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【銀行デジタル革命】06新機軸は大銀行への反発から生まれた

欧米と日本を比較すると、欧米のフィンテックは実装段階であり、

日本のそれは実証実験段階にとどまっているというのが現状です。

欧米、特に米国でのフィンテック普及には、特別の理由がありました。

米国のフィンテック企業は、2008年のリーマンショックに端を発した

金融危機で銀行リストラされ、銀行に反発を抱く人々が担っているケースが少なくありません。

米国社会にはリーマンショックの際、大手銀行が公的資金で救済されたことへの

強い反発が広まり、それが、フィンテック企業のサービスを歓迎する

素地となったことも、フィンテックの普及を後押しました。

こうした事情から、米国のフィンテック企業が当初は銀行と敵対関係にありました。

先に紹介したJ.P. モルガンのダイモンCEOの言葉は、そうした文脈で飛び出してきたものです。

敵対的なオリンピック企業に対抗するため、米国の銀行はフィンテックを

業務に取り込むことに力を注ぎました。

新興のフィンテック企業と伝統的な銀行の両者が熾烈な競争を繰り広げる中で、

フィンテックは発展していきました。

今日、米国のフィンテックは、フィンテック企業による旧システムの破壊の時期から、

フィンテック企業と銀行の競合の時期を経て、時に両者の協調も見られるステージへ

向かおうとしています。

日本と欧米を比較すると、フィンテックに対する金融機関経営者の意識の違いも際立ちます。

ウォール街を代表する投資銀行のゴールドマンサックスや

ドイツのトップバンクであるドイツ銀行は、自らをテクノロジー企業と呼んでいます。

ゴールドマンでは2000年には600人いた大口顧客向け株式トレーダーが、

2017年にはわずか2人まで減っています。

トレーダーの業務は、もとの3分の1の200人のエンジニアが管理する

自動トレーディングプログラムに代替されてしまったのです。

欧米の金融機関は、技術者の採用の面でもフィンティック企業と熾烈な人材獲得競争を

繰り広げる、戦略的投資を拡大しています。

同時に、外部技術を積極的に取り入れるオープンイノベーションの推進にも積極的です。

特に米国の銀行は、自らフィンテックを開発し使いこなすことで、

その次にも短期間で収益化することに成功しました。

そうした動きの背景には、銀行業務をどう捉えるかと言う意識の違いもあります。

日本では銀行の3大業務は預金、貸出、決済とされています。

特に、江戸時代の両替商から出発したと言う歴史的背景があるため、

決済業務を銀行の牙城とする意識が官民ともに強く、そうした考え方が

他業種から決済業参入を阻んできました。

一方、例えば米国では、銀行業務の中心は預金貸し出しと言う意識が強いようです。

米国のフィンテック企業は金融機関の決算業務に食い込むことで発展してきましたが、

それができたのは、米国の銀行に決済業務への強いこだわりがなかったことも

関係していると思われます。

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【銀行デジタル革命】05はるかに先を行く海外の新サービス

