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【銀行デジタル革命】46コラム②日本にも迫るアマゾンエフェクト

アマゾンエフェクト(効果)と言う言葉が、日本でもよく聞かれるようになりました。

米インターネット通販サイトのアマゾンドットコムの急成長に代表されるように、

消費者が実店舗よりもネットでものを買うようになってきたころから、

百貨店やショッピングモールが閉鎖に追い込まれたり、

あるいは価格が安いネットショップと競合するために、

小売店が価格引き下げを強いられる状況などは、アマゾンエフェクトと呼ばれています。

MIT (マサチューセッツ工科大学)のアルベルトカバロ准教授は、

オンラインの小売価格と実店舗(オフライン)の小売価格の差を各国で調査し、

2017年にその結果を論文で発表しています(分析対象は10カ国、56の小売業者で、

日本ではビックカメラ、ケーズデンキ、ローソン、ヤマダ電機の4社が対象となっています。

この調査結果によると日本では、オンライン小売価格は実店舗小売価格よりも

平均で13%低くなっています。

これは10カ国平均の4%を大きく上回っています。

オンライン購入価格が実店舗小売価格よりも低いのは、

実店舗を持たないことによる各種コスト削減効果があることに加えて、

インターネット通販各社が物流ネットワークを整備したことによるコスト削減効果もあると見られます。

日本では、ネットショッピングに不慣れ、あるいは決済等の面で不安を感じる

中高年齢者の存在などから、ネットショッピングがまだ十分に広まっておらず、

その結果、2つの小売価格の間で裁定が働きにくいことが、

他国と比べて価格差が大きい背景と考えられます。

しかし日本でも近年、ネット販売の普及率が着実に高まっていることから、

実店舗での小売価格が押し下げられる形で、2つの小売価格の差が縮まっていると

考えられます。

 日本銀行は2018年6月に、日本でのネットショッピングの拡大が物価に与える影響を

試算しています(河田皓史、平野竜一郎「インターネット通販の拡大が物価に与える影響」

日銀レビュー、2018年6月)。

 それによると、2017年のネットショッピングの拡大は、

総合消費者物価(除く生鮮食品、エネルギー)上昇率を0.1から0.2%程度押し下げたといいます。

 主要国の中で最も低い物価上昇率をさらに押し下げると言う形で、

日本でもアマゾンエフェクトが現れてきているようです。

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【銀行デジタル革命】45メガバンク生悩まされる悩ませる手数料の扱い

