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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】86集中管理の落とし穴

既存の銀行システムのようなクローズドなシステムだと、

外部の人間がアクセスするだけでも極めてハードルが高いので、

誰かが勝手に数字を変えたりする危険は少ないかもしれません。

しかし、中央のサーバーで集中処理している関係で、その1箇所だか書き換えれば、

取引が成立してしまうと言う問題があります。

そのため、銀行内部の犯行だと、発覚するまでにかなり時間がかかったりするのです。

その点ビットコインは、多くのコンピューターによって分散処理されているので、

そのうち1カ所が攻撃され、仮に記録を書き換えられたとしても、

その取引を認められるません。

不正が入り込む余地は、その分、小さいと言えるのです。

ビットコインでは、皆が同じ1本の鎖を共有するため、枝分かれさせることも、

後からさかのぼって書き換えることもできません。

横に後にもいけない。

一方向だけになる1本の鎖です。

紙幣の偽造を防ぐために、最先端の透かし技術が使われているように、

ブロックチェーンと言う技術が、ビットコインをコピーや改竄から守っています。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】85コピーも改ざんもできないブロックチェーン

さらに言えば、ビットコインは、ブロックチェーンと言う技術を使って、

そもそもコピーできない仕組みになっています。 

これが不正防止の2つ目のポイントです。

ブロックチェーンは、過去のすべての取引が記録された1本のチェーン(鎖)のことで

この点をたどっていくと、生まれたばかりのビットコインの最初の取引から

現在に至るまでのすべての取引が記録されています。 

最初の取引は10分ごとに1つのブロックにまとめられ、

ブロックチェーンの最後尾に追加されます。 

この時、個々の取引が正しく行われたのか、チェックする仕組みになっているのです。

ブロックチェーンには、①たった1本の鎖である、②一方向にしか流れない(不可逆的である)、

と言う2つの特徴があり、そのことがコピーや二重取引等の不正防止に重要な意味を持っています。

ビットコインのすべての取引はたった1本の鎖に記録されていますが、

この鎖は、どこか1カ所のサーバに保管されているわけではなく、

P2Pネットワークに接続したすべてのコンピューターに全く同じ鎖が保存されています。 

と言う事は、誰かが勝手にコピーしたり、書き換えしたりしたら、その人の鎖だけ、

他の人とは別のものになってしまいます。

だから、簡単にばれるし、そもそもそんなインチキは誰も承認してくれません。

ビットコインは「民主的なお金」で、お互い承認しあって初めて取引が成立するので、

恣意的な操作や不正が入り込む余地がほとんどないのです。

また、ハッシュ値を利用したブロックチェーンは一方にしか流れないので、

過去にさかのぼって改ざんする事は原則的にできません(122ページ参照)。

仮に、元に戻って修正を加えようとすると、それ以降のすべてのブロックを

書き換えなければいけないので、改ざんは事実上不可能になっています。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】84 P2Pネットワークで分散処理

そこでビットコインでは、すべての取引はオープンになっていて、

「AさんからBさんへ1 BTC移動した」と言う記録を、

リアルタイムで世界中の誰でも見られるようになっています。

誰でも見られると言う事は、不正操作や改ざん、コピーをしたとしても、

すぐに見つかると言うことです。

参加メンバーがその取引を承認しない限り、実行されないと言うところが、

不正防止の1つ目のポイントです。

すでに述べたように、ビットコインは、国のユーザが直接データをやり取りする

「ピアツーピア型」のネットワークを採用しています。 

ネットワークの真ん中のサーバーにデータベースを格納して、

そこにみんながアクセスして利用するのではなくてインターネットに接続された

コンピュータ同士を直接結んでデータを送受信するピアツーピアは、

ファイル共有ソフトのナップスターやウイニー、無料通話アプリのSkype、

メッセージアプリのLINEなどでお馴染みの技術です。 

ビットコインの場合は、過去のすべての取引の記録を、

どこか1カ所にまとめて保管するのではなく、世界中に散らばった不特定多数の

コンピューターが同じ取引記録を保存することで、誰かが勝手に改ざんしたり

できないように、相互にチェックをして安全性を確保しているわけです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】82ビットコインの安全性や法整備はどうなっているの?ビットコインがコピーや改ざんされる心配は無いの?

ビットコインは枝分かれのない一連の取引記録を複数の人がチェックして運用されています。 

別の記録が混じれば弾かれるし、同じものが2つ併存することができないので、

コピーや改ざんされることは原理的にありません。

ビットコインはデジタル通貨で、電子データに過ぎないと言う事は、

簡単にコピーできてしまうのではないかと心配になる人がいるかもしれません。

インターネットが普及して、情報は原則タダで、誰でもコピーできると言う風潮が広がりました。

今で今までコピー機で1枚1枚コピーしたり、手入力したりして大変だったものが、

コピーアンドペーストすれば、コストゼロですぐに手に入ると言うのは革命的です。

しかし、誰でも簡単にコピーできてしまうというのは、金融システム的に言えばマイナスです。

お金をコピーしたり、金額を勝手に書き換えたりできてしまうと、

その通貨に対する信用が失われてしまうからです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】81クラウドマイニング