図表0-1に整理したように、日本でもフィンティックを使った様々なサービスが

開始されていますが、海外、特に米国のフィンテック企業のサービス展開は技術、量ともに

日本の企業のそれをはるかにしのいでいます。

預金分野ではオンラインバンクのsimple(シンプル)が、普通預金の口座に

目標額と達成時期を設定するだけで自動的に預金を積み立てることができるサービスを

開始しています。

このサービスはネオバンキングと呼ばれ、普通預金の概念を変えたとまで言われています。

他にも、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は

ショートメッセージサービス(SMS)を活用して楽しく預金が積み立てられる

smarttypig(スマートティッピッグ)やDyme (ダイム)、自動的に節約し貯蓄できる

Digit(デジット)などが、若い世代に広く支持されています。

融資分野では、インターネットを使って不特定多数の人から資金を調達する

クラウドファンディングのLendingClub(レンディングクラブ)が有名です。

フィンテック事業が、資金の借り手と貸し手を仲介するマーケットプイス型の

融資を提供しています。

インターネット上のクラウド会計サービスやeコマース (電子商取引)サイトのデータを

活用して与信判断をし融資するKabbage(キャベッジ)も注目されています。

オンラインで効率的に審査を行うことで、これまでの融資サービスに比べて

短期間で融資を受けることができます。

審査スコアを公開し融資審査の透明性を担保することで、

融資を受けられなかった顧客の不満を極力少なくする工夫も見られます。

送金、決済分野で注目されているのは、銀行口座を使って

個人間の送金をできるようにしたP2P決済サービス事業者DWOLLA(ドウォラ)です。

P2Pはpeer(仲間同輩)to peer、またはperson to personを意味し、

24時間リアルタイムで送金ができるサービスです。

飲食店などで現金で割り勘払いをしなくても、スマートフォンを使って送金することで

割り勘精算ができるようにしたVenmo(ベンモ)も利用者を広げています。

これはメッセージ機能も付いたSNS型個人間送金サービスです。

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【銀行デジタル革命】05金融の業務地図を塗り替える

諸外国では、フィンテックは金融業界を革新的に変化させる技術サービスだと

考えられていますが、日本では意識の上でも行動の上でも動きが鈍いのが実情です。

あらたなサービスの開発普及を妨げてきた背景には銀行法、金融商品取引法、

保険業法、貸金業法、資金決済法、出資法などの法律によって、

銀行、貸金業、保険、証券などの金融業態を縦割りで

厳しく規制してきた金融法制がありました。

銀行は保険を販売できず、保険会社は個人向け融資を行うことができないことなどは、

かつては常識と考えられてきました。

まして、金融機関ではない企業の金融業への参入はありえないことでした。

例えば、電子マネーにチャージすると原則は換金できないのも、

銀行以外での事業者が元本の返済を約束した「預かり金」を行うことが

禁止されているためです。

電子マネーチャージしたお金を現金化できるとすれば、

利子がつかなくてもお金を預けているのと同じで、

電子マネー事業者が銀行の仲介業務である預金業務をしていると解釈され、

違法となるわけです。

あるいは、電子マネーにチャージする形で支払いを受けた人が、

それを現金化するとやはり銀行の中核業務である決済業務になり、

こちらも違法行為になります。

2009年に資金決済法が施行され、銀行以外の事業者も決済業務に

本格的に参入できるようになりましたが、依然として厳しい規制があります。

とは言え、IT関連企業にフィンテックを使った商品やサービスは日本でも徐々に始まっています。

LINE Pay (ラインペイ)、楽天ペイ、paymo(ペイモ)などの決済サービスや、

自動貯金サービスのfinbee(フィンビー)、中小企業向け融資サービスの楽天のカードや

Jscore(ジェイスコア)などです。

こうしたフィンテック企業の新しいサービスは、従来型の金融機関の業務のうち

収益性の高い1部分だけを取り込み、例えば決済サービスに特化するといった形で、

金融業界の業務地図を塗り替えつつあります。

それらを銀行の業務分野別に整理したのが図表0-1です。

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【銀行デジタル革命】04フィンテックの本質は革新的なサービス