日本でのモバイル決済の普及には、利用者のITリテラシーの向上と、

セキュリティへの不安、個人情報に対する懸念を払拭することが不可欠である事は、

これまで見てきた通りです。 

その上で普及を左右しそうなのは、その利用コストだと思われます。

メガバンクが準備を進めているデジタル通貨のスマートフォン決済では、

その利用手数料の扱いがどうなるか、いまだに明確ではありません。

 前述の通り、みずほFGは「利用者個人間の送金手数料は無料にする」、

また「利用者の銀行口座とデジタル通貨専用口座との間のお金の出し入れは

手数料をかなり安くする」との考えを公表していますが、特に後者については、

その実現可能性は未だに不透明です。

MUFGコインやJコインの実質的な運用主体は、中国のアリペイとは異なり銀行です。

海外ではフィンテック企業が担うビジネスに、

日本では銀行自ら乗り出そうとしたために、海外には見られない問題が早くも生じています。

アリペイでは消費者側の利用者の手数料はほぼ無料でした。

 利用者が銀行口座からアリペイの口座にチャージすれば、

通常は銀行振り込みの手数料が生じますが、

利用履歴情報をビッグデータとして活用することから得られる利益をもとに、

その手数料はアリペイが肩代わりしているとみられます。

前述した通りです。

しかし、銀行自身が運営を担う日本のビジネスモデルで、

こうした手法を採用するのは難しい面があると思われます。

 ATM等利用しての送金には手数料がかかるのに、

スマートフォン決済を利用する顧客だけを振り込み手数料で優遇するような制度は、

容易に受け入れられないと推察されるからです。

 アリペイのように取引履歴情報提供の対価として手数料無料にするのであれば、

その活用ビジネスとして成立させ、会計を透明化して、

ビジネスによる刺激で手数料がまかなわれていることを示し、

スマートフォン決済以外の方法、例えばATMで手数料払って送金サービスを

利用している顧客の理解を得ることが必須です。

 その時、顧客の利用コストを無料にできるか否か、

無料とならないまでも利用中止をさせない程度に安価にできるかどうかは、

ビックデータビジネスで成功できるかどうかにかかっているといえます。

 しかし、銀行が取引履歴情報などをビックデータビジネスとして成立させるには、

大きなハードルがあります。

 アリペイはもともとオンラインショッピングの企業ですから

取引履歴や顧客情報などのビックデータを利用し、本業の利益拡大を図るのは容易です。

 一方、銀行が決済情報そのものを本業にフィードバックして新規顧客獲得増加などの

相乗効果を得る事は難しいと思われます。

 そのため、ビックデータをビジネス化するには、

個人が特定されないように加工した上で販売するしかありません。

 匿名となればビックデータの利用価値が著しく毀損されかねません。

 また、今のところビックデータの販売について国内にルールはありませんが、

政府は早晩ルール作りに着手すると思われます。

 ルールの設計次第では、スマートフォン決済を無料にできるほどの

ビジネスを見出せない可能性もあります。

 そのように、ビックデータビジネスには、不透明な部分が多いのが現状なのです。

 手数料を低く設定すれば、MUFGコイン、Jコインの利用が広がり、

ビックデータの蓄積が進み、ビジネスが成功しさらに手数料を下げることができると

言う好循環となる可能性もあります。

 ですが、反対に、手数料を利用を促すほど十分に低く設定できなければ利用が広がらず、

ビックデータも十分に蓄積蓄積されず、ビジネスも成立しないと言う

悪循環に陥る危険性もあるのです。

 ITリテラシーの育成や安全性に不安の払拭等の前提条件を別として、

銀行デジタル通貨の成否は、スマートフォン決済の手数料を安価に抑えることに

理解を得られるような、ビックデータ活用のビジネスモデルを提示できるかどうかに

かかっています。

 本章はここで閉じます。

 本章では、モバイル決済普及の3つの壁の一第一の壁を検討しました。

 第二の壁—日本人の現金志向と、第3の壁—キャッシュレス社会実現の

コストについては、次の第4章以降で詳細に検討します。

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【銀行デジタル革命】44新興国ではモバイル決済が急拡大

日本を始めとする先進国でモバイル決済の普及が滞っているのに対し、

1部の新興国でモバイル決済が急速に広まっている事実は、

モバイル決済の今後を占う上で、見逃せない観点です。

中国の事例には既に触れましたが、アフリカ大陸の新興国ケニアでは、

2015年6月現在で、携帯電話加入者の約76.8%がモバイル決済を利用しているとの

調査があるそうです。

ケニアでは「エムペサ」がよく知られています。

Mはモバイル、ペサはスワヒリ語でお金を意味します。

エムペサは携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を使って

送金するサービスで、インターネットではなく、通常の電波を利用しています。