マイニング競争に参加する人たちは、ハイスペックのマシン環境を整備するために、

かなりの資金が必要です。

競争が激しくなり、自分たちの資金だけではまかないきれなくなってきたため、

世界中の人たちからオンラインで資金を募る「クラウドマイニング」も盛んになってきています。

これは、あるプロジェクトやアイデアを実現するために、

広く一般の人たちから資金を集めクラウドファンディングの仮想通貨版で、

例えば10万円提供してくれた人には、毎日少しずつ、掘り当てた仮想通貨を

送ってきてくれます。

500円玉貯金のような感覚で仮想通貨が溜まっていくので、

自分でマイニングレースに参加しない人でも楽しめます。 

ただし、クラウドマイニングでお金を集めたからといって、

予定通りレースに勝てるかどうかわかりませんし、そもそもお金を集めた人たちが

本当にそのお金をマシンに投資してレースに参加しているのか、

よくわからないケースもあるようです。

クラウドファンディングでも、プロジェクトが着地しないケースが何割かありますが、

こうしたしたサービスを利用するときは、あくまでも自己責任と言うのが原則です。

クラウドマイニングでは、すでに流通量が上限の何割かを超え、

マイニングで本を取ることが難しくなっているビットコインよりも、

イーサリアムなど別の新しい仮想通貨のマイニングが中心となっています

(別の画像通貨については194ページ84参照)。 

その方が競争もそこまで激しくないので、費用対効果が高いからです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】80セグイット問題

続いて、増え続けるブロックのデータ量を圧縮できないかと言う課題についてです。

ブロックチェーンは過去のすべての取引記録(トランザクション)が記された

「分散型取引台帳」です。

10分ごとに、数百から数千のトランザクションを1つのブロックにまとめ、

それを承認してチェーンの最後尾に追加していきます。

ビットコインの取引量が増え、ここのトランザクションをまとめたブロックが

重くなっていくと、それをチェックするのに時間がかかります。

ビットコインの取引が承認されるまで何10分もかかるのは問題なので、

基本的にはブロックを軽くしたいわけです。 

だから、当初からブロック1つあたりのサイズは上限が1 MBと決まっていましたが、

ビットコインの取引が活発になるにつれて、いずれ1 MBでは入りきらなくなるだろう

と心配されていました。 

これをビットコインのスケーリング問題といいます。 

一つ一つのブロックには、数百から数千のトランザクションと、

それぞれのトランザクションが正しいと確認するための電子署名が含まれます。

電子メールにも誰が送ったものかを特定するための電子署名がついてきますが、

ブロックチェーンの場合は、過去にやり取りしたすべてのメールの署名が

毎回ついてくるようなイメージなので、データが非常に重くなってしまうのです。 

そこで、ブロックに囲まれるデータのサイズを小さくするために、

トランザクションの部分と、、署名の部分を分けるセグウィットと呼ばれる

解決策がビットコインカンファレンスで長らく議論されてきました。

議論が割れたのは、マイナーの中心地である中国が、

セグウィットに難色を示していたからです。 

中国はインターネットの通信回線がそもそも遅いので、データ量を軽くしてしまうと、

回線速度が速い国に比べて不利になると言うのです。 

ユーザにとって早く処理できた方が良いはずなのに、マイナーの特殊要因で「

遅いままがいい」と言う人がいて議論が紛糾していたわけですが、

現在は既に実装されています。

署名部分を切り離したことによって、1つのブロックに格納できる

トランザクションの数が増えたのです。 

ビットコインの良いところは、どこか中心があって、

それが全てを管理するのではなく、民主的な話し合いによって全体の方針が決まることです。 

しかし、民主的な運営だからこそ、意思決定のスピードはトップダウン型の組織と比べて

どうしても時間かかるし、必ず合理的な意思決定をできるとは限らないのです。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】79優良な取引所だけを結ぶ「サイドチェーン」

例えば、一つ一つの取引が正しい取引かどうかを検証しなければいけないのは、

ビットコインを送る人と受け取る人が誰だかわからないからです。

中には怪しい人が紛れているかもしれないので、不正な取引を防ぐために

検証作業が必要なのですが、最初から信頼できる人同士の取引だと分かっていれば、

いちいち検証しなくても良いのではないか。

そういう発想で、日本や米国、中国など実績のある取引所だけを結び、

その間の取引について検証なしに即時承認する「サイドチェーン」を運用する

会社が出てきています。

 実績のある取引所に口座持っている人たちは、すでに本人確認等の手続きが

済んでいるから信頼できる、と言う理屈です。

そうなると、サイドチェーンに参加した取引所型のトランザクションを集めた

ブロックの方がいち早く承認されることになり、「即時決済」に近づいていきます。

 他の取引所言うよりも有利になるため、自分たちのサイドチェーンネットワークに

参加したければ、その分手数料を払え、と言うビジネスも成り立ちます。

取引所相手に、主な取引所を束ね、サイドチェーンを作ろうと言うレイヤーの

ベンチャーが出てきたのです。

 しかし、取引所としては、手数料を支払ってまでサイドチェーンに加入する

メリットがあるかどうか、見極める必要があります。

 サイドチェーンのアプローチは、多くの取引所が参加すれば、

他の取引所にもメリットが出る「ネットワーク効果」があるモデルのため、

初期の加入取引所を巻き込むことが大きな障害になっています。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】78即時決済に向けた取り組み

