韓国の貿易と言う点では、米韓自由貿易協定(FTA)もポイントになる。
交渉は2006年2月2日に開始され、2007年4月1日に締結、同年6月30日に調印された。
さらに追加交渉が2010年12月初旬に署名され、その後2018年3月に見直された。
これはトランプ大統領が「通称における歴史的転換点」と表している。
FTAとは、ごく単純に言えば関税の話が中心だ。
これが経済連携協定(EPA)になれば、FTAの柱に加えて、経済取引の円滑化、経済制度の調和、
およびサービス、投資、電子商取引など様々な経済領域での連携強化、協力の促進等も含めるため、
もう少し範囲が広い。
FTAには「投資家対国家間の紛争解決条項」(ISDS条項)と言うものがある。
これは二国間、多国間における企業と政府との紛争解決の方法を定めた条項だ。
米国が他国と結ぶFTAでは、この条項を使って米企業が相手国に巨額の賠償を求める事例が
多発したととも言われている。
しかし実際には、米国企業の勝率は約26%となっており、無敗と言うわけでは無いようだ。
日本でも環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の際に、ISDS条項を盛り込むかどうかで
議論があったが、これ自体はどこの国でもあるような協定だ。
濫訴に歯止めをかけなければいけないいうが、実は日本でも30カ国以上と
ISDS条項を結んでいるものの訴訟された事は無い。
それはともかくとして、米国にとっては、自動車関税はもろに影響があるから、
韓国の方が自動車を買えと米国から言われたのではないか。
ちなみに、日本の場合、米国車を買わず、米国に投資し、日本車を現地生産しているため、
日本車を輸出しないと言うやり方をとっている。
そもそも米国の考え方として、あまり米国輸出をするなと言う発想がある。
現地生産の方が米国も国内雇用を増やせるからだ。
韓国としては、米国車はあまり輸入しないかもしれない。
そうなれば韓国から米国への輸出を絞るか、米国からの輸入を増やすかを迫られる。
こう考えていくと、輸出体制を整えて国内で設備投資をたくさんする国ほど、
むしろ米国車をたくさん買わないといけなくなる。
米国で販売された自動車の半分が、非米国3社なのだ。
中でもドイツ車が最も多く、次に多いのが、実は韓国の現代車だった。
つまり、韓国でたくさん生産して、米国にたくさん輸出している。
もし米国が輸入車に最大25%の関税を適用した場合、同じく非米国産のドイツ車とともに
韓国車も大きな打撃を受ける可能性がある。
一方の日本は、そこそこ良い輸出体制を整えつつ、現地生産をしているから貿易摩擦を防げたのだ。
だから、米国は日米FTAの交渉では車の話をしてこない。
現地生産と言う奥の手があるからだ。
また、ペンス米副大統領はインディアナ州知事だったが、
インディアナ州は日本車メーカーがほとんど雇用を作ってきたから、
日本に自動車関税の話をしないほうがいいとアドバイスしているとも考えられる。
もし韓国で米国車の輸入の伸びがなければ、後で色々言われるだろう。
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