利用者は、身近にある、ペサの取次店でアカウント取得して、ペサの口座を開設し、

そこにお金をデポジットとして預けます。

後は、送金相手の携帯電話の番号と送金金額、暗証番号を入力した

ショートメッセージを、エムペサに送信するだけで、

自身のエムペサ口座から相手のエムペサ口座に送金することができます。

こうした簡易なシステムにより、銀行の利用率が低い地方に住む人や低所得者の間で、

エムペサの利用者は拡大していたと言われています。

ケニアでエムペサの利用者が急拡大した要因は、固定電話普及率が十分でなく、

携帯電話が爆発的に普及したことに加え、銀行の支店やATMが少なく

銀行サービスが行き渡っていなかったことだと考えられます。

社会インフラが未整備だったことが新しい技術を爆発的に普及させる原動力と

なったのです。

簡単に言うと、金融インフラを含め各種のインフラが充実している、

あるいはそこにすでに拒否が投じられている先進国では、

モバイル決済などの新しい技術がこのような速さで普及することは難しいと思われます。

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【銀行デジタル革命】43個人情報流出の懸念

安全性の不安の一環ですが、今まで見てきたネット犯罪などに加え、

個人情報の流出や流用に対する懸念も、ITの利用、ひいてはモバイル決済の利用を

躊躇させる要因となっています。

2018年3月、5000万人以上のFacebookの利用者情報が流出したニュースは

全世界を駆け巡り、人々を驚かせました。 

Facebookを持ち出すまでもなく、個人情報流出事件は枚挙に暇がありません。

個人情報が悪用される事件が増加している背景には、

それが以前よりも高い価値を持つようになってきていることがあり、そこは特に重要な観点です。

ビックデータをめぐっては、国家間の攻防があるほどその価値が高まっている事は、

前述した通りです。

個人情報に関する相手利用者の懸念は、情報が不正に利用されることに限りません。

利用者は、個人情報が広く流出し、それがコントロールできなくなってしまうことにも

懸念を持っています。 

2014年の米国ビューリサーチセンターの調査によれば、

91%のアメリカ人が、消費者が自分の個人情報に対するコントロールを失うことがあることを認め、

88%が誤った個人情報をオンライン上から取り除くことが非常に難しいと考えていました。

さらに、OECDが実施した2016年のEU地域での調査では、

記録されたオンライン上での取引履歴に関する個人情報が、

広告活動に利用されることを懸念するとの回答が約60%に及び、ドイツでは80%を超えていました。

モバイル決済が先進国で期待されたほどの速度で普及しない背景には、

デジタルに関する信頼感の毀損があると推察されます。

利用者には、安全性の不安や個人情報の流出、利用に対する懸念を持つ人が多く、

事件の増加も手伝って、それらは日々に拡大しているといえます。

個人情報については、日本人には特に敏感な国民性があると言われています。

MUFGコインとJコインは、スマートフォン決済での利用を前提に開発されており、

当然、取引履歴情報の活用も予定されているはずです。

モバイル決済を普及させ、日本にキャッシュレス時代を到来させるためには、

安全性への不安、個人情報に対する懸念を払拭することが必須条件です。

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【銀行デジタル革命】42後を絶たないネット犯罪

安全性の不安は根拠のないものではありません。

コンピュータウィルスやオンライン詐欺、個人情報の流出、悪用など、

ITに関連する犯罪や不祥事のニュースは後を立たず、IT利用の安全性を脅かす事件は、

実際に増加しています。

 モバイル決済もIT利用に他なりません。

 さらに、単にその数が増加しているだけではなく、

問題は以前にも増して大規模で複雑なものとなってきています。

 ITの安全性の問題は経済全体にとっても大きなコストとなります。

 近年の事例に、2017年5月に世界中で同時に発生したワナクライ(泣きたくなる)と

名付けられたコンピューターウィルスによる感染事件があります。

 感染したコンピューター内のファイルを暗号化して判読不能にさせた上で、

修復の代償として金銭を要求する悪質な犯罪でした。

 感染したパソコンには、ビットコインで300米ドルの支払いを要求する

犯人からのメッセージが表示され、3日以内に応じなければ“身代金“は倍額に、

1週間以内に支払わなければ、読めなくなっているファイルを削除すると記されていたそうです。

 ワナクライウィルスは、世界中の経済活動に大きな困難を生じさせました。

 英国の国民保険、米国の貨物航空会社フェデックス、ドイツ鉄道などのサービスが

一時的に停止され、自動車会社の日産、ルノーの工場でも生産が一時的にストップしています。

テレビやネットでこうした報道に日々触れることが、

ITモバイル決済の安全性への不安を醸成している事は疑いません。

