「留学する韓国人が異様に多い」とは言え、みんなが行くわけではない。
兵役2年、留学2年としても、「30歳を過ぎた大卒男子新入社員」とは考えられない。
女子は兵役がないから全員が2年以上の留学でもしない限り、「平均25.6歳」とはならない。
なぜ「大卒新入社員の平均年齢は28歳」になるのか。
1つには、休学する学生が多いことだ。
「親の仕送りなし」、すなわち「アルバイトをしながら…」の覚悟で入学したものの、
どうにも学費を支払えない現実にぶち当たり、1年間休学してアルバイトに専念するのだ。
それを繰り返す学生がいる。
「大学休学者の44%が「授業料準備できず」」(朝鮮日報11.3.13)なのだ。
病気になることもある。
アルバイト先が倒産することもある。
銀行と信用金庫の中間的存在にあたる「貯蓄銀行」が学生向けに無担保融資をしてくれる。
が、その金利は12年上半期の場合、年24%。
さらに行き詰まると、貸金業者だ。
利率は4割近い。
「大学生の信用不良者は、10年には25,366人を数え、4年で38倍に増えた。
大学生の延滞率(14.9%)は、貸金業者全体の延滞率(7.2%)の2倍を超える」(朝鮮日報11.8.5)
大学生の1%程度が、在学中に「信用不良者」になっていると言うのだ。
私が体験的にするところで言うと、韓国人は金を借りる際、返済スキームを極めて楽観的に考える。
返済が行き詰まった場合の言い訳は、何時間でも濃密に話す。
「借金でよければ牛一頭を食ってしまう」とは朝鮮半島の諺だが、
10年あたりから「韓国経済の時限爆弾」として再浮上した家計負債激増の背後には、
このことわざが示すような心理がある。
「借金でよければ…」の手軽な手法が、クレジットカードによる支払いだ。
「与信金融協会の公表資料によると、民間消費支出に占めるクレジットカード利用率は
12年1から3月期に63.3%を記録し、初めて60%を上回った」(聯合ニュース12.7.1)
これはまだ良いとして、次の日は、私には「崩韓への序曲」に思える。
「金融監督院の発表では、専業カード会社の延滞率(総債権基準)は 12年3月末基準で2.09%。
前年末は1.91%)」(聯合ニュース12.6.10)03年に表面化した金融危機「カード大乱」も、
実はジリジリ上がってきた延滞率が、ある日突然、跳ね上がって発生したのだ。
本筋に戻ろう。
「大卒新入社員の平均年齢が28歳」になる最大の要因は、兵役を終えて大学を卒業しても、
就職先がないことだ。
2000年代に入ってから毎年、大学卒業者のうち、就職浪人の悲哀を味わうことなく就職できたのは、
ほぼ半数だった。
「サムスン電子、現代自動車を先頭に、世界各地で日本勢を撃破する韓国経済」といった日経調の報道記事に流された日本人には信じられないことに違いない。
しかし、事実は事実だ。
「10年51.9% 11年54.5%、12年56.2%」
これが、韓国の公式統計が記す一般大学の就職率(統計上「卒業者就業率」)だ。
10年卒と言う場合は、09年8月と10年2月卒業者の合算値だ。
工科、教育などの特殊大学、大学院、さらに専門大学を含めると
「10年55.0% 11年58.6%、12年59.5%」になる。
ここで言う大学卒業者就職率の分母は、卒業者数から、他の教育機関への進学者、
卒業と同時に兵役についたもの、外国人などを除いた数字だ。
国内の大学院への進学者は、2000年代後半からは4から50,000人台で推移している。
さらに海外の大学院への留学者がいる。
専門大学を除けば、大学生の1割以上が大学院に進むのだろう。
なんと勉強好きな国民なのかと誤解してはいけない。
私の知る限りでは、文系の国内大学院進学者は「適当な就職先がなかったから」
と言う理由がほとんどだ。
実態は「家庭が経済的に恵まれている就職浪人」だ。
大学卒業者就職率の分子は、10年分からは「職場健康保険の資格取得者」になった。
職場健保の資格があれば、正社員か、非正規雇用化は問わない数字だ。
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