「韓国経済新聞(2015年8月19日付)は、次のように伝えた。
「モルガンスタンレーは最近、作成した「グローバル為替レート戦略報告書」で、
韓国ウォンをシンガポールドル、台湾ドルとともに代表的な新興国脆弱通貨に選んだ。
報告書は中国の人民元切り下げによる危機伝搬経路を3つに分けて分析した。
(1)中国と輸出競争関係にある
(2)国家経済の原材料輸出依存度が高い
(3)輸入物価の下落により物価上昇率アップ低下圧力を受ける
韓国、シンガポール、台湾は輸出全体の20%、国内総生産(GDP)の10%以上を中国に依存し、
(1)と(3)の経路を通じて影響受けると指摘した」モルガンスタンレーは
ニューヨークに本拠地を置く五指に数えられる世界的な投資銀行である。
世界の金融市場への影響力は抜群だ。
そのモルガンが、「グローバル為替レート戦略報告書」を発表した。
中国人民元のさらなる切り下げがどの国に最も影響するかをまとめたレポートである。
その中に韓国ウォンが「リスクの高い通貨」として挙げられている。
韓国にとっては「死の宣告」を受けたような重々しい内容である。
世界の金融危機が訪れるたびに、韓国は不名誉にも名が上がるだけでなく、大きな影響を受けてきた。
今回のモルガンの「宣告」は軽く受け流せない切迫感を伴っている。
韓国、シンガポール、台湾は、輸出全体の20%、国内総生産(GDP)の10%以上中国に依存している。
韓国の場合輸出全体に占める中国中国への輸出依存度は25.5%と4分の1にも達している。
人民元安は、(1)中国と輸出競争関係にあることと、(3)輸入物価の下落により
物価上昇率低下圧力を受けると言う、2つのルートを通じて韓国経済に負の影響与えるとみられている。
前記の2点は最近、韓国経済にとって深刻な問題になっている。
中韓の輸出競争力は年々接近しているからだ。
品目によっては、すでに中国側が韓国をうわまわる競争力をを持つ品目も現れている。
詳細については、後で取り上げる。
中韓の競争力が逆転すると、人民元安の影響もあって、中国製品が韓国へ流入する可能性が高まる。
それが、輸入物価の下落によって、韓国の卸売物価を引き下げる。
物価の下落は、デフレへの道を作るのだ。
「デフレ経済」の恐ろしさは、すでに日本が経験している通りである。
「アベノミクス」によって脱却を図っている点は、説明するまでもない。
韓国も、日本の通った道に落ち込む懸念が強まるであろう。
「モルガンスタンレーのチーフ為替ストラテジストの反スレでカー氏は、
ブルームバーグ通信に「中国の為替政策変化による犠牲は、対中国輸出比率が高く、
中国と輸出競争する国」と述べた。
モルガンスタンレーはこれを根拠に韓国とシンガポール、台湾、南アフリカ、ブラジル、
タイ、チリ、コロンビア、ロシア、ペルーの10カ国を外国為替市場の脆弱国に選んだ。
ブルームバーグはこれを「不安な10カ国「trouble10」とし、
モルガンスタンレーが2013年に危機兆候国とした「脆弱5カ国」に変わると報じた」
モルガンは先に「脆弱5カ国」として次の5カ国の名を挙げていた。
「ブラジル、トルコ、南アフリカ共和国、インド、インドネシア」である。
2013年の命名以来、これらのうち4カ国の通貨は
パフォーマンスが最も悪い新興国の8通貨の中に入っている。
それだけに、モルガンの眼力も大きなものがある。
今回の「不安な10カ国」は、「脆弱5カ国」に変わる要警戒の通貨となった。
韓国としては「不安な10カ国」のトップに挙げられているだけに、
何とも言えぬ精神状態に追い込まれた。
「モルガンスタンレーは人民元切り下げとともに中国の財政拡大と通貨緩和政策で
中国輸出企業の競争力が高まり、競争関係にある韓国企業が構造的な困難を迎えると指摘した。
過去のようにウォン安が輸出増大につながり、雇用と投資を増やし、
景気回復につながる効果を期待するのは難しいと言う説明だ。
現代経済研究院もこの日、人民元が追加で5%下落すれば、
今後1年間の韓国の輸出総額は約3%減少すると推定した。
人民元切り下げで中国輸出品のグローバル価格競争力が高まれば、
中国製品と競合する機械、石油化学鉄鋼などで韓国輸出品の競争力が弱まると予想した」
中国の「人民元切り下げ、財政拡大、金融緩和」政策は、アベノミクスの「中国版」となろう。
これは単純な通貨切り下げでなく金融、財政政策を組み合わせたものであるから、
かなりの効果を持つはずである。
つまり、人民元安が相当期間にわたって続くと見るべきだろう。
中国経済は、不動産バブルと株式バブルの崩壊で大きな痛手を受けた。
ここからの脱却には、中国版「アベノミクス」の採用が十分に想像できるのだ。