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【銀行デジタル革命】41セキュリティへの不安

ITリテラシーの低さに加え、セキュリティに対する不安も

モバイル決済普及の妨げとなっています。

こちらは日本に限ったことではなく、先進国に共通の課題です。

先の日本銀行のレポートにある、モバイル決済を利用しない理由に関する

日本、米国、ドイツの参加国の調査結果を見ると、

いずれも「セキュリティに対する不安」と「現金など他の手段に不便を感じない」

と言う2つの理由が上位を占めています(図表3-3)。

前者はモバイル決済を利用することのデメリットを、

後者はモバイル決済を利用することのメリットの小ささを示しているといえます。

さらに、モバイル決済を利用しない理由を「セキュリティに対する不安」と、

「支払いは現金でしたい」の2つに絞って日本人の年齢別の海外比率を比較してみます(図表3-4)。

モバイル決済の利用率が多い利用率が高い30代や40代では、

「セキュリティに対する不安」を利用しない理由に挙げる人が多く、

20代の逆年齢層と70歳以上の高年齢層では「支払いは現金でしたい」の回答が50%を超えています。

20代に現金思考が強いと言う調査結果が興味深く、日本の大きな特徴と言えるかもしれません。

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【銀行デジタル革命】40 IT利用で遅れをとる日本人

OECD (経済協力開発機構) が2016年に実施した16歳から74歳までを対象とした

調査によると、日本人のインターネット利用率は98.0%で調査対象38国中第2位でした。

そのような状況ですから、日本はIT先進国であると理解されている読者も多いと思います。

しかし、年齢層別やIT利用分野などカテゴリー別にIT親和度を詳しく見ていくと、

必ずしもIT先進国とは胸を晴れない実態が浮かび上がってきます。

例えば年齢層別のインターネット利用率では55歳から74歳の利用率は76.6%と低く、

中高年齢層への浸透では必ずしも高いとは言えません。

また、クラウドコンピューティング、e-ラーニング (オンライン上での学習)、

e-ガバメント(電子政府)の利用状況は世界と比べると非常に遅れているのが実情です。

世界中で、クラウドコンピューティングの利用が急増しています。

クラウドコンピューティングは、ネットでつながっている多くの高性能コンピューターが

収蔵するソフトウェア情報を利用者が所有するパソコンやスマートフォンなどの端末で

利用できる仕組みです。

自分が使っている端末の性能が低くても、

様々なことができるメリットがあり、文章や画像、音楽、動画などを保存したり

他者と共有したりするのに便利です。

OECDの同じ調査では、クラウドコンピューティングの利用率はスウェーデンの48%が

最高で、ノルウェー、オランダの欧州諸国が高位を占めています。

日本の利用者比率はわずか7.1%で、調査対象国中最下位でした。

ちなみに各国とも若年層と高学歴層の利用比率が相対的に高いと言う傾向があります。

e-ラーニングとe-ガバメント利用率でも日本は後進国です。

e-ラーニングでは調査対象国全体でインターネット利用者の9.7%が

過去3カ月の間に利用していたのに対し、日本は3.4%でこちらも最下位でした。

e-ガバメントとは、例えば、所得税の電子申告や住民票の電子申請のように、

政府や自治体のウェブサイトにアクセスし、情報をやり取りするシステムです。

こちらも、北欧諸国が軒並み50%と効率で、トップのデンマークでは

70.9%に足していますが、日本はわずか5.4%で最低レベルにあります。

モバイル決済等、経済のデジタル化には、利用者となる個々の基本的なITスキルの習熟が

欠かせませんが、その点でも日本は世界のトップグループから水をあけられています。

基礎的なITスキルについて、比較的容易な電子メールの送信などの通信と情報検索

(CIS:コミニケーション&インフォメーション、サーチ)のスキルと、

少し高度なワードプロセッサやスプレッドシートなどのソフトウェアを使いこなす

(OPS:オフィス、プロデュースティブ、ソフトウェア)スキルに分けて、

OECDの調査を参考に日本の現状を確認しておきます。

CS Iのスキルを持つ人の割合は、2012年のOECDの調査で、

調査対象国20カ国の平均38.4%に対し、日本は31.3%、

OPSは平均25.5%に対し22.4%で、いずれも下位グループに甘んじています(図表3-2)。

 上位のノルウェーオランダでCISが50%を超えるのと比べると、

大きな差であると言わざるをえません。

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【銀行デジタル革命】39若年男性以外はモバイル決済が苦手

日本銀行のレポートを参考に、日本や他の先進国でモバイル決済が普及しない理由を

検討してみましょう。

モバイル決済の利用率を性別、年齢別に見ると、すべての年齢層で

男性の利用率が高いことが確認できます(図表3-1)