フィンテックとはファイナンス(金融)のテクノロジー(技術)を組み合わせた造語で、

2008年のリーマン直後に米国で生まれたとされています。

ATMによる現金の引き出しや振り込み、クレジットカードの利用など、

金融サービスは以前から専門技術があってこそ成り立ってきました。

しかし今日話題になるフィンテックはそうした伝統的なサービスを支える技術とは

一線を画するものです。

その本質は、安くてより良いサービスを利用者に提供する技術であり、

実際、ここ数年間にシリコンバレーで次々と設立されたフィンテックの企業の多くは、

預金決済など銀行が従来から提供してきたサービスを利用しながら、

より利便性の高い新サービスを提供しています。

フィンテックと言う言葉はそのように「ITを駆使した、革新的で、

既存の金融機関のサービスを一掃してしまうほどの力がある金融商品やサービス」と

いった意味で使われることが多いようです。

フィンテックと言う言葉はは2015年3月、米国の巨大な銀行持ち株会社

JPモルガンチェイスのジェームズダイモンCEO (最高経営責任者)によって、

一躍世界で有名になりました。

ダイモンCEOは、公開した「株主への手紙」の中で、

フィンテックを使ったサービスを展開するスタートアップ企業を評して

「シリコンバレーがやってくる」と表現し、フィンテック企業が巨大銀行の

脅威となっていることをズバリと指摘したのです。

この発言は日本のメガバンクにとっても衝撃でした。

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【銀行デジタル革命】03デジタル通貨とは何か

本書ではデジタル通貨と言う用語が煩雑に登場しますが、

実は、デジタル通貨は明確に定義された言葉ではありません。

混乱を避けるために、本書でデジタル通貨と言うときの意味を最初に明確にしておきたいと思います。

 語義としてのデジタル通貨は、紙幣や硬貨の現金とは違い、

コンピューター上で電子的に価値が保存されたり、移動ができたりする通貨を言います。

 広義にはSuica(スイカ)やPASMO (パスモ)、Edy (エディー)nanaco(ナナコ)、

お財布携帯などのプリペイド型の電子マネーや、

コンピューターで電子的に管理されている銀行預金もデジタル通貨と言うことができます。

 また、近年、マスメディアでよく話題になるビットコインなどの仮想通貨も

デジタル通貨の範疇に入ります。

 けれども、一般にデジタル通貨と言うときには、

電子マネーや銀行預金が含まれる事は無いように思います。

電子マネーは商品やサービスの購入に使うことができても、

商品券等と同じように利用対象が制限されています。

また、一旦チャージすると現金と交換する、つまり払い戻しをする事は原則禁じられています。

 交通系電子マネーでは払い戻しは可能ですが、

手数料がかかる上本人確認が必要になるなど、かなり手間がかかります。

 また、理屈上はそうであっても、銀行預金をデジタル通貨と呼ぶのはしっくりきません。

 したがって、実際に店舗で買い物をする際に、直接利用でき、

かつ、利用対象が制限されていないものをデジタル通貨と言うのだと思います。

 一方、仮想通貨はデジタル通貨のひとつと考えられますが、

実際にはそれと区別して使われることが多いようです。

 仮想通貨の価値は円など法定通貨と結びついておらず、

価格変動が大きく、その価値が不安定であることがその理由です。

 本書では、法定通貨と1対1で価格変動なく交換できるものに限って

「デジタル通貨」の用語を使うことにします。

 それ以外の広義のデジタル通貨は、今一般に混乱なく使われている仮想通貨、

電子マネー、銀行預金などの用語を使用します。

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【銀行デジタル革命】02メガバンクがデジタル通貨を発行へ

