韓国の官界、大手企業は、大学の2期制に合わせて、春と秋に新人を公募する。
それ以外にも不定期の特別採用がある。
特別採用には、大学は出たものの目指すべき就職口にありつけず
非正規社員やアルバイトをしているもの、転職を目指すもの、
あるいはニートが大挙して押し掛ける。
少し古い時代になるが、中央日報(04.9.30)が五級技術職公務員特別採用試験について
報じた内容は次のようなものだ。
「19の中央行政機関にある30の関連機関53人の採用枠に1531人がエントリーした」
「願書を提出した人のうち、71.4%を占める1093人が、博士学位の所持者だった」
「他にも各種技術士385人、建築士22人、航空交通管制士30人、弁理士1人などが
願書を提出しており、博士学位と技術士資格証明を共に取得している志願者が50人いた」
「志願者の年齢は20代52人、30代1142人、40代334人、50代3人で、
女性は196人と全体の12.8%を占めた」五級職とは、日本で言えば課長補佐クラス。
まさに「学歴過剰大国」だ。
朝鮮日報(06.8.4)にも、こんな記事があった。
「中央選挙管理9級公務員の釜山、蔚山、慶尚南道、済州地域の公募採用試験には、
7人の定員に13,984人が集まった」9級職とは、公務員の最低職位で、古い言葉で言えば、
「小使いさん」の待遇だ。
90年代中盤から、「学歴過剰大国」ではこんな時代が展開されてきた。
高卒資格の公務員職に、大卒、大学院卒が押し掛けるのは、もはや常識。
大学を出て留学経験もあるのに正規職では入社できないままアルバイトを転々とし、
ついには諦め型挫折人生を決め込む中年男性は珍しくない。
振り返れば、李王朝は官職のポスト数が絶対的に少なく、
科挙に合格しても官職につけないことが当たり前だった。
彼らの多くは、所属する派閥の中で猟官運動を展開しながら、次第に疲れ果てる。
結局は、食べるには困らないだけの土地がある田舎に引きこもり、
官職につけないまま生涯を終えるのだ。
「両班は、溺れても犬かきはしない」と言う諺がある。
この国の大卒者は、毎日がカップラーメンだけの生活でも、奴婢がするような仕事にはつかない。
しかし、かつての両班のように田舎に帰れば優雅に暮らせる人間など、今やほとんどいない。
それで彼らは、2号瓶が100ウオンほどの安焼酎を煽って、「我が学歴に見合う職」を求め、
韓国語で言えば「消日」するのだ。
若いエネルギーをまともな形で活用できない国家、社会のシステムとは、
どこかに根本的欠陥があるのだろう。
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