「中央日報」(2015年8月26日付)は次のように伝えた。
「韓国の負債は6月末で1130兆5000億ウォン (約114兆700億円)と、史上最大を更新した。
韓国銀行が8月25日に発表した「2015年4から6月期中の家計信用(暫定)」によると、
国民の家計負債を示す家計信用は6月末現在で1130兆5000億ウォンの残額を記録した。
これは前年同期より94兆6000億音(9.1%)増加した水準だ。
今年3月末と比較しても32兆2000億ウォン(2.9%)増加した。
前期比増加分は、韓銀が家計信用の統計を取り始めた2002年10から12月期以降、
過去最大となる」。
韓国の家計債務は、2015年6月末で約114兆700億円にも達し史上最大を更新した。
これは、韓国の政策金利が年率1.5%と過去最低水準にまで引き下げられている結果だ。
個人が借りやすい金融環境になっていることの反映である。
四半期別では、2002年10から12月期以降、過去最大になると言う。
金利が過去最低であるから、個人の借り入れ残高も過去最高になっている。
一見、当たり前の話に聞こえるが、実態はそんなに簡単なものではない。
世界の金融危機が本格化して、韓国政府がウォン相場維持のため利上げに踏み切れば、
個人債務はたちまち返済不能に陥る。
過去にそうした事自体があるだけに、韓国の金融当局は事前に身構えるのであろう。
問題は、個人債務が消費に使われている点である。
健全な消費は借入金でなく、所得増加によって賄われるべきものである。
それが韓国では、借入金を消費に回すと言う「異常」行動に出ているのだ。
「ハンドツーマウス」(手から口へ)と言う「たけのこ生活」になっている。
日本と比べればここが、韓国社会の「異常現象」という点である。
「イジョヨル韓銀総裁は最近、家計負債の急増でマクロ経済リスクが
拡大する可能性があるとの懸念を表明したばかりだ。
イ総裁は今月20日、「政策金利の水準が下がって家計負債の増加が拡大した。
これに伴って金融システムリスクだけでなく商品余力の弱化などマクロ経済的なリスクも高まっている」
として注意をしている旨を明らかにした」個人債務の増加が、なぜ金融システムリスクに関わるのか。
個人の借入金を増やしても、所得増加の裏付けがなければ、返済期になって立ち往生する。
金融機関にとっては不良債権の発生になる。
当然、金融機関経営に多大な影響与える。
金融機関は不良債権の圧迫によって新規融資が困難になる。
それは、韓国経済の資金循環がうまく回らない事態を招くのだ。
韓国経済はこうした金融システムの弱体化と、マクロ全体の生産性向上に障害をもたらす。
以上の関連は、次のような構図となって表せる。
(1)個人による安易な借り入れと返済不能→ (2)不良債権発生→ (3)新規融資の停滞→
(4)マクロ経済の停滞=不況である。
個人債務の返済不能が、「蟻の一穴」となって韓国経済と言う堤防が崩れる話になって拡大していくのである。
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