三菱東京UFJ銀行(当時、現三菱UFJ銀行)は2017年5月1日、

独自のデジタル通貨MUFJコインの実証実験を開始しました。

三菱UFJ銀行がデジタル通貨を発行し、スマートフォンを使って

小売店や自動販売機、個人間の金銭授受に利用できるサービスです。

フィンテックの進展により中国のアリペイのサービスを始め

海外ではスマートフォン決済が急速に拡大していますが、

大手銀行が独自のデジタル通貨を発行してそうした決済サービスに乗り出すのは、

世界に先駆けた試みです。

一方、みずほファイナンシャルグループ(FG)のスマートフォン決済を想定した

デジタル通貨発行の準備を進めています。

郵貯銀行や地方銀行と連携して、Jコインと名付けるデジタル通貨を

2020年中に発行することを目指しています。

日本の3大メガバンクグループのうち2つが、デジタル通貨の発行に舵を切ったのです。

デジタル通貨発行の狙いは、決済分野を中心とした顧客利便性の向上だとされています。

そうした動きと並行して銀行業界は、現在は平日の日中に限られている

ATMを利用した振り込みを2018年秋から年中無休にすると発表しました。

決済分野でのサービス向上への取り組みを昨今、しきりに強調しています。

一方、世界では技術力とアイディアにものを言わせて、決済業務、預金業務、貸出業務など

従来は銀行が一手に担って来た分野に参入するフィンテック企業が続々と登場しています。

フィンテック企業と既存の金融機関が顧客を奪い合う競争が激しくなるばかりです。

これまでは顧客の利便性を最優先に考えてきたとは言い難い日本の銀行が腰を上げ、

新サービスに取り込み始めた背景には、米国に発したフィンテック企業の動きに

対応せざるをえない状況がついに日本にもやってきたと言う事情があるのです。

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【銀行デジタル革命】01目次

00 目次

01 はじめに 

序章動き出したメガバンク

02 メガバンクがデジタル通貨を発行へ

03 デジタル通貨とは何か

04 フィンテックの本質は革新的なサービス

05 金融の業務地図を塗り替える

06 はるかに先を行く海外の新サービス

07 新機軸は大銀行への反発から生まれた

08 メガバンク自身が乗り出すことが日本の特徴 

第一章悩める巨人—挑戦がもたらす矛盾

1 競争促進へと転換した法整備

09 5%ルールの緩和

10 オープンAPIの推進

11 業態ごとの縦割り法制も再考へ

12 「利用者の視点」を重視し始めた金融庁 2銀行のフィンテック対応

13 全銀システムの稼働時間拡大—24時間365日稼働へ

14 メガバンクのデジタル通貨構想① MUFGコイン

15 メガバンクのデータデジタル通貨構想②Jコイン

16 デジタル通貨構想の前に‘100万円の壁‘

17 IT企業との連携 3揺れるメガバンク—やりたくないけどやらざるを得ない

18 顧客の支持を得たフィンテック企業

19 金融のアンバンドリングで「土管化」する銀行

20 銀行が直面するジレンマ

21 銀行デジタル通貨の限界

22 銀行フィンテックの課題 第二章仮想通貨は決済手段となれるか

 1日本は取引所や世界トップに

23 世界で流通する仮想通貨は1600種類

24 早かった関連法整備

 2仮想通貨決済は普及しない

25 10分の壁—遅い処理スピード

26 激しい価格変動に小売業者は困惑

27 投機対象としては魅力的

28 低金利低下で加熱するボラティリティーの追求

 第3章スマートフォン決済は日本で広まるか?

 1銀行デジタル通貨が直面する3つの壁

29 QRコード統一への動き

30 ITリテラシーの低さも障害に

 2中国で急成長するスマートフォン決済

31 第三者オンラインプラットフォーム

32 アリペイの快進撃

33 スマートフォン決済の広がり

34 余剰資金で資産運用サービス

35 規制に乗り出した中国当局

36 とまどう各国中央銀行

37 アリペイ上陸を拒否した日本—ビックデータをめぐる攻防

 コラム①小売業がキャッシュレス化を加速

 3日本では広がらない?

38 先進国で普及しないモバイル決済

39 若年男性以外はモバイル決済が苦手

40 IT利用で遅れをとる日本人

41 セキュリティーへの不安

42 後を絶たないネット犯罪

43 個人情報流出の懸念44 新興国ではモバイル決済が急拡大

45 メガバンクを悩ませる手数料の扱い

46 コラム②日本にも迫るアマゾンエフェクト 

 第4章現金の異様な存在感存在感  

 1日本人のお金の支払い方—根強い現金志向の謎を解く

47 増え続ける現金利用

48 現金離れは北欧だけ

49 高額紙幣の需要が大きいわけ

50 カードより現金

51 中央銀行は利用者のニーズを尊重 

 2現金流通のコスト

52 現金流通を支えているのは納税者

53 海外では所得格差を拡大

54 巨額の“隠れコスト“

55 15兆円超との計算も

 第5章大リストラ時代を迎えた銀行

 1「銀行は特別」と言う思い込み

56 貸し出しの低迷と金利低下が直撃

57 大銀行ほど変われない

58 日銀が指摘する高コスト体質

 2構造改革を迫られる銀行

59 フィンテックはサービスよりコスト削減の切り札

60 追い詰められる地域銀行コラム③キャッシュレス化をにらみATMを共通化

 第六章仮想通貨投資の行方

 1投資ブームの功罪

61 露呈した負の側面—コインチェック事件

62 登録申請中の「みなし業者」制度に問題

63 イノベーション促進か規制強化か

64 規制を嫌う海外投資家が日本へ流入

65 コインチェック事件を機に規制強化

 2投資対象としての仮想通貨

66 利回り追求は続く

67 ボラティリティーターゲティング戦略を招く不安定化

68 市場の法整備が進む仮想通貨取引

69 先物取引拡大にはまだ障害も

70 ビットコイン市場にヘッジファンドが参入

71 高速取引が始まったらどうなるか

72 仮想通貨の価値

73 取引価値のない仮想通貨

74 サイバー空間の金

75 ビットコインの妥当値は40万円?

