私債は、朝鮮半島伝来の金融手法だ。
新羅王朝が、飢饉の時に庶民に雑穀を貸し与え、次の収穫の際に利子分を上乗せさせて
返却させたあたりに起源があるのだろう。
李王朝が消滅し、貨幣経済が行き渡ると、それは高利資金の私的貸借となり、
いつしか資金の出し手(金主」と借り手を仲介する専門業者が現れ、闇の、つ
まり脱税を前提とした金融手法として広く定着したのだ。
1980年に発足した全斗煥政権は、私債をめぐる大型スキャンダルに幾度も見舞われた。
同政権は私債業者を取り締まる一方で、「信用金庫を設立する場合は、資金の出所を一切問わない」と呼びかけた。
呼びかけの対象は国民ではない。
私債で膨大な資金をため込んだ私債長者や、実際の仲介で財を成した大物の私債業者だ。
「私債の歳の陽性化」と呼ばれたそちらが、泣く子も黙る軍事政権をしても
「資金の出所を一切問わない」と言う法治国家にあるまじき条件をつけなければならないほど、
私債とは深い闇の中の存在だったのだ。
当時と比べたら、実際の存在感は随分と落ちた。
信用金庫、あるいは貯蓄銀行(銀行法に基づかない金融機関であり、
無理して位置づければ日本の第二地銀)の出資金に流れた部分がかなりある。
さらに、貸金業として正式な税務登録をする業者が増えたためだ。
だから今日、私債業者と言えば、貸金業の登録もしてない「ヤミ金」業者だけを指す。
ただし、「ヤミ金」業者が扱う資金だけが私債と思ったら大間違いだ。
貸金業者が看板の裏でしている事は「ヤミ金」だ。
裏の方が大きいかもしれない。
貯蓄銀行が私債部門に変則(不正)融資していることも公然の秘密だ。
しかし、私債の出し手として大きな比重を持つのは、やはり住宅部門だ。
では私債業者はどうやって収益を上げるのだろうか。
韓国は70年代後半の「漢江の奇跡」と呼ばれた経済基盤の拡張期から今日まで、
正規の金融機関が慢性的な資金不足状態にある。
だから、私債が巨大化したのか、私債があるから正規の金融機関が資金不足になるのか。
どちらにせよ、正規の金融機関の低利資金は輸出比率が高い企業へ優先的に貸し出される。
だからこそ財閥は輸出実績を上げるため、海外で安値販売するのだ。
そうした中で韓国の企業には「借金であれ、ともかく現金を確保しておくことが大切だ」
と言う発想が根強い。
銀行の融資手続きを待っていられない企業が求める短期の資金(韓国語では「急銭」と言う
「担保不足で銀行から借りられない企業へのつなぎ資金、零細企業の運転資金、
そもそも銀行から相手にしてもらえないやばい業界の設備資金…、それが貸金業者、
あるいは私債業者のお得意様だ。
利率はそれぞれ違う。
業者によっても違う。
零細商人や、個人も私債を借りる。
多くの場合は「信用不良者」になっていて、町の信用組合(セマウル金庫)からも借りられない人々だ。
スーパーやコンビニの台頭で、在来型の市場には、不景気風が吹きまくっている。
特に会議店舗や屋台で営業する零細商人たちは厳しい。
彼らを相手にする私債は年利に換算したら200%も珍しくない。
利子制限法など、裏道に入ったら有名無実だ。
企業の倒産、個人破産の申し立て、あるいは夜逃げといった貸し倒れを見なくてはならないから、
超高金利になるわけだ。
弱者ほどお得意様であること、そして脱税資金であることこそ、実際の本質だ。
そうした私債を、「先進国」を自称しつつ、一向に絶滅できない国が韓国なのだ。
北朝鮮では個人間の金銭取引そのものが違法だそうだが、
実際には業者が力を持っているとの報道がある(朝鮮日報05.1 1.25)。
やはり同じ民族だ。
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