「巷間で飛び交う「2017年危機説」がもっと早く実現実化するかもしれないと言う声まで聞こえてくる。
2017年危機説は米国の金利引き下げ、中国の経済停滞、円安の加速が、
家計負債の累積などの要因が景気サイクル上の短期的な底になる2017年頃に
同時多発的に現れて韓国経済に大きな危機が訪れる恐れがあると言う仮定だ。
ところが最近、主力産業がともに振るわない姿を見せると、
その危機がさらに前倒しになるかもしれないと言う話が出ているのだ」
これまで韓国経済は、2018年以降でなければ景気回復がおぼつかない。
こういう見方が多数説であった。
この記事では「2017年危機説」どころか、「2016年に危機が繰り上がりそうだ」と言う
経済危機が現実の問題になってきた。
その理由として次の点が上がっている。
(1)米国の金利引き上げ
(2)中国の経済停滞
(3)円安の加速化
(4)家計負債の累積前期4点のうち、円安の過疎化は無いであろう。
日本にとっても「円安」は限度に来ている。
購買力平価で見た円相場は1ドル= 100円程度である。
長期的な円相場は、この購買力平価に収束する傾向があるので、今後さらに円安が進む可能性は小さい。
現に、日銀総裁は1ドル125円を超えた段階で「口先介入」して円安にブレーキをかけた。
米国の利上げは差し迫っている。
2015年9月以降には実施されると言う観測が強くなっている。
その場合、韓国からドル資金が流出するか否かである。
ドル流出が顕著になれば、韓国も利上げ局面になる。
現在の史上最低の1.5%が引き上げられる。
韓国経済の実態が悪化している中での利上げは、自殺行為になる。
だが、ドル流出を不正で外貨準備高を守ると言う「至上課題」が出てくれば、やむを得ない措置だ。
ここで悔やまれるのは、日韓通貨融通措置の廃止である。
「日本憎し」が嵩じて、韓国はせっかく結んでいた日韓通貨協定を延長しなかった。
日韓通貨交換協定は、日本と韓国が金融危機などの際にドルを相互に流通する協定である。
2015年2月23日、韓国からの協定延長の申し出がなかったので自動的に打ち切られた。
日韓通貨協定は2001年に始まった。
欧州債務問題の深刻化に対応して、日本から韓国への融通枠は2011年に700億ドルまで拡大した。
2012年の李明博大統領の竹島訪問後は縮小し、直近では融通枠が100億ドルとなっていた。
これも全て消えたのである。
2015年6月まで1ドル= 1100ウォン前後で推移していたドル= ウォン相場は、
2015年9月15日には1ドル= 1186ウォンである。
ドル高を反映したウォン安である。
米国の利上げに踏み切れば、ドル高は必至だからウォン安が進む。
その際、日韓通貨協定が存在すれば、それだけ韓国の外貨準備高に厚みが加わる。
韓国が、日本に対して妙な意地を張って見せたものの、
ドル高=ウォン安が3年ぶりの水準になれば、「あー、もったいないことをした」となる。
すでに、韓国側の嘆き節が聞こえているのだ。
韓国が、米国の利上げによって利上げを迫られれば、韓国のマクロ経済に打撃を与える事は言うまでもない。
企業の設備投資が控えられるし、生産活動が抑制される。
こうした問題のほかに、これまでの利下げによって膨らんだ家計債務が一転、
返済危機を迎える点も重要である。
日本の家計では、かつての「サラ金問題」が解決したので、多重債務者問題は起こらなくなっている。
韓国では、借金して生活することに「アレルギー」が少ない。
過去、クレジットカードの返済に窮した個人に「徳政令」を出して救済したケースが複数回ある。
債務返済がルーズな国民なのだ。
それにもかかわらず、また不動産担保の借金基準を引き下げ、家計負債を増やす失敗をした。
韓銀(中央銀行)総裁が、講演会で「借入金を増やさないで」と呼びかけるほど、
韓国国民は「借金漬け」でもある。
この辺にも、日本人との気質の違いが浮かび上がる。
中国経済の停滞は、もうもはや避けようがない。
不動産バブルの崩壊と株式バブルの崩壊。
まさにバブル崩壊の「二重奏」である。
「親中派」の韓国政府も、今度ばかりは度肝を冷やしたに違いない。
よりによって、中国へ身を寄せた不運を嘆いているであろう。
輸出高の25.5%は中国向けである。
「中国が転べば、韓国も転ぶ」と言う、一心同体の経済になった結果である。
先を読む目がなかったのだ。
身から出た錆と言うほかない。
「韓国経済新聞」(2015年9月14日付)社説では、「今や3%台に減速の警告まで出てきた中国経済」と題して
次のように論じている。
「中国経済への疑いがいっそう深くなっている。
今年は、経済成長率3%台墜落の可能性の警告が出ている。
中国は統計操作を通じて、隠そうともしても隠し切れない位になっているようだ。
電力もあまり使わず流量が減って、輸出まで縮小しているのに、
中国政府は「大丈夫だ」と言い張っても信じる人はいない。
その上、経済行動に対する言論統制の指針まで出されたと言う。
李克強首相が原則論を否定すればするほど、さらに疑わしい中国経済だ。
信頼を失った経済は百薬も無効だ。
中国がインフルエンザにかかれば肺炎を心配する韓国経済はどうするだろうか」
韓国は、中国経済の過大依存が招いた「後悔の念」を率直に表した社説である。
まさに、私が言い続けてきたように、中国は「泥舟経済」である。
韓国は、その実態を見誤っていたとしか思えないのだ。
日本に対して、韓国が高飛車な態度になった背景には、中国への過大評価があったであろう。
重ねて言えば、韓国が、日韓通貨協定の延長を申し出なかった理由には、いざとなれば中国が助けてくれる。
そういう甘えがあったことは疑いない。
事実、韓国政府がそういう発言を繰り返した。
今になってみれば、とんだミスをしたと「臍を噛む」思いに思いに違いない。
あまりにも、中国べったりの姿勢であった。
朴大統領が招いた判断ミスの罪は実に重い。
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