76 決済手数料が高くなる

 4 ICOの行方

77 ICOとは何か—形を変えた仮想通貨投資

78 各国に規制強化の動き

79 英国FCAの強い警告

80 注意喚起から具体的規制の局面で

81 有価証券と同様の規制も

82 コダック社のサービス利用で使えるコダックコイン

83 企業に続いて自治体も発行

84 金融庁は新たな規制を検討か

 第7章世界の中央銀行のフィンテック対応

 1最大の関心はDLT

85 中央銀行の責務

86 DLTの特徴と応用範囲の平が広がり

87 「デジタル通貨=アナーキー」ではない?

88 日銀のDNT実験

89 日銀とECBの共同調査

 2中央銀行のAI活用

90 経済予測やリスク計測会の活用に期待

91 金融業務はAIに代替される

92 「景気ウォッチャー調査」の頻出後の分析実験

93 監督業務への応用に加え、国会答弁対応にも?

 第8章中央銀行デジタル通貨の可能性

 1動き出す中央銀行デジタル通貨構想

94 世界初はウルグアイ

95 FRBもフェドコイン発行を検討?

96 中央銀行デジタル通貨とは

97 スウェーデンに見る近未来通貨

98 キャッシュレス先進国

99 現金需要の減退への対応

100 名前はe-krona

101  利用者はe-kronaをどうやって保有するか

 3中央銀行デジタル通貨は金融をどう変えるか

102 民間銀行仲介型と直接発行型

103 民間銀行仲介型のデメリット—危ない銀行から資金が急シフト

104 直接発行型は超管理社会を生む?