ビットコインを始めとする仮想通貨で、取引が完了するまでに時間かかり、

即時決済できないのは、中央のサーバーを持たず、P2Pネットワークで相互承認とする

ブロックチェーンの基本設計に関わる部分なので、仕方がない面があります。 

そもそも初期の設計思想としては、中央にサーバおかず、管理者不在で、

相互に承認し合うP2P型のネットワークシステムの方がコスト的に安くできたのは

間違いありません。

しかし、現在のようにビットコインの採掘が進み、マイニングの難易度が上がってくると、

レースに参加するためのマシンパワーも電気代もどんどん上がっていきます。

また、過去の取引記録のブロックチェーンが長大になり、

重いデータをやり取りするための通信コストも誰かが負担していることになるため、

一括でまとめて集中処理した方が効率が良いのではないかと言う議論も当然あります。

ブロックの認証は約10分ごとに行われています。

つまり、10分ごとに切り替わる鍵を世界中のマイナーたちが一斉に計算して求め、

1番先に見つけた人がビットコインをもらうわけです。

見つかった鍵が正しいかどうかは、二番手以降の人たちがチェックします。

複数の人が承認すれば、そのブロックが認証され、

ブロックチェーンの最後尾に加えられます。

ブロックが認証され、ブロックチェーンの末尾にがちゃんとハマれば取引成立です。

ビットコインの取引に時間かかるのは、みんなで認証作業をしているからです。 

しかし、マイニングの作業自体は、10分ごとに切り替わる鍵を見つけるために、

ランダムに現れる数字をしらみつぶしに調べているだけで、それ以上の意味がありません。 

計算結果が何か別の役に立ったりする事は無いのです。

設備投資や電気代を考えると、ものすごい無駄な作業を延々と繰り返していると

言えなくもありません。

そこで、認証されるまでおよそ10分かかると言う時間制限をなんとか緩和できないかと

考える人たちも出てきています。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】77ビットコインに死角は無いの?

ビットコインにも技術的な問題があります。

①取引完了までの時間短縮(即時決済)

②取引量増加に伴うデータ量の増加(スケーリング問題)

③上がり続けるマイニングコスト(クラウドマイニング)。 

順風満帆に見えるボットビットコインにも、いくつか技術的な課題があります。 

1つは、取引が完了するまでの時間をもっと短縮できないかと言うこと。

2つ目は、膨らみ続けるブロックのデータ量を圧縮できないかと言うこと。 

3つ目は、マイニングの難易度が上がり続けてペイできなくなるのではないか、

という問題です。

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【いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン】76誰も見たことがない世界

現場では2141年に掘り尽くすと言うルールで動いていますが、

それを変えることも可能ではありません。

マイナーがお互いに合意して、半分以上の議決権を行使すれば

ルール変更もできないわけでは無いからです。

とは言え、ルールを変更したとしても、有限であるから価値があったものを無限、

または無限に近い状態にしてしまったら、どこに価値が生じるのか、と言う問題が出てきます。 

安易なルール変更を拒む設計になっているところも、ビットコインの信用につながっているのです。

完全に空想の世界ですが、会社で言う「増資」のようなノリで、有限性は残しつつ、

掘り尽くすまでの期間を伸ばして、さらに100年持たせます。

といったルール変更が行われる可能性もあります。 

ビットコインにどのような未来がやってくるのか、見てみたい気もしますが、

それを決める頃には、多分私たちは生きていません。

その時が来るまで、みんな考えないようにしているともいえます。

円やドルの場合は、中央銀行が常に目を光らせて、マーケットに出回る通貨の量

(マネーサプライ)を調節しています。

ごく簡単に言うと景気が良い時は、お金の量を増やして金回り良くしたり、

逆に景気が過熱気味で、インフレ(物価上昇率)が上がりすぎたときは、

お金の量を減らして財布の紐を閉めたりしているわけです。 

しかし、ビットコインには中央銀行にあたる組織がなく、

市場に出回っているコインの量を調整すると言う発想がありません。 

そのため、ビットコイン価額が跳ね上がってバブルになったり、

逆にバブルがはじけて暴落したりした時も、全て市場により調整に委ねられています。

その上、価格にかかわらず供給量が一定(価格(P)をグラフの縦軸、数量(Q)を横軸とした

受給均衡図で、供給曲線が垂直に立った状態)と言う条件が加わったとき、

果たしてどうなるのかまだ未知の世界だけに、何が起きるかを正確に予測するのは困難です。

誰も経験したことがない世界なので、想像するしかないのですが、

例えばゴールドや石油を採掘し尽くしたらどうなるかを考えてみると、

ヒントになるかもしれません。

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