韓国造船業の凋落の話は、Webでちょくちょく見かけますが、分かりやすい話がありました。
数字を並べてもなかなかピンと来ません。
自動車などは裾野の広い産業です。関連する下請けの会社群がたくさんありますから。
その会社群に、町場の銀行が融資を渋りだしたらどうなるでしょう。
血液の流れが滞ることになりますから、ボディーブローのように効いてきます。
実際の影響度合いを知る為にこちらが良いでしょう。↓
直リンクはしていません。
参照先:http://ameblo.jp/sincerelee/entry-12153223992.html
造船業の総崩れ
2016-04-28 15:14:00NEW !
テーマ:財閥栄え、庶民滅ぶ
最近、経済関連ニュースで「造船業」がよく話題になります。
一時は韓国の「マンセー」道具だった造船業が、赤字および受注減に苦しんでいるのは、
日本側のニュースでも知られていると思います。
最近は、現代(重工業)と韓進が、露骨に「もうダメ」「(大きな企業2つが
同時に問題になって)片方しか救うことが出来ない」と言われています。
どちらも、韓国では屈指の大企業です。特に現代重工業は、
韓国の経済発展の歴史にもっとも影響力を及ぼした会社の一つでした。
造船業の危機について、本エントリーでは2つの側面を指摘したいと思います。
その1は、該当地域そのものの「破綻」です。
もっとも代表的である「ギョジェ市」を取り上げた記事を一つ紹介しましょう。
「IMF期(IMF管理下の時期)にもお金の心配はなかった」と言われた都市、
それが人口約25万人のギョジェ(巨濟)市です。
ギョジェ市は韓国の大手造船メーカーが集まっているところであり、
一時は韓国の輸出額の10%以上を担当していました。
しかし、いまは造船・海運・重工業などの総崩れにより、都市そのものが危機となり、記事では
「来年には幽霊都市(ゴーストタウン)になっているのではないか」と言われています。
http://media.daum.net/economic/others/newsview?newsid=20160423171341099&RIGHT_COMM=R7
これは他の「東南圏ベルト」と呼ばれる地域でも同じで、
ギョジェの次に致命的なダメージを食らっているという蔚山(ウルサン)をはじめ、
大邱(デグ)や釜山(ブサン)など、慶尚道、特に慶尚南道(朝鮮半島の東南)の都市が
その影響圏となります。
別ソースですが、「造船業が集まっている東南圏経済ベルト、ふらふら」という記事を見ると、
<24日、韓国銀行の資料を分析した結果、釜山・大邱・蔚山・慶尚北道・慶尚南道地域に
市中銀行、地方銀行、特殊銀行(韓国銀行、農業中央会など)が行ったウォン貨の貸出残高は、
2月末基準で総284兆4894億ウォンに達した。
これは、5年前の2011年2月179兆2788億ウォンに比べて58.9%増の規模だ>
これは全国平均の2倍近い数値だそうです。
そして、各銀行側からそろそろ追加貸出を控え、回収に乗り出す動きを見せている、
というコワーイ記事です。
http://media.daum.net/economic/finance/newsview?newsid=20160425045406788
さて、この「銀行側が貸出を控えるようになった」の影響が、その2です。
なんの影響なのかというと、まずは一般銀行が貸出を控えるようになります。
<大宇造船海洋など造船会社の構造調整を信号弾に、東南圏経済が低迷に沈み、
銀行圏が景気動向をチェックしながら増やした融資を減らしている。
KEBハナ銀行は、朝鮮、海運、鉄鋼、建設、石油化学などのへ融資を減らしている。
KEBハナ銀行は、今年第1四半期、これらの業種への3兆ウォンの与信から、
造船業種だけで1兆5000億ウォンを減らした>
→大企業がお金を払えなくなると、真っ先に下請けが困ります。
下請けが困ると、彼らを相手にした自営業者(例えば、飲食店など)が影響を受けます。
<市中銀行の関係者は、「現代重工業不振の影響で下請け業者と自営業者が枯死寸前」としながら、
「現代重工業のパートナー64ヶ所がすでに廃業し、2年前にはプレミアム価格で取引されていた
ワンルーム物件などがさっぱり目につかなくなった。
蔚山(うるさん)ではワンルームを売りに出す人が急増している」と憂慮した>
→ローカルな影響力しか持っていない地方銀行は、さらに真剣にならないといけません。
<地域景気に敏感になるしかない地方銀行も、年初から大企業と中小企業への融資を締めつけ始めた
・・ある地方銀行の関係者は、「前には50億ウォン規模に融資していた中小企業に対して、
最近では20億ウォン未満しか行えない。
保証書ローン、担保がある商店街のローンを中心に調整した」と明らかにした>
→造船業以外の会社にも、この影響は及びます。
→そして、結局は家計負債にも響きます。
<大企業の協力会社が相次いで倒産すると、地域景気も衝撃を受けるという判断に基づいて、
銀行は、家計貸し出し審査も強化した。特にマンション集団住宅ローンの場合、
東南圏は、事実上、銀行券の融資を受けられなくなり、住宅建設会社が
セマウル金庫や信用協同組合などノンバンクに足を向けているという>
「国の銀行」である産業銀行も例外ではありません。
朝鮮日報はその問題において、すでに破綻状態にある「大宇(デウ)造船海洋」をあげています。
<業界関係者は、「負債比率4000%の大宇造船海洋は、
産業銀行という心強い「バック(後ろ盾)」を信じて、無理な低価格の入札競争を触発、
業界全体の収益性を落とした」と言いました。
大宇造船海洋は、2000年に出資転換形式で1兆977億ウォンを支援を受け、
2010年以来、産業銀行の管理下で負債比率4000%を超え、昨年10月、
単一の企業では史上最大規模の5兆2000億ウォンの支援決定が下された状態です>
http://media.daum.net/economic/others/newsview?newsid=20160428031112356
すでに銀行管理下でありながら何でこんなことを?というと、会社の経営陣が
「在任期間中に業績を残そうとした」が理由だそうです。
ついには、支援するために作られた産業銀行が支援を受けなければならなくなり、
韓国銀行が産業銀行への支援について考えているというアリサマです。
過去に例がないため、やっていいのかどうかよくわからない状況のようです。
http://media.daum.net/economic/others/newsview?newsid=20160428100314606
ご覧のとおり、造船業の不況(というか事実上の総崩れ)は、
自治体、中小企業、家計負債、銀行の自己資本問題にまで繋がり、複雑でありながらも
「ああ、もうダメなんだな(遠い目)」というわかりやすい結論に向かっているようです。
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