──────────「金融危機再燃」最大の不安材料は家計負債123兆円
韓国経済は、周期的に危機に直面してきた。
1997年のアジア通貨危機、2008年の韓国通貨危機である。
いずれも韓国ウォン相場の大幅下落が引き金である。
今密かに懸念され始めたのは家計負債の増加がもたらす「第3の金融危機」である。
あろうことか、韓国銀行(中央銀行)は2015年6月1日、
「システミック、リスク、サーベイ」の結果を公表したのだ。
要するに、「金融危機リスクのサーベイ」と言う物騒な内容である。
日本では考えられないことである。
本来、極めて微妙な金融問題を公にする前に、そうした金融危機を招かないように、
中央銀行は周到な準備をしなければならない。
それが、あっけらかんとして金融市場関係者の危機意識を聞き取り調査して公表した。
なんとも解せない態度である。
韓国経済新聞が社説(2015年6月1日付)、「経済は相対的に難局だが誰も関心を向けず」の
タイトルで嘆くほどである。
まさに、当事者意識の希薄さを示している。
日本問題になると大騒ぎする韓国だが、ことを経済問題になると沈黙しているのだ。
「韓国経済新聞」社説では、次のように指摘している。
「今年に入って上昇傾向がついていた製造業業況BSI(注:企業への景況聞き取り調査)まで4月には75と下落に転じた。
今年4から6月期から景気が回復すると言う政府の予想とは正反対の結果が相次いで出ている。
1部では景気が1から3月期に短期的なピークを迎え、本格的な下落傾向に
入ったと言う暗鬱な分析まで出ている。
政府は今年の成長率予測値を0.5ポイントほど下方修正すると言う予想が出てくるのも、
これとは無関係ではない。
6月までに下半期の経済政策方向を発表し
3.8%の今年の成長率予測値を3.3%程度に引き下げると言うことだ」
「韓国景気はこのように深刻だが、誰も関心を向けていないようだ。
与野党は先週、改革案と呼べないほどの公務員年金改革を含む67法案を通過させた。
しかし、政府が要請した経済活性化法は1つも含まれなかった。
クラウドファンディング法、サービス産業発展基本法、観光振興法、医療法など
経済活性化法案は全て脱落している。
野党はそうであるとしても、与党もこれらの法に関心がない」
あえて解説をつけるまでもない。
韓国国会は与野党の対立が激しいことで有名である。
与党は、野党の反対を見越して前記のような経済関連法案の審議もしない
「事なかれ主義」になっているのだろう。
韓国の中央銀行が「金融危機」に関する関係者の意識調査を始めると言う動きとは、
全くそぐわない「能天気」振りを見せている。
国会と中央銀行の間に危機意識の共有がないのだ。
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