2019年7月4日、日本政府は半導体製造に不可欠な3品目の対韓輸出管理体制を強化する方針を発表した。
これがどのような影響をもたらすのか。
新聞各紙の社説ははっきり分かれた。
産経新聞 対韓輸出の厳格化 不当を許さぬ国家の意思だ
日経新聞 元徴用工めぐる対抗措置の応酬を自制せよ
朝日新聞 対韓輸出規制「報復」を即時撤回せよ
産経新聞はこの問題を早くから指摘ており、今回の措置を要望する自民党などの声を報道してきた。
今回も産経新聞のスクープだろう。
対象の素材品目も正確に書かれている。
規制強化の方法についても、今回の措置が
①フッ化水素など規制3品目の韓国向け輸出について7月4日から
包括輸出許可制度から個別に輸出許可申請、輸出審査へ変更、
②先端材料等の5つについて外為法の優遇制度「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正
───と詳しく書かれていた。
一方で日経新聞は経済重視の立場から、いわゆる徴用工問題に対抗する手段として
通商関係を使うのはまずいとした。
朝日新聞も同様の立場だ。
世界では「やれることをやる」のがのは当たり前だが、日本はこれまでこうした措置はとってこなかった。
それが日本の国益になっていればよかったが、必ずしもそうとは言えない。
いざと言うときには、日本もやると思わせた方が国益になるはずだし、それが国際交渉のリアルな現場と言うものだ。
朝日新聞は日韓関係の影響を心配しているが、ここまで拗れさせたのはむしろ韓国側だ。
この期に及んで「日韓両政府は頭を冷やす時だ」など、日韓両政府の責任にするのはあまりにも無責任である。
今回の措置について、外為法を使うのは想定内だが、ものを経済産業省、金を財務省が所管している。
先日のように筆者は、物より金の方が韓国への打撃が大きく、
国内関係者への誤爆が少ないと考えているが、今回、日本政府はモノから韓国側への制裁を出してきた。
という事は、日本政府はまたカネのカードを温存していると言うわけだ。
モノの制裁と言っても輸出禁止ではなく手続きの変更である。
だから制裁強化の余地はまだ残っている。
つまり、モノとカネのどちらもカードがある状態だ。
韓国はWTOに提訴するなどの対抗措置に出ると言うが、日本政府としては想定内だろう。
今回の措置は貿易枠組みの変更ではなく、その範囲内で各国政府に委ねられたものだ。
提訴したら時間もかかるので韓国には不利である。
日本も韓国に、いわゆる徴用工問題、レーダー照射事件などでやられてようやく逞しくなり、やっと「普通の国」の行動が取れるようになった。
皮肉を込めて、韓国に感謝しなければいけないようだ。
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