数字で説明しない財政破綻、消費増税論者日本の国の財政状況が戦前に似ていると言う議論がある。
筆者は2019年5月26日に放送された、BS朝日「激論!クロスファイア」において、
原真人朝日新聞編集記者編集委員と討論した。
そこで原は財政破綻の可能性を視聴した。
理由として原が番組で使った資料は、債務残高対国内総生産(GDP)の戦前と戦後の推移だった。
資料中のコメント文を含めて財務省が作成した資料と非常によく似ている印象だったが、
出典は明記されていなかった。
その資料で原は「戦争による財政破綻と今の状況が似ている」と言いたかったようだが、実際は全く違う。
まず、その資料には政府の資産が記載されていない。
第二次世界大戦期には実質的に政府資産はなかったが、現在は資産がたくさんある。
資産があれば、何の問題もない。
社会の生産力も、戦前と戦後では大きく異なっている。
戦時中の日本は生産手段を破壊されて生産力がほぼ壊滅にまで追い込まれたが、
今は技術に支えられた生産力がある。
そもそも戦時中から戦後にかけてひどいインフレになり、国債が紙切れ同然になるのは日本に限らない。
戦争経験国ならばしばしば見られる現象だ。
また日本のような債務残高比の推移は、他の先進国でも見られる。
筆者は「財政破綻がリスクであると言うなら、確率として表現すべきだ」としてきたが
原からは説明がなかった。
筆者は財政破綻の確率は今後5年以内で1%程度」と具体的に数字を挙げて説明した。
ネット動画で実際のやりとりを見てもらえばわかるが、
原は財政破綻のリスクを主張したものの数字を使った説明はなかった。
司会の田原総一朗から「しっかりして」と言われていたのが印象的だった。
番組終了後、原のTwitterで筆者について「都合の良いデータと数字、
解釈だけ持ち出して議論してくるのにはうんざり」と書いている。
筆者の論拠が「都合の良いデータと数字、解釈」であるなら反論も簡単なはずだ。
しかし、なぜか原はそうしなかった。
このツイートに対する返信も、辛辣なものが目立っていたようだった。
いずれにせよ、戦前と現代では事情が全く異なるのに債務残高対GDP比の推移だけで
財政破綻の可能性を論じるのは、まさに「都合の良い話」だ。
こういう俗論は、筆者が見破ったように簡単に反証できる。
それは消費増税にも同じことが言える。
消費増税論者の理屈は、①直間比率の是正、②財政破綻の可能性、③社会保障の維持、
④大地震への対応といった具合に、都合の良いようにコロコロ変わってきた。
今回の「債務状況が戦前に似ている」との言い分は②の亜流で、
前述したように明らかの間違いだが、マスコミや年配者にはかなり受け入れられている論朝でもある。
こうした間違った俗論は、韓国との国交断絶を主張する人の間でもよく見られる。
いくつか見繕って、それに対する筆者の考えを示したい。
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