中国の外貨準備高は現在、3兆5600億ドル(2015年8月末)をかな擁している。
世界一だが、その中身は対外債務で「厚化粧」されたものだ。
金融機関が1兆1000ドル、企業が3000億ドルのドル建て対外債務を負っている。
元利金を含めると約1兆7000億ドルになる。
これに半年間の輸入代金支払いで1兆ドルが必要となる。
こうなると、中国が実際に使える外貨準備高は約8000億ドル程度へとぐっと減る。
中国は、まもなく「自由変動相場制」へ移行せざるをえまい。
IMFも強くそれを希望している。
その際当然、資本自由化にも踏み切る。
こうして、中国の外貨準備高は1兆ドルを割るにちがいない。
問題は、月平均400億ドルの流出が予想される、である。
外貨の準備高がじり貧になろう。
GDP世界2位の中国経済が、ハードランニングを防ぐにはこの方法しかないのだ。
その場合、人民元相場は1ドル元が想定されている。
現在の6.4元から見ればかなりの「元安」になる。
韓国は、中国との海外競争力で相当な苦戦が予想される。
韓国経済のさらなる輸出停滞は必須である。
輸出依存度の高い韓国経済にとっては「四面楚歌」となろう。
その対応策は残念ながらないのだ。
こうなると、韓国は中国からの輸出攻勢の真っ正面に立たされる。
不運にも、中韓FTA (自由貿易協定)が近く発効する。
韓国は、それとも知らずにまんまと中韓FTAの誘いに乗ってしまった。
今さらどうにもならない。
韓国は強みを持つ工業製品でも競争力を次第に失っていくのだろう。
中国が周到に用意して韓国経済「乗っ取り」を狙っていたに違いない。
韓国は、中国による「反日同盟」の誘いにうまくのせられたのだ。
他国のことだが、韓国が一方的に「騙された」現実に驚くほかない。
「モルガンスタンレーは報告書で、韓国ウォンを「下落通貨」に分類した後、
事実上の売り戦略を勧告した。
輸出不振と成長率低下で外国資本の流出が続くと言う説明とともに、
16年4月から6月期には1ドル= 1200ウォンまでウォン安ドル高が進むと言う見方を示した。
韓国政府関係者は、「これまでウォン高基調だったが、
人民元切り下げ追加で下落する可能性が高いと言うレベルの内容であり、
韓国経済のファンダメンタルズ(基礎条件)とは関係なく、市場に及ぼす影響は大きくないだろう」
と言う反応を見せた」韓国は、輸出不振と成長率低下で外国資本の流出が続く。
モルガンはこう予測している。
2016年4から6月期には、1ドル= 1200ウォンまでウォン安ドル高が進むと見ているのだ。
1200を超えたウォン安になると、韓国の経済危機が叫ばれ始めるであろう。
その背景には、2015年9月以降と予想される米国の利上げが待ち構えている。
これが一段とドル高=ウォン安を招きかねないのだ。
ウォン安は「ウォン売り」を誘発する。
下落する通貨を抱えるよりも、早く売ることが為替投機の常道であれば一段の「ウォン安」を招く。
特に、韓国経済が構造的な脆弱性を抱えているとの認識が広まれば、「ウォン安」に拍車がかかる。
「特に、「脆弱五カ国」と言う言葉を初めて使ったモルガンスタンレーが
(今回の分析の)震源と言う点も負担だ。
(すでに)外国人資金も離脱する証拠を見せている。
7月の韓国株式市場で外国人の売越額は2兆3000億ウォン(約2400億円)だった。
債権は2兆6000億ウォン分を売った。
6月に外国人の株式、債券投資が減少( 9500億ウォン減)に転じたが、1ヵ月でその規模が5倍に増えた。
モルガンスタンレーは報告書に関し「中国の人民元切り下げによる下落通貨を分析したものであり、
韓国を特定して言及したのではない」と述べた」
韓国は、2015年2月まで有効であった日韓通貨協定の延期を日本に申し出なかった。
「ウォン売り」と言う緊急事態の発生でも、日韓通貨協定があれば、
投機筋も「ウォン売り」に警戒しながら臨んでくるはずだった。
日韓通貨協定が期限切れとなった韓国側の言い分は、
韓国が3700億ドルの外貨準備を擁しているから、十分と言えないまでも「備え」はある。
こういう奢った態度であったのだ。
当時の韓国は、日本が韓国に対して「歴史認識」で負い目を抱えている以上、
日本側から「日韓通貨協定延長」を申し出るべきだ、と言う高飛車な態度であった。
2015年2月を最後に、100億ドル残っていた日韓通貨協定は自然消滅した。
先が読めなかったのだ。
これは韓国社会に共通している。
いくら日本と政治的に対立しても、
韓国通貨の「命綱」である日韓通貨協定を自ら頭を下げることを嫌い反故にした。
日本を袖にして中国へにじるよる。
これも見事に大失敗である。
あまりにも感情論が先立ち、理性的な物事の判断が極めて不得手な民族である。
これは、永遠に変わらないのだろう。