105 資金シフトの抑制策

106 銀行ビジネスモデルの転換—ナローバンクへの接近

107 マネーロンダリング防止への期待

108 強まる現金廃止論と高額紙幣廃止の動き

 4変容する金融政策

109 シニョレッジの減少回避

110 マイナス金利政策の効果を高める

111 マイナス金利政策と現金の存在

112 デジタル通貨が「ゲゼル紙幣」を実現

113 中央銀行のコントロールを強化

114 信用創造機能が失われたときの影響は未解明

115 最後尾を走る日本

 終章日本の金融にデジタル革命は起こるのか

116 勝者は現金

117 民間にインフラを担う体力はない

118 現金通貨のコストを忘れるな

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【銀行デジタル革命】00はじめに

今、日本では、デジタル通貨の覇権争いが始まろうとしています。

ビットコインに代表される仮想通貨、民間銀行が発行目指しているMUFGコイン、

Jコインなどの独自のデジタル通貨に、中央銀行が発行する中央銀行デジタル通貨の

3つの覇権争いです。

デジタル通貨の概念については序章に詳述しますが、

今、耳目を集めているデジタルの通貨は、スマートフォンなどの端末機を使って、

支払いや送金などに利用できる電子的に記録された“通貨“です。

長い歴史の中で、人々が商品を買ったり売ったりするときに使ってきた現金に変わり、

本格的なキャッシュレス社会が、日本にも到来しようとしているのです。

例えば、北欧のスウェーデンでは、日常の決済の大部分がすでに電子化されています。

通貨や貨幣の素材は時代とともに大きく変化を遂げてきました。

古代中国では貝を通貨として利用していましたが、金属の鋳造技術の発達とともに、

金や銀、銅なので貨幣が作られるようになり、

やがて製紙と印刷技術の発展で紙幣が製造され流通するようになりました。

現在ではプラスチックも使われています。

このような歴史を踏まえれば、今般のデジタル技術の発展により、

通貨がデジタル化(電子化)されていく事は歴史の必然のようにも思われます。

通貨のデジタル化には、近年注目されているフィンテックが大きな役割を担っていますが、

欧米や中国などに比べ、フィンテックやそれを利用した電子決済が普及で

遅れているのが日本の現状です。

3つの種類のデジタル通貨が、今後、どのような勢力争いをくり広げながら、

通貨のデジタル化を前進させていくのか。

本書は、日本のフィンテック対応や電子決済、銀行の現状と課題、仮想通貨投資の行方、

世界の中央銀行の動向などを詳細に思いつつ、通貨のデジタル化への道を展望します。

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変幻自在883フリーは記者か

半世紀前、新聞記者を志して何社か受けた。

倍率は3桁近かった。

奇跡的に産経新聞の補欠に引っかかったが、そこからが大変だった。

入社後も選り分けがあって記者への第一歩となる地方支社に出られたのは5人に1人。

あとは整理部とか総務とかに回された。

それは「ダメならいつでも差し替える」と言う脅しでもあった。

だから不満など一言も言えない。

朝から晩までサツや県警、裁判所を回った。

回りながら原稿の書き方を覚える。

最初の半年は休みも取れなかった。

新聞は毎日出る。

毎日が言わば試験で他社の記者と比較され、下手を書くと1日惨めだった。

それに疲れ切る記者もいた。

水戸支局時代には読売の記者が自殺し、本社に上がってからは同期と先輩が縊死した。

死人が多い職場だった。

なまじの仕事では目が出ない。

支局管内に誰も行かない東海村があった。

通って原子力を勉強した。

3年通って遠心分離方式によるウラン濃縮実験に出くわした。

米オークリッジで広島型原爆を作ったのと同じ洗濯槽みたいな筒が並んでいた。

いま北朝鮮が懸命に回している。

歩き回った成果だった。

それを重ねてやっと本社に上がれた。

上がって良い事は専門性の高い記者クラブに出られることだ。

こちらは飛行機のクラブに出た。

すぐロッキード社から新型機披露の招待があって、ロスに飛んだ。

ロ社での会見で驚いた。

各社記者は通訳なしで新型機について社側に突っ込んだ質問をしていた。

そういう手練になって初めて航空機事故を取材でき、解説をかける。

記者クラブは遊んで務まる場ではなかった。

航空機のイロハから管制まで勉強しなければ会見に出ても意味もわからなかった。

当時の日航全日空には戦前派の操縦士もいて、生きた航空史を聞けた。

その中で「米軍に雇われてソ連、中共の奥地に侵入しスパイを落下傘降下させた」秘話を聞いた。

スパイ機を飛ばした1人は当時の羽田空港長、中尾純利だった。

震える特ダネだった。

経済部、政治部を含めて記者クラブとは研鑽を積んだ猛者が集い、

会見は静かな戦場と言ってよかった。

いま新聞協会登録の記者は129社2万人。

1線に出て記事を書く記者は約5000人。

東京にある中枢の記者クラブ詰めになれるのはその10分の1ほど。

国会議員の数よりも少ない。

平成の御代、その記者クラブが閉鎖的だ、解放しろと言う声が出た。

声の出所は嘘しか書かない反日の外人記者会。

それにフリーの記者も乗って騒いだ。

彼らはクラブに入って1線の記者と切磋琢磨する気はなく、

ただ記者クラブ主催の形をとる記者会見に出るのが目的だった。

戦場に新兵訓練もしていない素人が来るまで冗談かと当時思った。

ただ朝日新聞は記者会見開放派に回った。

なぜなら朝日の記者は取材や研鑽はしない。

思いつきと浅はかな知恵で記事を書く。

「中国の旅」の本田勝一や従軍慰安婦の植村隆がいい例だ。

たまに事実を書く。

政治家のオフレコ話だ。

あとは政治家の失言待ち。

その意味でフリー記者とレベルは似ている。

今村復興省にくどくど無知な質問を繰り返したフリー記者がいた。

あれが朝日の記者だったとしても何の違和感もない。

それで朝日の尽力もあって今は外人記者とフリーの記者が記者会見に出て記者もどきを演じている。

「もんじゅ」事故の会見では彼らが騒いで関係者2人が自殺した。

東電福島事故では「次は誰が自殺するんだ」と質問が飛んだ。

記者が自殺する時代から記者が人を死に追いやる時代に変わった。

先日コロナ禍の首相会見があった。

小1時間もやって終わろうとしたらフリー記者記者が騒ぎ、

12人が立って辻元清美より意味のない質問を延々ぶつけていた。

怒らせるか、自殺させるか。

記者会見も随分と様変わりした。

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【月間成績】2020/03

株の処分でのマイナス △260,387

EA △20,245

裁量 +85,711(ラッキーパンチ)

──────────

合計 -194,921

3月は、急さげに振られてこの有様。残念。

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