男性は20代から40代までは約20%で並び、それ以降は利用率が低下します。

他方、女性は40代の12%をピークとする山形の利用率になっています。

年齢別では中高年齢層の、性別では女性の利用率が低いのが、

デジタル機器の親和度やITリテラシーと関連があると推察されます。

 モバイル決済を利用するには必要なアプリ必要なアプリをダウンロードしたり、

スマートフォンや携帯電話の機種を変更する際に新端末で

再設定したりしなければならず、デジタル機器の操作に苦手意識を持つ人は利用を敬遠します。

 アンケート結果は、そうした傾向が男性より女性に、若年層より中高年層に

そういうことを示しています。

ITリテラシーの低さが、日本でのモバイル決済の利用拡大を阻む一因であることが考えられます。

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【銀行デジタル革命】38日本では広がらない?先進国で普及しないモバイル決済

日本では携帯電話やスマートフォンを使ったモバイル決済サービスは、

中国でアリペイのスマートフォン決済が登場するかなり前から始まっていました。

 日本で最初のモバイル決済サービスは、NTTドコモがお財布携帯機能を携帯電話に

導入した2004年に開始されています。

 スマートフォンには様々な定義があるようですが、

それは現在一般に理解されるスマートフォンが発売される前のことです。

 そういう形があるため、日本では「スマートフォン決済」よりも「モバイル決済」と

言う用語が一般的なのです。

導入時期は早かったものの、モバイル決済は普及しているとは言えません。 

日本銀行は2016年に実施した「生活意識に関するアンケート調査」の中で、

モバイル決済の利用状況調査した結果をまとめ、「モバイル決済の現状と課題」と

題するレポートを作成しています。

そのレポートによると、店舗などで携帯電話やスマートフォンのモバイル決済機能を

利用している人は全体の6%に過ぎませんでした。

さらに、「機能はあるが利用してない」と回答した人が42%でした。 

詳細な調査は限られますが米国やドイツでもモバイル決済の利用は広がりを

欠いているようです。

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【銀行デジタル革命】37コラム、小売業がキャッシュレス化を加速

デジタル通貨を用いたスマートフォン決済の実現に向けた大手銀行の取り組みに

やや足踏み感が見られている中、小売業界ではスマートフォン決済の導入が加速しています。

まずそのきっかけとなったのは、中国人訪日客への対応でした。

コンビニエンスストア大手のローソンは、全店舗に中国アリババグループの

スマートフォン決済「アリペイ」を導入しています。

ファミリーマートは、アリペイを約170店舗、中国のテンセントが展開する

「ウィーチャットペイ」を約160店舗で導入しています。

 こうした動きなの小売業も追随しています。

 百貨店の松屋は2018年4月に、中国決済システムの中国銀聯が提供する

非接触IC決済のQuick pass(クイックパス)を日本の百貨店で初めて導入しました。

 東武百貨店池袋本店でも2018年4月に、アリペイとウィーチャットペイの導入を始めました。

 小売業界によるキャッシュレス決済の取り組みは、中国人訪日客への対応だけにとどまりません。

百貨店の高島屋は、2018年秋から新型レジを導入して、

スマートフォン決済やICチップを読み取る非接触型のクレジットカード決済に対応していきます。

 ローソンも年内をめどに、全1万4000店点で端末にかざすだけで決済できる

非接触型のICクレジットカードを使えるようにします。

 また、セブン&アイホールディングスは2019年春にスマートフォン決済の

サービス開始を目指しています。

 ローソンは2018年4月から、スマートフォンで来店客が自ら会計するセルフレジ

(無人レジ)の実証実験を、都内3店舗で始めました。

 客はスマートフォンの専用アプリを使って、商品のバーコードを読み取って決済します。

 決済方法はアップル Pay、楽天ペイ、各種クレジットカードから選択することができます。

 スマートフォン決済を使ったセルフレジは、レジでの混雑を緩和して

利用客の利便性を高めるほか、店員の人手不足対策としても有効なのです。

日本国内での現金決済の比率は8割程度あります。

 特に、5000円以下の小額決済については、その比率は9割に及ぶといいます。

 これをスマートフォン決済等キャッシュレス決済に置き換えていけば、

現金決済で補足ができなかった購買力のビックデータを小売店が収集、分析して、

販売促進などの経営戦略に生かすことができるようにもなります。

 宝の山と言えるビックデータの獲得も視野に入れ、小売業が日本のキャッシュレス化の

新たな推進役となっているのです。

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