及しつつあるのが「イーサリアム」です。

 イーサリアムの内部通貨である「イーサ」の時価総額は、2017年2月時点で10億ドル。

一位のビットコインの169億ドルと比べると桁が1つ小さいですが、

堂々第2位のポジションを占めています。

 ちなみに、第3位は「リップル」で2億3800万ドル。

 こちらも桁が1つ小さくなります。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】108 ISOで標準化の議論が進む

ネジの形状、フィルムの感度、コンテナのサイズなどの工業規格から、

品質管理のマネジメントシステムまで、世界で統一ルールを作って

国際取引の円滑化を図るISO (国際標準化機構)で、ビットコインの標準化の議論が進んでいます。 

世界各国の通貨は、ISO 4217で規格が決められています。

日本円を「JPY」、米ドルを「USD」、ユーロを「EUR」と表記するように、

それぞれの通貨を3文字のコードで記述するための国際基準です。

世界中の銀行システムはISO 4217を満たす必要があるため、

ビットコインがISO 4217に採用されると、技術的には、世界中の銀行システムが

ビットコインは使えるようになります。

例えば、ビットコインを日銀ネットワークに送ることができるようになるので、

仮想通貨が、今まで以上に既存の金融システムと融合する可能性が出てきます。

その意味で、ISO 4217に採用されるかどうかは、ビットコインが

さらに普及していくための1つの試金石となっています。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】107ビットコインとその他の仮想通貨の関係

デジタルの世界は「勝者総取りウィナーテイクスオール」の法則が働いて

シェアトップのサービスしか生き残れないとされてきましたが、

ブロックチェーンについては用途別の仮想通貨が横並びに普及して、

全体をつなぐのがビットコインと言う感じになるかもしれません。

日本円や人民元、ユーロに対して基軸通貨ドルがあるように、

ビットコインが基軸通貨のような役割を果たしていくのではないかと考えています。

例えば、イーサリアムについては日本の取引所でも取り扱っているところが多いので、

円から直接イーサリアムを買うことができますが、

まだ普及前の通貨は、円から直接買うことができません。

しかし、この先伸びると思えば、できるだけ安いうちに手に入れたいと思うのが

人情ですから、まず円でビットコインを買ってから、

ビットコインでその通貨を買うと言う取引をする人が出てきます。

 円でドルを買い、ドルで第3国の通貨買うのと、全く同じでそういう役目を、

ビットコインが既に果たしていると言うことです。

そうなると、将来有望な新しい仮想通貨が、登場するたびに、

ビットコインの需要が高まる可能性があります。

これが、いち早く普及したビットコインの地位はなかなか揺らがないのではないかと

思う理由の1つです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】106ビットコインが普及した理由

将来的にお金がデジタル化していくのはほぼ間違いないと思いますが、

ビットコインが真の勝ち組なのかと言うと、まだわからないというのが正直なところです。

例えば、後発の「リップル」や「ジーキャッシュ」の方が技術的には改善されていて

ビットコインよりも優れている面は確かにあります。

 しかしながら、数ある仮想通貨の中でビットコインが例外的に普及したのは、

劇的な偶然が重なったからだと言う見方があります。

別の仮想通貨がこの先、ビットコインがたどってきたような歴史をもう一度繰り返して、

世間に受けられる受け入れられるかと言うと、なかなかうまくいかないのではないかと

私も考えています。

ビットコイン以前にも、例えば「PayPal」のように、オンライン通貨を作ろうと言う

試みはいくつもありました。

電子メールを利用して決済するPayPalは、クレジットカード情報を

ネット上でやりとりしたくないと考える人たちには受け入れられ、

それなりに普及しましたが、「通貨」そのものにはなれませんでした。

 1企業が新しい通貨を創造しようと思っても、周囲の人たちがそれを簡単に認めるわけは無いからです。

企業が「仮想通貨」を作っても、その企業内でしか通用しない場合がほとんどで、

その企業の枠を超えて広がるのは難しいのです。

その意味でも、企業が発行した仮想通貨はポイントカードやゲーム内通貨と似ています(48ページ参照)。

最初からオープンソースで作られたビットコインとは根本的に違うのです。

特定の国に支配されない通貨を作ろうと言う発想自体は、以前からありました。

有名な経済学者の間でも、第二次世界大戦後の通貨体制を決めたブレトンウッズ会議で、

「バンコール」と言う世界通貨を提案しましたが、米国の反対にあって実現しませんでした。

もしバンコールが「基軸通貨」になっていれば、現在まで続く米国の覇権

(パックスアメリカーナ)も全く違う形になっていたかもしれません。

しかし、国際公用語を目指して作られた人工言語「エスペラント語」が

普及しなかったように、後から人工的に編み出された通貨が定着するには、

様々な偶然が重なる必要があるようです。

冷静に考えれば、特定の国の通貨が基軸通貨となり、

通貨発行権を事実上独占することの弊害はいくらでも思いつきますが、

物事は理念だけでは動かないと言うことです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】105コインチェックで売買できる9種類の仮想通貨

本書を執筆している2017年2月時点で、コインチェックで取引している仮想通貨は

全部で9種類。

みんな分散型台帳技術のブロックチェーンをもとにしています。

1番流通していて取引高が大きいいのは、もちろん「ビットコイン」ですが、

分散型契約情報プラットフォームの「イーサリアム」と「イーサリアムクラシック」

(この2つが別れた理由については211ページ参照)や、

分散型アプリケーションプラットフォームの「リスク」、

文書管理プラットフォームの「ファクトム」

代替コイン「(アルトコイン)の「モネロ」、

予測市場(賭け市場)プラットホームの「オーガー」、

即時グロス決済システムの「リップル」

取引を追跡できない完全な匿名性を実現した「ジーキャッシュ」です。

これだけ種類が多いので、市場規模や成熟度にはばらつきがありますが、

それを買っている人たちは、素晴らしい技術だから買って支援したいと言う人もいれば、

投資対象として客観的に眺めつつ、安値で買って高値で売る金融商品として見ている人もいます。

 分散投資のポートフォリオの1つと捉え、リスクをある程度高くても、

大きな成長を見込める分野として、新しい仮想通貨に投資する人が多いようです。

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