「韓国経済新聞」(2015年8月18日付)は、社説で「中国に追い抜かれた輸出競争力、
韓国製造業の大危機」と論じている。
「韓国経済新聞が韓国経済研究院と共同で8大主力産業に対し、
海外市場での比較優位を見せる貿易特化指数を算出し、2009年以降の韓中輸出競争力を分析した結果、
造船鉄鋼に続き携帯電話も中国に追い抜かれたと言う。
自動車、ディスプレイ、石油化学、家電の4部門もまだ韓国がリードしているが、
中国は猛追撃する反面、韓国は下降線を描き、もうすぐ差はなくなると言う分析だ。
相当期間にわたり優位を守れる産業は半導体しかないのが現実だ」
次に述べる貿易特化指数を算出し、2009年以降の韓中輸出競争力を分析した結果、
韓国は中国に対して比較優位を持つ分野が減っているのだ。
貿易特化指数とは、分母が輸出入額で分子が純輸出額(輸出−輸入)で算出するもの。
その値は− 1から+1までとなる。
無論、+1に近い値が「比較優位の高い分野と認定される。
この値の高い韓国製品が少なくなっている。
主力8分野の中で、圧倒的に強い分野は、わずかに半導体だけだと言う。
造船、鉄鋼、携帯電話も中国に追い抜かれた。
自動車、ディスプレイ、石油化学、家電の4部門も、もうすぐ中韓の差はなくなると言う分析である。
中韓の総合的な輸出競争力の差は、1から2年程度とみられてきた。
改めて輸出特化指数を眺めると、「なるほど」と言う実感が深まる。
このように、中国が潜在的に強い競争力相手に育つ予想を立てながら、
何らかの対策も打たずにきたのだ。
それだけではない。
それがわかっていながら、中国へ政治的ににじり寄っていく。
信じがたい行動である。
韓国は、経済的にライバルとなる中国と、同じ経済圏では勝負にならない。
そういうことを考慮せずにいたのである。
最後は、中国が助けてくれる。
そう思っていたとしたら認識が甘すぎる。
中国に技術を盗まれ徹底的に食い荒らされている。
それだけに、中国への警戒心をもっと持つべきであった。
「韓国が強い8つの代表産業がこの程度なら、他の分野は言うまでもない。
中国製造業の急成長はあちこちで確認されている。
今年5月に韓国貿易協会などが国連統計(2013年基準)を引用して発表した資料によると、
世界市場シェア1位の商品数は中国が1539品目で最も多かった。
これは2から4位の国の品目(1499品目)を合わせたものより多く、韓国(65品目)の23倍以上に上る。
さらにその中国は今年、「中国製造2025」と言うグランドブランを通じて、
2025年まで自国の製造業製造業強国のドイツ、日本レベルに高め、
2049年には世界一になると言う意欲的な目標を提示した」世界市場シェア1位の商品数は、
中国は1539品目で世界一である。
韓国は64品目に過ぎず、中韓の差は23倍以上と広がっている。
ただ、この数字の差を鵜呑みにはできない。
中国の輸出の約半分は外資系産業である。
特に中国といっても、中国の民族起業か外資系企業かの区別が必要である。
現在外資系企業がそれぞれ出身国へ「帰還」する動きが顕著である。
特に、米国企業の帰還が話題に上っている。
中国の人件費上昇と労働力の質的な面での低下によって、
母国への帰還によって総合的なコスト切り下げが可能になったからだ。
エネルギーコストの低下が、製造業の競争力を引き上げている。
2017年頃には、米国系企業は米国内での生産コストが中国と遜色のないところまで
低下できるめどが立っている。
韓国企業も、米国型企業の生産性向上の取り組みを学ぶならば、
一概に「中国有利、韓国不利」とも言えないはずである。
今のところ、韓国国内ではそうした動きは見られない。
ただ、韓国国内の労働慣行見直しが始まっている。
年功賃金のピークで合意ができたのだ。
さらに、世界最強の労組が生産性向上に協力するかどうかが注目点である。
韓国産業の「リニューアル」には、制度の見直しが不可欠となっている。
ただ、政治では与野党の対立が激しくて、妥協案を得るには相当な「時間コスト」を必要としている。
「妥協」を知らない韓国政治の弱点が足かせになろう。
「韓国製造業の大危機。
今のような低い労働生産性、規制行政では前が見えない。
製造業が強くなってこそ良い職場が生まれ、所得の拡大が可能だ。
中国は海外M&A (企業の合併、買収)拡大などでさらに勢いつくが、韓国は危機不感症だ。
日本には追いつけず、中国にはますます劣勢になっている。
このまま沈没すると言うことなのか」ここでは、韓国製造業の危機感を大いに訴えている。
私もその通りだと思う。
韓国では、日韓併合時代の実績を全否定している。
制度面では、ほとんど日本の戦後の法制度を導入してきた。
財閥企業は、敗戦とともに日本企業が残してきた設備を引き継いだケースが多い。
韓国では、こういった事実を頑として認めようとしないのだ。
すべて、韓国企業が1から独力で初めて仕上げたと言う美談にしている。
日本企業が最近「コーポレートガバナンス」の導入によって脱皮しようとしている一方で、
韓国企業がこれについての議論もなされていない。
このままだと韓国企業はイノベーション能力不足から、「野垂れ死に」と言う最悪事態も予想される。
韓国社会の「反日ムード」が、日本企業に学ぶと言うインセンティブさえ奪っているんだ。
ロッテをめぐる議論がそれを表している。
韓国ロッテが、株式所有構造から見て、日本ロッテの支配下にある。
ただ、それだけの理由で韓国メディアは「ロッテ糾弾」の報道を繰り返している。
韓国ロッテのあげた利益が、日本へ「持ち去られる」と言う論法である。
グローバル経営時代の企業経営についての認識に欠けているのだ。
「韓国は危機不感症だ。
日本には追いつけず、中国にはますます劣勢になっている。
このまま沈没すると言うことなのか」。
この社説はこう結んでいる。
感情的社会が辿る末路とも言えるだろう。
「反日」によって日本を全否定せず、歴史的なプラスとマイナスの冷静な分析があってしかるべきである。
その冷静さのない韓国経済が、今後はどうなるか。
日本として関心はあるが、どうにもならないのも事実だ。
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